商工組合中央金庫(商工中金)への就活(第二新卒含む)、年収、転職、就職難易度

1. 何故、商工中金か?

商工中金は、数十年位前から有力校の学生の就職先として一定の人気があった。その理由としては、広義の政府系金融機関であるステータス性と、上場していないため民間の大手金融機関と比較すると穏やかな社風が好まれたからである。

ここ4~5年位は、メガバンクを始め、大手証券、大手生損保が大量に総合職社員を新卒採用していたので、特に有力校の学生は贅沢になり、「外銀や国内系金融機関のコース別採用に落ちたから、メガバンクに仕方なくいくか。」という雰囲気であった。

しかし、メガバンクが今後新卒採用者数の抑制傾向を報じており、大手証券や大手生損保も同様の対応を採る可能性がある。さらに、2020年初頭にコロナウイルスの問題が生じ、2020年5月時点において世界経済全体に影響を及ぼしている。日本においては5月25日付で緊急事態宣言は解除されたものの、今後の景気や雇用情勢については先が読めない状況にある。このため、22卒以降については、新卒採用者数が抑制され、商工中金もかなり難化する可能性がある。

商工中金の採用者数の推移を見ると、
145⇒167⇒131⇒137⇒118(2019年4月)と、減少傾向が見られる。特に、新卒採用者数が100名を割り込めば、金融志望のハイスぺ就活生が集中する可能性もあるので一気に難易度が高まるおそれがある。

2. 商工中金の年収について

① 全体観

商工中金の年収水準は、「メガバンク」に準ずるというのが建前である。実際、生涯賃金ベースで見ると、メガバンク並みか若干高い位であろうか?

もっとも、非上場の金融機関ということもあり、メガバンクと比べると、年功序列、横並びの傾向は強い。

② 商工中金の年次・役職と年収の推移

若いうちは、横並びでほとんど差が付かない。
最初の1年目~4年目位までは400万円スタートで500万円台位である。
5年目で営業主任になると少し上がり、650万円位となる。
入社約8年、年齢で言うと30歳位で調査役になると800万円~900万円位となる。調査役にはほぼ全員昇格できる。

早ければ入社12年目で課長(管理職)に昇格出来、年収は1100~1200万円位となる。
当然、課長には一律に昇格できないが、多くの者はその後に課長には昇格できる。

全体的には横並びで、業績評価の制度はあるものの、それが年収に反映されたとしてもごくわずかである。

なお、福利厚生も充実しており、東京でも3~4万円程度の負担で準社宅を使えるし、社員食堂で安く食事を取ることもできる。

3. 商工中金のキャリア、転職について

①外資系金融に転職し易い環境ではない…

そもそも、商工中金というのは中小企業支援を目的とした金融機関である。47都道府県全てに店舗を有し、「地方再生」に貢献することがミッションとされている。トレーディング、グローバル企業向けのコーポレート・ファイナンス、資産運用といったホールセール業務を強みとした金融機関では無い。

このため、商工中金の場合、外銀や外資系運用会社の転職者というのはほとんど見られない。市場関係の部署にいたとしても、特にスペシャリストとして評価されるわけではない。若手で営業職の場合、英語ができればポテンシャル採用的な形で外資系のジュニアポジションに就くことは可能だが、外資系金融の中での商工中金出身者の存在感は高くない。

もっとも、だからといって業界内のステータスが低いわけではない。また、安定しているしワークライフバランスにも優れているので、多くの者は転職よりも終身雇用を志向しているのではないだろうか?

②キャリアの方向性としては、中小企業向け金融のスペシャリストか?

商工中金の場合、外資系金融で通用するようなスキルを磨くことは難しいかも知れないが、中小企業向け金融のスペシャリストとしてスキルを磨くことは可能であろう。

事業承継、ビジネスマッチング、M&A、事業再生支援から海外展開支援まで、中小企業に対してはフルラインの専門サービスを提供できることを強みとしているので、こちらの分野で勝負する方が面白いだろう。

転職するとすれば、ベンチャー企業とか、中小企業を対象とした再生関連ビジネス等であればチャンスは十分にあるだろう。もっとも、いわゆるネット系のニュービジネスについては特段スキルが付くとは限らないが。

いずれにしても、基本線は終身雇用ということで社内でのキャリアプランを立てるのが本筋だと思われるが、将来的には終身雇用が保証されなくなるかも知れないので、中小企業金融の専門家として、いざという時に備えてスキルを磨いておくのが望ましい。

商工中金の場合、海外に拠点もあるので、海外勤務の機会があれば積極的に手を上げたいところだ。

4. 農林中金との違い

同じ政府系の金融機関ということでは、農林中金も視野に入るだろう。
どちらも、非上場ということもあり、年功序列・横並びで差が付きにくく、福利厚生にも恵まれて、おっとりとした社風である点は共通している。

もっとも、業務の方向性としては、農林中金は巨大な機関投資家、商工中金は中小企業支援という違いがあるので、このあたりはどちらが自分にフィットしているのか十分検討すべきであろう。

ただ、年俸水準については、若干農林中金の方が高いと思われる。

<農林中金について>
https://career21.jp/2019-05-15-085052

このあたりはどちらが上か下かというよりも、OB・OG訪問をした中での相性で決めていく場合が多いと思われる。

22卒以降は就職難易度が上昇か?

商工中金も農林中金と同様に、新卒採用者数を抑制傾向にあるところが気になる点である。日本の金融機関の良くないところは、横ならば意識が非常に強く、メガバンクが減らせば他の銀行も一斉に追随するということである。そういう時こそ、金融機関からすると、優秀な学生を採用するチャンスでもあるのだが…。

いずれにせよ、大手金融機関の採用減少のトレンドに加えて、コロナによる景況感の不透明感によって、22卒以降は採用数が減少するリスクがある。そうなると、難化するのは必至だ。

現在の大学1年生、2年生は先輩と同じことをやっていては採用してもらえない可能性があるので、英語/留学、USCPA、証券アナリスト等のスペック上げに早めに取り組むべきだろう。

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