1. ウェルスナビ社のプレスリリースに興味深い統計が…
ロボアドバイザー専業最大手のウェルスナビ社が、サービス公開2周年を記念して、興味深い統計を公表していた。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000092.000014586.html
① 預かり資産全体が増加している
まず、預かり資産がこの1年間(2017年7月から2018年7月まで)で、200億円から900億円になった。また、運用者数はこの2年間で8万人となった。
② 何と、20代と30代が半分を占める?
興味深いのは年齢で、20代が14.5%、30代が33.9%、40代が29.8%と、既存の証券会社と比べると著しく若い顧客層となっている。半分以上の顧客が60歳以上である既存の証券会社とはほとんど顧客層が被っていないのではなかろうか。
金融資産の半分というか、約2/3を60歳以上が保有している日本においては、既存の証券会社のメイン顧客は60歳以上である。新規を開拓するよりも、既存の投資家と取引をする方が効率的であるので、なかなか若い顧客層の開拓が進んでいない。
既存の証券会社からすると、保有している資産額が50代、60歳以上と比べると圧倒的に少なく、新規顧客開拓コストの負担を伴う20代や30代の開拓は、目先の収益に追われることもあり、若い顧客層を開拓するのは苦手なのである。
この点、ロボアドバイザーの約半分の顧客が20代、30代というのは既存の証券会社からすると、信じられないという気分である。
③ 2人に1人が自動積立投資を活用
さらに興味深いのは、こちら、お客さんの二人に一人が自動積立投資を使っていることである。
自動積立は、累積投資とも言われ、何十年も前から証券会社で利用可能なサービスである。株式の累積投資、投資信託の累積投資(ファンドるいとう等)など、多くの商品で利用可能であった。
ところが、証券会社にとって小口の取引を対象とした金融サービスであり、収益性が高いわけではないので、端っこの金融サービスに過ぎなかった。
しかし、ウェルスナビ社の場合には、なんと半数の顧客が押し付けられるわけでもなく、自動積立サービスを利用しているのである。
ウェルスナビ社に限らず、ロボアドバイザーは、長期の国際分散投資に立脚した最先端の金融サービスであるのだが、自動積立サービスを利用して時間分散を行うことは大変合理的である。
また、平均積立額が3万2000円と少額であるのも注目されよう。
証券会社における国際分散投資というと敷居が高いサービスのように聞こえるが、実際、月々少額から投資を始めているのである。
2. 月々数万円の投資も長期ではバカにできない金額となる。
月々3万円位であれば、20代からでも実行可能である。無駄な保険代、携帯電話代、飲み会などを削れば捻出するのは難しくないだろう。
また、20代あたりから始めれば金融リテラシーの面でも望ましい。
さて、ウェルスナビ社の平均の積立額3.2万円を想定運用利回り5%で10年間運用した場合には、何と496万円という驚きの運用結果となる。
<積立シミュレーション>
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/saving/simulation/
15年間続けると、937万円となる。
また、ボーナスとかがある場合に、その分増額して投資を行うと、もっと増額を狙うことが可能である。
このあたりは、積立シミュレーション・ソフトを使って、想定利回りや運用期間等をいじくって、いろいろとイメージを浮かべてみるのが良いだろう。
投信を使って国際分散投資をしようとか、ドルコスト平均法を活用して累積投資を始めようということは、1998年の金融ビッグバンの頃から、既存の証券会社は投資家教育をしてきたつもりだが、実態は、毎月分配方投信やテーマ型投信に集中し、なかなか理想的な投資家がされてこなかった。
ところが、新しい若い投資家は、従来の証券会社の顧客層とは異なる正当な運用方法に気づき始めているのかも知れない。