日本政策投資銀行(DBJ)への就活、年収、転職、難易度、エージェントについて

1. 何故、日本政策投資銀行(DBJ)か?

① 旧開銀(日本開発銀行)で、昔から渋めの超エリート銀行

日本政策投資銀行、すなわち、昔の開銀(日本開発銀行)である。
株式会社化したとはいえ、実質的には政府系銀行の最たるものであり、何十年も前から、日銀、日本輸出入銀行(現国際協力銀行)と共に、知る人ぞ知る的な存在であるがトップ学生の間では人気の高い銀行であった。

② 投資会社的、証券会社的な銀行?

日本政策投資銀行の特色は、長期的な事業への投融資がミッションであり、融資だけでなくファンドを通じた投資も手掛けている点が特色である。
融資においても単純な貸出ではなく、プロジェクトファイナンス、ストラクチャードファイナンス、PFIといった金融技術を駆使した案件に関われるのが魅力のようだ。

③ 外銀でお金を追求するというよりも、ステータス志向の学生向け?

業務内容からすると、一見、IBD的な感じもするが、ここにいたからといって外銀IBDに転職できるわけではない。外銀に行きたいのであれば、国内系証券会社の専門職コースか、総合商社からMBAを取得する経路の方が確度が高いだろう。

同じ政府系金融機関という観点だと、日銀を選択した方がいいかも知れない。日銀⇒海外留学経由⇒未経験アソシエイトで外銀IBDというケースはそれなりに見られるからである。

日本政策投資銀行を志望する学生は、財務省や経済産業省的な堅めのステータスに惹かれるが、民間金融機関並みのそれなりの収入を得たいというところが狙いでは無いだろうか?

2. 日本政策投資銀行(DBJ)の年収について

① 給与等についての全体観

実質的には政府系の金融機関なので、日銀や農中と同様に、年功序列の傾向が強く、評価による年収の差はほとんど無い。同期との年収の差は、ほとんど全てが残業代の違いと考えて良いだろう。

給与水準としては、生涯賃金でみるとメガバンクと同じか若干良いくらいではないだろうか。もう一つの政府系銀行の代表格である国際協力銀行(JBIC)の年収が下げられたのに対して、こちらはまだ高年収を維持できている。

② 年次や役職に伴い年収の推移

ほとんどメガバンクと同様のペースで年収は推移していくようだ。
初年度は残業代とボーナスを合わせて400万円スタートという点は、大手金融機関の総合職と一緒。その後、少しずつ基本給・賞与ともに上がり続け、6年目の28歳位では700万円位、30歳の副調査役で900万円前後に到達する。

1000万円に到達できるのは、調査役に昇格する32歳以降である。調査役になると、年収は1100万円位は期待できる。そして、40歳で課長だと年収は1500万円位になり、このあたりで微妙にメガバンクを超えてくると思われる。

もっとも、これは日銀にも言えることだが、役員クラスの年収が総じて低いため、アップサイドに欠ける。役員で年収が1900万円程度で、2000万円には届かない。このため、年収1500~1600万円位が事実上マックスになってくる。
(もっとも、メガバンク等の大手民間金融機関でも部長クラスにならないと、年収1800万円超えは難しいが…。)

3. 日本政策投資銀行のキャリア、転職等

①外資系金融機関に転職するよりも、終身雇用が基本路線?

母集団が少ないのもあるが、日銀と比較すると外資系金融機関に転職する者は相対的に少ないと思う。DBJ出身者は、外資系金融機関では見当たらないのではなかろうか?

日本政策投資銀行の会社説明用のパンフレット類やwebにおいて、「投資」「ファイナンス」「M&A」「ファンド」というキーワードが目立つために、最近人気のPEファンドに転職しやすいのではないかと考える就活生もいるかも知れない。

しかし、日本政策投資銀行がやっている業務はあくまでも政府系「銀行」としての立場からものであり、将来PEファンドを目指したいのであれば、外銀、国内系証券会社のIBD、商社、MBBの方が近いと思われる。この点、PEファンドのトップティアファームであるカーライルの日本人の履歴を見ると、外資/国内証券会社、旧都銀、商社が多いことが確認できる。

https://www.carlyle.com/ja/about-carlyle/team

もちろん、それは転職能力が低いというわけではなく、もともと社員の志向として、外銀に転職してバリバリ稼ごうとは思っていないからだろう。

このため、終身雇用というのがメインシナリオとなるだろう。

②外資系金融機関に転身したくなれば、私費MBA留学が堅い?

