文系学生のNTTドコモへの就活(第二新卒含む)、年収、転職、キャリアについて

1. 文系学生にとってはNTTドコモは悪くない選択肢では?

①金融機関や商社を除くと、NTTドコモは悪くない?

メガバンクの採用抑制の傾向や、少子高齢化に伴う国内市場縮小化、IT/フィンテックのテクノロジーの進展に伴う店舗・人材等の余剰化といったことを考えると、国内系金融機関への就職に疑問を感じる学生もいるだろう。

とは言え、金融機関はメーカーやその他のサービス業と比べると年俸水準が高く、世間体も悪くない。それに、有力校の学生の多くが金融機関を目指すので、それに引っ張られるのもやむを得ないだろう。

このため、金融機関以外の就活候補先企業を探し出すのはなかなか難しいかも知れない。そういった中で、通信インフラ系は、給与面でこそ大手金融機関には劣るものの、それなりの年収が期待できる。また、安定性やワークライフバランスに優れ、ネームバリューがある。

そう考えると、文系学生にとって、通信インフラの中でも高収益企業のNTTドコモは十分検討に値する就職先では無いだろうか?

②有名大学からのNTTドコモへの就職状況

NTTドコモと言うと、利益、株価時価総額、知名度と、どこを取っても日本の5指に入る企業だと思われる。しかし、採用人数については意外と多くない。

この点、就職状況について詳細な開示をしてくれる早稲田大学を例に取ると、2019/3卒においては、NTTドコモへの就職者数は28人。同じNTTグループのNTTデータが78人、NTT東日本が36人と比べて多くない。

<2018年度 早稲田大学進路状況>

https://www.waseda.jp/inst/career/assets/uploads/2019/07/2018careerdata.pdf

慶應についても、似た様な傾向で、NTTグループの中ではNTTデータが最多で45人、次いでNTTコミュニケーションズが18名(ドコモは不明)。

<慶應義塾大学 2018年度 3名以上就職先>

https://www.students.keio.ac.jp/com/career/service/files/3_3ijo_2018.pdf

以上の様に、採用者数で見ると、大手金融機関の方が採用者数は遥かに多いので、有名校であれば簡単に採用されるとは限らないのである。

2. NTTドコモの年収について

① 基本的にNTTグループの基本給は同じ。

NTTグループは巨大企業群であり、その中で、持ち株会社のNTTの傘下に、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ、NTTデータ、NTTドコモの主要5社が存在する。

有力校の学生が就活のターゲットとするのは、この主要5社であろう。これらの主要5社については、基本給等の水準はどこも同じである。従って、主要5社の年収の違いは、ボーナスの水準の違いということになる。

この点では、主要5社の中で最も収益を上げているのがNTTドコモなので、ドコモはNTTグループの中では最も年収水準は高いと言える。

また、主要5社内における序列(もちろん、フォーマルなものではないが…)は、

ドコモ>データ>コム≒東>西、

というイメージである。歴史的にはNTT東西が源流ではあるものの、収益性ではドコモやデータになるため、このような社内序列になっているという。
いずれにせよ、ドコモがNTTグループの中でも最上位というのは、稼ぎ頭であるので、社内的にも社外的にも違和感は無いだろう。

② NTTドコモの年収について

初年度については、学部卒は2019年度で月給217,960円と残業代とボーナス。初年度のボーナスは少ないので、年収は350万円程度となる。
ドコモの場合、最初の4年間はあまり増えないのが厳しいところで、2年目で400万円、3~4年目で450~500万円位である。業績や昇格による差は無く、ほとんどが残業代の違いである。入社5~6年目になると年収600万円を越え、入社8年目の30歳で700万円というのが目安である。

30代前半に主査(組合員)になると、750~850万円となる。このあたりまでは全員昇格可能である。その上は課長となるが、NTTグループの場合、担当課長(非管理職)と本当の課長(管理職)の2種類あるのが特徴である。
担当課長には早ければ30代後半で昇格できるが40代で昇格する場合が多い。担当課長になると、900~1000万円位となる。もっとも担当課長の場合は残業代がつくので、それによる差はそれなりにある。

