文系学生のキャノンへの就活(第二新卒含む)、年収、キャリアについて

1. そろそろ金融機関以外の選択肢も用意しておきたい文系の学生

文系の場合、トップ校の学生の人気は外銀、国内系金融機関コース別採用に集中し、ここら辺はかなりの狭き門となっている。そして、有力校の学生と言えども、多くの者が内定をもらえず、メガバンク、大手証券、大手生損保に就職している。

しかし、メガバンクは今後採用人数を絞り込む方向性であり、従来のようにコース別採用以外であれば、どこか大手金融機関の総合職から内定をもらえることは見込めなくなる可能性がある。

だからといって、外コンとか総合商社は大手金融機関の総合職以上の難易度であり、簡単にシフトしたり、併願しても内定の保証は無い。

そうすると、金融機関志望の学生があまり深く検討してこなかった大手メーカーも就活の選択肢として検討する必要が出てくる可能性もある。

2. 大手メーカーの中で有力校の学生の採用が多いキャノン

大手メーカーで有力校の学生を多く採用している企業としては、富士通、三菱電機、日立製作所、ソニー、パナソニックという電機系のメーカーが上位を占めているが、若干業種が異なるキャノンも多くの有力校の学生を採用している。

例えば、週刊東洋経済の2019/5/11号の早慶特集によると、キャノンの2018年度の採用数は早慶だけで76人となっており、日立製作所(75人)、三菱電機(79人)と同水準のレベルとなっている。

そこで、ここでは文系の学生がキャノンに就職した場合の、年収水準やキャリアプランについて検討したい。

(なお、文系学生のパナソニック、富士通への就職についてはこちらをご参照下さい。)
https://career21.jp/2019-05-13-095632

https://career21.jp/2019-05-13-121106

3. キャノンの年収について ~地獄の昇格試験 G3~

① 厳しい昇格制度が存在

メーカーの間では、ジョブ・グレード制的な給与制度が普及しているようだ。
要するに、社内タイトル毎に給与のレンジが定められており、単なる年功だけでは自動的に給与がアップしない制度である。

とはいえ、ジョブ・グレードの運用が緩やかであれば、一定の年数働くと結局ジョブ・グレードが上昇できるようになるので、特別厳しい制度とは限らない。

しかし、キャノンの場合はその運用が大変厳格なようだ。
キャノンの場合、大卒の場合、非管理職はG1⇒G2⇒G3⇒G4の4ランク制になっている。
これを1ランク上げるためには、フォーマルな試験に合格しなければならない。

文系学部卒の者は、G1スタートで、3年後にG2への昇格の機会が与えられるが、そのためには筆記試験に合格しなければならない。G2の場合だと、多くの者が合格できる。

ところが、学部卒の場合だと6年経過時の29歳位の時にG3試験を受けることができるが、マークシートと論文で構成されるこの試験は大変難しい。一発で合格できるのは2~3割以下というイメージである。そして、筆記試験に通っても面接試験があり、ここで落とされる者もいる。さらに、G3の昇格試験に合格しても自動的に昇格できるわけではない。上が詰まっているために、空きができないと昇格できないということだ。

② 年収のイメージ

以上のように、キャノンの場合はジョブ・グレードと年収が厳密にリンクしている。従って、
年齢だけではその人の年収はわからない。

初年度は全員G1スタートであり、1年目は350万円位である。
そして最初の3年間はG1の中で微増していき、25歳では450万円位が目安となる。
残業代によって差異が生じるが、広告代理店や金融機関のようにそこまで長時間の残業は期待できず、早く帰れるという点では大変恵まれているが、給与的には厳しいところである。

そして、3年経過時点でG2の試験に合格すると、年収は500万円を超えることとなる。しかし、そこから先は徐々にG2のレンジの中で昇給はできるが、大体年収650万円位がマックスとなる。

学部卒の場合、6年経過時点の29歳の時にG3の昇格試験を受験できるがほとんどの者が落とされてしまう。そうなるといくら社内評価が高くても年収は増えないままである。
このため、30歳の時点では年収700万円に到達できないものが大半である。

G3に昇格できた場合には、年収は700万円程度になり、後はボーナスと残業代次第だが、年収800万円位には到達できる。35歳位には多くの者はG3に昇格できるようであるが、全員ではなく、G2のまま40代になる者もいるという。

その上のG4に昇格するのは厳しく、筆記試験はG3程ではないかも知れないが、良い評価を3年以上連続してとらないと推薦してもらえないので、これも厳しい道程である。
G4だと年収900~1000万円位であるが、近年だと大台の1000万円は難しいのではないかという声もある。

③ 福利厚生は特にない:本社勤務で住宅手当が無いのは厳しい…

昇格試験に速やかに合格すれば、メーカーとしてはそこそこであるが、G3で多くの者が躓くので、同じ年代でパナソニックや富士通と比較すると劣るのではないだろうか?

企業の業績、株価時価総額においては、キャノンの方がパナソニックや富士通よりは遥かに良好なのだが、年収水準においては渋いのが意外なところである。

また、福利厚生、家族手当や住宅手当が無いのが厳しいところである。従って、G2のままで本社近くの城南エリアに住むのは大変難しく、特に、子供がいる場合には共働きをしてもらわないと楽ではない。

4. 転職等のキャリアプランについて

キャノンは(精密)機械セクターに属し、ハード面がメインであり、GAFAのようなネット系は当然として、電機セクターでも無いので、文系の場合は探しにくい。
結局、人事、経理、法務、購買というところで頑張るしかない。その中では、キャノンは特許取得数が多いので、知的財産部門に定評があるので、技術にも食い込んでいく気がある者はここを目指すのも良いだろう。

いずれにしても、文系の場合、それほど強固な転職力が身に付くとは考えない方が良いだろう。

まとめ

キャノンは企業としては収益性や競争力は非常に高い。
例えば、令和元年5月13日時点の時価総額でみると、4兆円であり、これは富士通(1.5兆円)とパナソニック(2.2兆円)を合わせたよりも多いほどである。

しかし、昇格試験の厳格さを加味した上での年俸水準は、企業業績を踏まえると決して恵まれているとは言えないのではなかろうか?特に、家族手当や住宅手当という福利厚生面の弱さを考えるとなおさらそうであろう。

就職は年収面だけで決めるものではないだろうが、文系の学生の場合、キャノンという会社やプロダクトに思い入れがある場合は別として、特に無いのであれば、この点留意した方がいいだろう。