上記の通り、DBJでのキャリアは終身雇用が基本線かと思われるが、途中で、華々しく外資系金融機関で働きたいと思うようになるかも知れない。25歳位までの第二新卒として扱われる年齢であれば、外資系投資銀行や外資系アセットマネジメントへの転職が可能な場合もあるかも知れないが、業務面での経験をアピールするのは難しく、それほど簡単ではないだろう。

このため、外資系金融機関への転職をどうしても実現したい場合には、米国の有力MBAに私費留学するのが最も堅いと思われる。学費についてはローンや奨学金を活用できるが、ある程度、学費をコツコツと貯めておいた方がいいだろう。そうすると、卒業後に、投資銀行、アセットマネジメント、ヘッジファンド等への転職が可能となろう。

③DBJの若手のポテンシャルは非常に高く、第二新卒としてMBBに転職するケースも

DBJは就職難易度が昔から非常に高く、学歴・スペック・やる気を備えた学生が数多く入社する。このため、第二新卒段階では、金融業界を離れ、MBB等の戦略コンサルティングに転身するものもいるようだ。第二新卒としては、非常に高く評価されるので、他業界に転身するという選択肢もあるだろう。

4. 日本政策投資銀行への就活の難易度について

①就活の難易度は非常に高い

日本政策投資銀行の総合職は、例年30人程度しか枠が無い超狭き門であるが、ここ2年程は50人近く採用しているようだ。(2020年度実績は44名、2019年度実績は52名、2018年度実績は47名、2017年度実績は34名)

https://www.dbj.jp/recruit/new/recruit/guide.html

もっとも、東大色が強く、それ以外は京大、一橋、早慶でほとんど枠が埋まり、残りを地帝で分けるということであろう。

外銀とか国内系証券会社IBDコースとは、価値観が異なるし、準備も異なってくるだろう。

いずれにしても、採用人数が少なく、面接も5次面接位まであるのでなかなか内定をあてにすることは難しいであろう。就活における難易度としては、最高の難易度に属すると思われ、三菱商事や財閥系デベロッパー並みではないだろうか?

従って、戦略としては外銀・国内系証券会社の専門職コースを目指して、英語・財務スキルを磨きつつ、選抜コミュニティに参加するといった、最高水準の対応をする必要があるだろう。或いは、国家公務員総合職と併願するというパターンもあるかも知れない。

いずれにせよ、メガバンク、大手生損保、大手証券会社の総合職の準備だけでは、日本政策投資銀行の内定を取ることは厳しいのではないだろうか。

②就職偏差値だけに囚われることなく、将来のキャリアの方向性を見据えた選択をしたい

DBJは上記の通り非常に内定を取るのが難しいが、就職偏差値だけではなく、将来のキャリアの方向性にマッチした選択をしたいものだ。例えば、業務的にIBDに関心があるのであれば、国内系証券会社のIBDを選択した方がいいかも知れないし、将来外資系アセットマネジメントで働きたければ、国内系アセットマネジメントを選択すべきであろう。

就職偏差値を気にするのは就活生だけであって、中途採用市場では、学歴・会社名以上に職歴が重視される(第二新卒段階では学歴・会社名も重視されるが)ので、職歴に拘る必要がある。そうしないと、DBJの社歴だけでは、IBDやアセマネに転職することは出来なくなってしまう。

就業経験の無い学生の段階で、将来のキャリアを考えるのは難しいかも知れないが、この点は多くのOBの話を参考に十分考慮すべきであろう。

5. 日本政策投資銀行への中途採用と転職エージェント

上記の通り、日本政策投資銀行に新卒で入社するのは非常に難易度が高い。それなら、中途採用はどうかというのが気になるところである。この点、日本政策投資銀行は採用活動に非常に熱心な会社であり、新卒でもメディアへの投稿やイベントを積極的に実施している。中途採用についても実施しているが、何と言っても社員数自体が少ない小規模な組織なので求人数自体は多くない。

そこで、戦略としてはなるべく多くの転職エージェントに登録して、気長にチャンスを待つということになる。国内系なので、リクルート、doda、マイナビ、パソナキャリア、エン・ジャパン、JACあたりには広く登録しておきたい。

また、金融に強いエージェントの中で、コトラ、アンテロープにも登録をしておいた方がいいだろう。

<コトラ>

https://www.kotora.jp/

<アンテロープ>

https://www.antelope.co.jp/

更に、大手の中ではJACは外資や金融にも強いので、ここも利用したい。登録はこちら(JACの公式サイト)

以上の様に、広く登録をしておくと、日本政策投資銀行の案件がたとえ来なかったとしても、他に優良案件に遭遇できる機会が拡がるので、面倒だがやっておきたいところである。

 

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