JCBへの就活(第二新卒含む)、年収、転職、キャリアについて

1. メガバンク、証券、保険が新卒採用数を減少させた場合、どう対応するか?

①メガバンクが21卒の新卒採用者数を1割減

21卒について、三菱UFJ銀行が、新卒採用者を2割程減少させ400人程度にする方針を固めた様だ。他のメガバンク2行も追随するため、3メガバンクの21年4月入社の新卒採用者数は1500人強と前年に比べると約1割の減少となるようだ。

<3メガバンク、事務効率化等で、21年の新卒採用1割減>

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57035460Z10C20A3MM8000/

これは、グローバルの超低金利に基づく収益減や、実店舗及び関連人員に余剰感が生じていることが背景とされている。3~4年前までは大量採用をしていたメガバンクが採用減に一気に舵を切ると、他の銀行への影響も大きいと見込まれる。

また、銀行、証券、保険という業態が今後も安定的に推移するかどうかはわからない。少子高齢化に伴う国内市場の縮小、IT・フィンテックの進展に伴う店舗や人員といった既存資源の余剰化は今後も継続すると予想されるし、他業態からの参入の可能性もあるからである。

②金融志望の学生が採り得る対策は?

それでも、大手金融機関は給与水準や社会的な信頼性も高いため、就活生の人気度はそれ程下がらないと予想される。そうなると、メガバンクや大手生損保、大手証券会社の難易度は高まることになるので、就活生としては就活の対象企業を拡げておきたいところだ。その点、JCBとか三菱UFJリースなどは、若干地味ではあるが、業務内容や待遇を考えると、十分検討に値する金融機関だと思われる。

2. 日本発唯一の国際カードブランド、JCB

大手金融機関というと、銀行、証券、保険というのはすぐに思いつくだろうが、他に、資産運用会社(アセットマネジメント)、VC(ベンチャーキャピタル)、仮想通貨交換業者等、いろいろと面白い業態も存在する。

その中で、ここでは日本のカード会社の雄、JCBについて取り上げたい。
JCBは日本のカード会社の中で唯一国際的なブランドとして認識され、VISA、Master、American Express、Diners、中国銀聯と並んで世界6大ブランドの一角を占めている。

<クレジットカードと国際ブランド>

https://www.cardservice.co.jp/support/beginner/begin_32.html

後述するが、あまり知られていないと思われるが、JCBの年俸水準はメガバンク並みと高水準であり、トップ校の金融志望者のターゲットに充分なり得ると思料される。

なお、JCBは母体が旧三和銀行であり、社長・役員が親会社の三菱UFJ銀行から降りてくる。この点は、弱みでもある。JCBに応募する際には、以下のJCBの歴史はとりあえず基本的なところは把握しておきたい。

<JCBの歴史:公式HPより>

http://www.saiyo.jcb.co.jp/business/history.html#:~:text=1961%E5%B9%B41%E6%9C%8825,%E6%99%AE%E5%8F%8A%E3%82%92%E5%9B%B3%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82

3. JCBの年収について

① 全体観

JCBというと、メガバンクである三菱UFJの子会社である。このため、金融機関の子会社は親会社の7掛け、8掛けというのが一般であるので、低く見られるかも知れないが、JCBの場合はほぼメガバンク並みの年収水準が期待できるのが特色である。

ジョブグレード制とまでは言わないが、細かい役職に分かれており、役職によって年俸水準が異なってくる。もちろん、キャノンほどは厳しい運用はされていないので、ある程度年功で昇格できる面はある。

それから、中途採用の割合が大手金融機関の中では比較的高いが、給与水準においては生え抜き社員の方が恵まれている。

② JCBの入社年次、タイトルと年収の推移

最初の3年間は大手金融機関と似ており、残業代とボーナスを含めると、最初の3年間は350万円~500万円位である。

5年目、27歳位で主任になると、少し年収レベルが上がり、650~700万円程度となる。
そして、早ければ30歳位で1ランク上の副主事に昇格すると年収は800万円位となる。
30代半ばの主事で900万円になり、30代後半には1000万円到達が期待できる。

40代で次長になると、年収は1200万円位になる。さらに、部長になると1400万円以上の水準になる。もっとも、前述した通り、役員は基本的に親会社である銀行から天下りしてくるので、事実上部長が生え抜きの最高ポジションであるのは少々残念な話ではある。

福利厚生的にも大企業であり、基本的なものは揃っており、トータル年収で見ても良好であろう。

4. JCBでのキャリア、転職について

①終身雇用が基本的なキャリアプランなのだろうが、親会社からの落下傘組が悩み…

基本的に日本の大手金融機関であり、終身雇用がメインというのは他の金融機関と同様である。
また、業態がカード会社であるので、外銀とか外資系運用会社に転職するという選択肢は無いだろう。もっとも、終身雇用のキャリアを想定すると、部長クラスに親会社からの落下傘組が数多く舞い降りてくるために、上のポジション程詰まり気味になってしまう。これは、資産運用会社も同様だが、親会社である金融機関を持つ、金融子会社共通の悩みである。

②外資系のカード会社に転職するという途はあるのだろう…

もっとも、カードについては、アメックス、ビザ、マスター等、外資系企業もあるので外資系という選択肢も無くはない。外銀や外資系運用会社とは異なり、外資系カード会社に転職したところで、年収が跳ね上がることは無いだろう。しかし、上のポジションで転職できる可能性はあるし、シニア・マネージャーに就くと、RSU等の妙味がある場合もある。

<アメックスへの転職等について>

https://career21.jp/2019-05-17-130406/

③マーケティング職はキャリアとして面白いかも…

キャリアとして面白いのは、マーケティング職だ。カード会社の場合、法人もあるが、メインはいかに個人客にカードを多くバラまいて、そして、使ってもらえるかだ。このため、銀行や証券会社よりも社内におけるマーケティング職のプレゼンスは高い。
マーケティング職としてのスキルを高めると、他業態を目指すという選択肢も出てくるので、キャリアの幅は拡がるだろう。

④決済事業、その他フィンテックへの投資事業を通じて金融系ベンチャーというキャリアもあるか?

また、最近では、ファンドを通じてフィンテック事業にも投資を行ったりしているので、傍流かも知れないが、こういった分野を攻めるのも面白いかも知れない。その場合には、将来、金融系ベンチャーに幹部として転職することも大いに可能だろう。

トータルで見ると、保険以外になかなか切り口が無い保険会社よりも、キャリアの幅は拡げられる可能性はあるかも知れない。

まとめ(2020年6月12日追記)

JCBは金融志望の学生の間でもまだまだマークが薄い企業であろう。例えば、2019/3卒の場合、AERA2019.8.5号の「主要50大学の人気企業への就職者数」を見ると、JCBへの就職者数は、東大ゼロ名、京大2名、慶應4名、早稲田12名、MARCH25名、関関同立7名となっている。特定の上位校に集中しておらず、ある程度分散されていると思われる。

それでも、総合職の新卒採用者数は50人位なので、注目度が上がると、すぐに飽和状態になってしまう可能性がある。

特に、22卒以降は新卒採用枠数が減るのではないかということが懸念されており、従来は比較的穴場的なポジションにあったJCBも一気に難化する可能性がある。このため、OB訪問やスキル対応、企業研究等を十分に行い、しっかりした事前準備を行うべきだろう。

メガ、大手生損保、大手証券を本命としていたが、もう少し金融機関の対象範囲を拡げたいという就活生にとっては魅力的な企業だと思われる。

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