担当課長の上の、管理職の課長になると年収は1100万円程度になる。さらにその1ランク上の部長になると、年収1400~1500万円位になる。

NTTグループの場合には、福利厚生が全体的に充実しており、家賃補助もそれなりに出る。独身者の場合、居住地によるが月4万円程度負担してもらえる。この点は、恵まれた点である。

なお、上記の点については、年収チャンネルでもわかりやすく説明されているので、ご参照下さい。

<年収チャンネル:NTTドコモ編>

https://www.youtube.com/watch?v=aB9Ft12cr-E

https://www.youtube.com/watch?v=ZyY6ywV8-dg

3. NTTドコモのキャリアプランと転職について

①NTTドコモからの転職先

NTTドコモは、ネット企業そのものではなく、ネット系企業にインフラを提供する企業である。とは言え、ネット企業とのつながりがあり、土地勘もあるからか、GAFA、サイバーエージェント、DeNAといった大手ネットベンチャー系企業に転職したり、自らベンチャー起業をしたりする者も散見される。

NTTドコモの場合はネームバリューがあるのと、ネットビジネス周りの土地勘はできる。また、社内には最新のテクノロジーやマーケティングのスペシャリストもいるだろうから、社内ネットワークに強いと人脈も拡がる。このため、若手は転職しようと思えばし易いポジションにあると言えるだろう。ファーストキャリアとして選択するには手堅い企業だと思われる。

②ワークライフバランスの良さを活かした副業に妙味?

NTTドコモも部署によっては大変なところもあるが、金融やコンサルと比べると相対的にワークライフバランスは優れているようだ。そうなると、空いた時間を有効活用して副業を磨くことも可能になる。今ではまだまだ副業によって稼ぐ方法は確立されていないものの、将来的には大きな武器になる可能性もある。もちろん、起業準備に充てることも可能である。

副業である程度稼げるようになると、金融機関とか商社との年収差を埋めることができるかも知れない。

③基本線は社内でのキャリアアップか?

もちろん、そういった者は一部であり、大多数の者は終身雇用ということになる。NTTグループの場合は、企業年金・退職金制度は充実しているので、終身雇用というのはそれなりに悪くない選択肢だ。

もっとも、さすがにNTTグループは将来も大丈夫だろうという気もするが、地震と原発の関係で、全体安泰と思われていた電力会社がダメになってしまったので、将来は何が起こるかわからない。従って、文系の場合には英語、USCPAといったスキルを磨いたり、新規事業関係に参画する等、いざとなれば動けるようなスキルとマインドを備えておく必要があるだろう。

4. NTTドコモへの転職について

ワークライフバランスを重視した転身や、ベンチャー企業で失敗した場合等において、NTTドコモに中途採用で入社したいと考える者はいるだろう。NTTドコモはお堅いイメージのNTTグループに属するが、急成長したベンチャー企業的なカルチャーもある。そして、当初より積極的に中途採用を行ってきた。このため、会社の採用ページには「現在募集をしていません」となっていても、チャンスはあるはずだ。

したがって、NTTドコモへの転職を考える際には、国内系大手の転職エージェントに積極的に登録して、チャンスを待つべきである。リクルート、DODA、JAC、エン・ジャパンあたりの大手には漏れなく登録して、複数のエージェントの話を聞きたいところだ。

まとめ(2020年6月3日追記)

NTTドコモの給与水準は、大手金融機関と比べると劣るものの、福利厚生を加味した上で長い目で見ると、大きくは劣らないはずだ。また、ワークライフバランスや安定性においては、大手金融機関よりも良好であろう。
このため、金融機関以外ということでは、文系のトップ校の学生にとっても検討しても悪くは無いのではないだろうか。

特に、2020年初頭に発生したコロナウイルスの問題が世界中に拡がり、景気や採用市場に深刻な影響を与えている。このあたりの先行きは2020年6月時点においては不透明であるが、特に22卒以降の就職の難化が懸念されている。このような環境下、コロナの影響を受けにくい安定企業であるNTTドコモの人気は高まることが予想されるため、十分な対応をした上で応募したいところだ。

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