将来は地銀の6割が赤字との日銀試算と就活への影響

1. 日銀の試算によると将来地銀の6割が赤字に陥る可能性も

平成31年4月17日の日経の記事によると、地銀の6割が10年後に赤字に陥る可能性があるとの日銀の試算が示された。
これには、借入需要不変のシナリオと、借入需要減少のシナリオがあるが、後者の場合には貸出金残高の伸びの鈍化と利ザヤの縮小によって、地銀の収益が圧迫されるということだ。
背景は、少子高齢化に伴う資金需要の先細りと超低金利に伴う利ザヤの縮小だ。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43852690X10C19A4EE9000/

2. 地銀は有力校の就活生にとって、Uターン就職の王道であったが…

地銀の収益が悪化していけば、当然地銀の新卒採用数は減少するし、待遇の悪化が見込まれ、選択肢の多い有力校の学生ほど地銀への就職を敬遠することとなる。

有力校の学生がメガバンクや信託銀行等の大手行ではなく、あえて、地銀を就職先として選択する理由としてはUターン就職が考えられる。

有力な事業会社が存在しない地域においても、必ず地銀が存在している。そして、地銀の給与水準はメガバンクと比べると劣るものの、当該地方においては相対的には高い部類に入る。また、地銀はその地方においては存在感やステイタスが高く、Uターン就職の場合における最有力とも言える選択肢である。

東京大学経済学部の場合には、学生はこのあたりに既に敏感になっているからか、卒業生の就職先としては、地銀では福岡銀行しか見当たらなかった。

しかし、早稲田大学の場合には、静岡銀行に12人、常陽銀行に8人、福岡銀行に6人とそれなりの者が就職している。
MARCHの場合も、明治大学から千葉銀行に22人が就職するなど、相当数の者が地銀に就職していると考えられる。

もちろん、全体的な学生に占める地銀への就職者の割合は少数であるが、Uターン就職を考える学生にとっては深刻な問題である可能性がある。
というのは、地銀の収益が厳しいというのは、その地域の経済状況が芳しくないからであり、地銀に代わる有力な選択肢を見つけるのは至難の業だからである。

そうなると、家庭の事情等でどうしても実家にUターンをしなければならない学生以外は、Uターン就職を諦めて東京(或いは関西)での就職を検討すべきということになる。

経団連の就活ルールが廃止され、就職の早期化が必至であることから、学生としては早い段階からUターン就職を考えるのか、東京に残って就職をするのかを真剣に検討することが必要となる。

3. 一番深刻なのは地方帝大の文系学生?

<九州大学経済学部の就職>
https://career21.jp/2019-03-07-064900

<大阪大学経済学部の就職>
https://career21.jp/2019-03-04-065451

上記は本ブログの過去記事の紹介であるが、地銀の収益力の低下による影響を受けるのはその地域の有力大学である。

九州大学、東北大学といった旧帝国大学の文系学生の就職先の上位には必ずといっていいほど地銀がランクインしている。
旧帝国大学の中でも上位の大阪大学経済学部でさえ、就職ランキングの上位には地銀が複数ランクインしている。

地銀が疲弊するということはその地域の産業・企業にも活力が無いということなのであるから、地元の有力大学に進学して、地元を離れず地元の有力企業に就職するという選択肢が取りずらくなる。

そうなってくると、地方国立大学の学生は地元に残るか東京で就職するかという選択を強いられることとなる。

有力な地方国立大学の場合、学歴フィルターで引っかかるということはないし、企業側としても早慶・MARCHといった東京の有力校に内定者が集中しすぎるよりもある程度の分散・多様性を好む。

このため、地方の有力国立大学の学生が東京での就職を検討しても十分に勝機はあるだろうが、ただ、その場合には十分な情報収集を行う必要がある。
距離という物理的な障害があるため、移動のための時間・費用・労力といったところが厳しいところだ。

これに対しては、大学のOB/OGが十分にサポートしてあげる必要があるし、大学側にも積極的な協力や情報提供が求められるところだ。