年収1000万超?ソフトバンクのフィンテック事業の中途採用(第二新卒含む)とキャリアについて

1. ソフトバンクの中途採用について

① 募集中の4つのカテゴリー

ソフトバンクくらいの巨大で儲かっている企業の場合、常に多くのポジションについて中途採用(第二新卒含む)を広く募集しているだろう。
転職エージェントも使うだろうから、HP記載のポジションに限定されないだろうが、平成31年4月26日現在、4つのカテゴリーで募集中である。

〇ビジネス
〇エンジニア
〇クリエイティブ
〇コーポレート

② このうち、「ビジネス」部門の「フィンテック事業」が気になった。

基本的にあらゆる部門で採用をやっているのだろうが、その中で気になったのが、「ビジネス」領域のうちの「フィンテック事業」だ。

https://career.saiyo-dr.jp/sb3c-recruit/Entry/select_job.do

これを見ると、詳しくは「Fintech事業のセールス・マーケティング担当エグゼクティブ」となる。

何故これが気になったかというと、あの「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」が根っこの採用部門だからだ。
この世界が注目する超巨大ファンドで、息の長いビッグテーマであるフィンテック事業に関わることができるのは大変魅力的では無いだろうか?

2. フィンテック事業のポジションの職務内容等

① 職務内容について

職務内容を見ると、「ミッション」は、「経営的な見地から金融プロダクト・サービスのセールス・マーケティング推進」とある。これだけでは、何のことかよくわからない。

「具体的には」というところを見ると、
・金融商品/サービスに係る営業戦略立案・企画・推進・プライシング
・高速PDCAマネジメント実現のための統合的なデータ分析
・デジタルマーケティングを軸とした新規顧客獲得と入金・取引の促進
・Webサイトの行動履歴や顧客データ分析による課題抽出・施策立案
とある。

要するに、株式会社One Tap BUYとか株式会社JScoreといった投資先企業のビジネス拡大に向けたデータ分析とマーケティング、新たな投資対象先の分析・検討といったところであろうか?

広い意味で、フィンテック事業に係る企業への投資や既に投資をした会社の成長戦略にどっぷりとつかることができる魅力的なポジションである。

② 将来のキャリアプラン

いわば巨大なVC事業である。募集要項にも書いてあるが、VCのようにハンズオンで投資をするファンドなので、投資先企業の経営幹部として出向する可能性がある。そうすると、その投資先企業がうまく成長すれば、フィンテック企業の経営者としてのトラックレコードや経営者としての報酬を得られる可能性がある。

また、この部門で順調に昇格すれば、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の運用従事者ということで、将来、ファンド、ベンチャー、事業会社、コンサル等、様々な途が拓かれる可能性がある。

③ 年収について

HPによると、「想定理論年収」として、853万5000円~1843万2000円と具体的な金額が表示されている。
これは、日本の事業会社としては魅力のある水準ではないだろうか?

3. 採用されるための条件・スペック等

この魅力的だと考えられるポジションであるが、どういったスペックの人材であれば採用されるのだろうか?

① 金融機関の企画職の人材を採用するのは難しい?

応募資格の「経験・スキル」を見ると、「金融ビジネス(証券・銀行・保険・決済など)における専門的なマーケティングスキル」とあり、他はリーダーシップやマネジメントスキルといった抽象的な事項である。

要するに、金融機関で経営企画や営業企画に在職中の者ということか。
しかし、そういった人材を採るのはなかなか難しい。というのは、金融機関の企画職といっても、フィンテック事業に精通している者はほんの一部である。まだまだフィンテックというのは大手金融機関ではマイナーな位置づけに過ぎない。
そして、国内系金融機関の企画職は普段英語が要求されない部署なので、英語力を課すと著しく候補者が絞られてしまう。

また、国内系金融機関の企画部門の課長とか課長代理クラスだと、年収は1000万円~1500万円位はあるので、このソフトバンクのポジションには給与面でのインセンティブがあまりない。
もちろん、ソフトバンクなので、このあたりの給与面に対するフレキシビリティはあるのだろうが、候補者を見つけるのは難しそうだ。

② 金融機関の若手にも第二新卒採用としてのチャンスはあるか?

上記のような事情から、金融機関の企画職でフィンテックに詳しく、英語が堪能な人材を採用するのは難しそうだ。

そこで、求められているスペックからは外れるが、金融機関の若手社員にもポテンシャル重視の第二新卒として採用される可能性もありそうだ。

その場合には、書面審査を通過して面接まで読んでもらえるくらいのスペックの高さが欲しいところだ。

このあたりの可能性については、転職エージェントに相談する他ない。興味があれば、考えるよりも実際に転職エージェント経由でサウンディングしてもらえばいいし、これとは少し異なるが他の面白いポジションを紹介してもらえるかも知れない。

なお、これはフィンテックのポジションなので、フィンテックについては十分学習することが必要だ。買収企業のOne Tap BUYとかJScoreの会社情報には目を通しておく必要があるし、自分なりに日本のフィンテックビジネスの将来性とか課題とかを語れるようになっておく必要があるだろう。

4. フィンテックビジネスについて留意しておくこと

このポジションについての留意点は、フィンテックといっても幅が広い概念であり、そのうちどういった事業が成功しそうかについて考える必要がある。
今、各社が必死でプロモーションをしている決済事業はフィンテックの1つかも知れないが、それだけでは儲けることができず、顧客を囲い込んだ上で、最終的にはネット証券、運用、融資、保険等の具体的な金融ビジネスに持ってきてそこで収益化を図るしかない。
そこで収益化を図るのにはまだまだ時間がかかりそうなので、そのあたりの時間軸を考えたり、思ったようにビジネスが拡がらない場合のプランBとかまで考えておく必要がある。

最後に

フィンテックの将来を読むのはなかなか難しいところがある。
どうやってマネタイズできるかはまだまだ見えてこない。
しかし、フィンテックに関して興味があり、何らかの成果を出せる自信があれば、十分に将来性のある面白いポジションだと思われる。
また、総合商社の中途採用と比べると、内定を得られる難易度は低いのではないだろうか?HPだけだと情報が足りないので、ソフトバンクに強いエージェントに相談したいところだ。

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