どうしても株式アナリスト(リサーチ職)になりたければ、第二新卒で準大手証券への転職を考えてはどうか?

1. かつての超花形職種も今は大変厳しいが

証券会社(セルサイド)の株式アナリストというと、かつては憧れの超人気職種であった。自分の個人の名前で仕事ができ、日経金融新聞(今は日経ヴェリタス)のアナリストランキングの上位にランクされると高給で引く手数多であった。

しかし、株式手数料の長期的・継続的な低下傾向と、2000年以降の各種の規制によって、今では大変収益性の低い、半分ミドル・オフィス的なポジションになってしまった。

このあたりの経緯については、こちらの過去記事をご参照下さい。
https://career21.jp/2019-02-07-185048

2. しかし、今でも魅力が無いわけではない…

しかし、株式アナリストの職業としての妙味が全く無くなってしまった訳ではない。というのは、国内系金融機関の合併や外資系証券会社の株式業務撤退に伴い、日本株式のリサーチ業務を提供する企業数が大幅に減ってしまったからだ。

株式アナリストの価値は、日経ヴェリタス等のアナリストランキングによって大きく左右される。ところが、日本株式のリサーチ業務を提供する会社が減って母集団が20社位になってしまった。となると、株式アナリストになることが出来れば、自動的にランクインできるようになるからである。

収益性が落ちたとはいえ、株式アナリストの仕事は絶対必要なポジションなので、無くなることはない。このため、今日本株リサーチ業務を提供している企業には残存者利得的なものもあり、その中で上位にいれば生き残ることも可能なのだ。

そして、外資系証券会社の株式アナリストのポジションにつくと、年収4000~5000万が可能となる。もちろん、景気変動によるボーナス低下やリストラのリスクは低いとは言えないが。

従って、株式調査が好きで、どうしても株式アナリストになりたいという若手にとっては、株式アナリストへの途を考える価値はあるだろう。

3. 株式アナリストのキャリアプラン

① 証券会社(セルサイド)のアナリストとしてのキャリア

王道はこちらで、生涯、株式アナリストとしてのキャリアを磨き続ける生き方である。株式アナリストの業務を行っている外資系証券会社は大手5~6社位になってしまったが、国内系証券会社や準大手証券会社も業務を継続しており、国内・外資を問わず転職によるキャリアアップを図ることが可能だ。

② 運用会社(バイサイド)のファンド・マネージャーを目指す

セルサイドよりもバイサイドとしての途を目指したというのであれば、若いうち(20代)であれば、運用会社(バイサイド)に転じてファンド・マネージャーを目指すという途もある。

もっとも、セルサイドとバイサイドでは求められる資質がかなり異なるし、バイサイドの場合はファンド・マネージャーを目指さなければならないので、転身を考えるのであれば20代、せめた30ちょいまでに対応しなければならないだろう。

4. 第二新卒として転職の対象となる証券会社

外資系は当然として、野村やみずほといった国内系大手証券会社の株式アナリストのポジションに応募しても、業務経験がなければ採用されることはまず不可能である。

このため、準大手証券会社のポジションを狙うこととなる。
もっとも、これより小規模の証券会社のポジションも見つかるかも知れないが、将来の転職や日経ヴェリタスのアナリストランキングを考えると、これらに絞った方がいいだろう。

〇東海東京調査センター
〇岡三証券
〇いちよし証券経済研究所

5. 準大手証券会社の株式アナリストのポジションに就く方法は?

上記準大手証券3社のHPを見ても、株式アナリストの中途採用は見当たらない。
しかし、あきらめる必要は無い。常時ではないかも知れないが、随時求人需要が出てくるタイミングがあるからだ。
このため、予め複数の国内系金融機関に強い転職エージェントに登録しておいて、転職エージェントか各社に打診をしてもらうという形態となる。
常にポジションがあるとは限らないが、求人ニーズが出た時には教えてもらえる可能性がある。

お声が掛かる条件としては、まず未経験ということであれば若くなければならない。20代でなければ難しいだろう。
そして、上記の準大手証券会社の社内にはいないような条件の持ち主である必要がある。そうでないと、わざわざ外から採用しなくても、社内の若手を異動させれば済むからである。

例えば、学歴については、早慶或いは地方帝大卒以上、職歴については見栄えの良い業界トップ企業、英語堪能、証券系の資格(証券アナリスト等)をそろえたいところだ。

そして、面接では未経験であっても必ず相場観を問われるので、株式投資を行ったり、常に市場の勉強をしておくことが必要だ。

かなり、ニッチでピンポイントなキャリア戦略であるが、株式や企業分析が好きで、アップサイドを狙いたい若手にとっては面白い選択肢かも知れない。

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