三井物産に第二新卒(キャリア採用)で転職する場合の年収や採用条件について

1. ES(キャリア登録)にWebテスト。まるで新卒?

① 2019年4月下旬から三井物産のキャリア採用がスタート

https://career.mitsui.com/recruit/

三井物産のキャリア採用という名の中途採用が始まった。例年、4月頃から採用プロセスが開始となっており、今年も同様の様だ。

採用プロセスは、

(1) Web履歴書による書類選考
(2) Webテスト
(3) ESによる2次書類選考
(4) 面接(複数回実施:7月中)
(5) 最終面接(7月上旬~8月上旬予定)
(6) 内々定(8月上旬予定)

という新卒採用を彷彿させる長い長いプロセスによって選考される。

② 他の総合商社との違いは?

他の総合商社も似たような中途採用を実施している。
違いがあるとすれば実施のタイミングで、三菱商事と三井物産は4月頃オープンになり、夏頃に終了する、期間限定採用である。
他方、住友商事、伊藤忠、丸紅は通年採用という形態を取っている。

また、募集対象部門についても違いがあり、三菱商事や丸紅は全ての部署が対象ではなく、特定の部門の採用となる。これに対して、後述するが、三井物産は全ての部門が対象となる。

<三菱商事のキャリア採用>
https://career21.jp/2019-04-22-100353

<住友商事のキャリア採用>
https://career21.jp/2019-04-22-180210

<丸紅のキャリア採用>
https://career21.jp/2019-04-23-172403

2. 三井物産が今回募集対象としている部門・ポジション

① 15の営業本部とコーポレート部門の全部門が広く募集

三井物産の今回のキャリア採用の特徴としては、全部門が広く対象となっていることである。もっとも、各部門の募集定員とかは記載されておらず、結果的には採用者ゼロの部門もあるのではないだろうか?
この点は部門ごとに採用定員を明示している三菱商事とは対照的である。
各部門とも、いい人がいたら取るが新卒のように定員は必ず埋めるということではないのだろう。

② 募集の条件・資格等の明示が無い

応募するための業務経験・資格については言及されていない。
また、何と、エントリーシート提出時には第一希望から第四希望まで選択するという。こうなると、限りなく新卒採用に近く、まさに実質的な第二新卒採用と言えるのではないだろうか。

3. 今回の三井物産のキャリア採用で内定をもらえるための条件

この三井物産のキャリア採用は、ES、WEBテスト、面接というプロセスにおいても、第四志望まで選択させる点においても、第二新卒の採用である。
従って、他の総合商社のキャリア採用と比べると、業務経験とかよりもポテンシャル重視ということだろうか。

そうなると、新卒と同様に、スペック競争が鮮明であり、学歴の代わりに現在の会社のネームバリューが最重視されるということだろうか。

英語は当然必要だろうし、コーポレート部門であれば、大手渉外法律事務所勤務の弁護士や、CFO部門であれば監査法人勤務の公認会計士が有利なのだろう。

そして、営業本部ではコンサル在籍者が有利であると思われる。
なお、コーポレートデイベロップ本部のM&A推進については、外銀とか国内系IBDが選好されそうだ。

そもそも、キャリア登録をさせて、Webテストを受けさせて、再度ESを書かせてといった面倒なプロセスは、既に十分な職務経験がある者向けでは無いだろう。

競争力のある人材は、このような「採ってやる」的な採用プロセスにわざわざ応募をすることは無いだろう。

4. 三井物産のキャリア採用後の年収とキャリアプラン

今回の採用は第二新卒に近いので、入社年次は現職のものを考慮した上で、他の総合職社員と同じ給与テーブルになると考えられる。
従って、3~4年目で年収1000万円、30歳で1500万円、40歳で1800~2000万円という国内系企業としては最上級の大変恵まれた年収が見込まれるだろう。
しかし、外銀のように、3000万とか5000万といったアップサイドは限定される。

課題は、新卒で入社したものと同様であるが、転職力は有りそうで無いということである。総合商社というのは日本にしかない特殊な会社なので、外資系に転職するキャリアプランは無い。他方、IBDやグローバル・マーケッツという金融プロフェッショナル、経営コンサルタント、ベンチャー企業といったキャリアは描きにくい。特に、40歳を超えると転職は厳しくなる。(もちろん、年収を下げれば可能性はあるが…)

経団連が終身雇用終了宣言をしたので先はどうかわからないが、とりあえず終身雇用を前提としたキャリアをメインシナリオにするしか無いのではなかろうか?

5. 転職エージェントの使用について

今回の採用プロセスを見ると、Web経由の申し込みだけが対象で、転職エージェント経由は一切受け付けないようにも思える。

しかし、いい人材がいれば転職エージェント経由のものを拒絶しなければならないというわけではない。三井物産からすると、とにかくいい人材を採りたいので、特に年収が高くない第二新卒の転職エージェントフィーが惜しいはずがない。
特に、ひっぱりだこのITビジネス企画系の人材は、この面倒な採用プロセスでは取りづらいと思われるので、転職エージェント経由でないと難しいのではないだろうか?

従って、ポジションによって三井物産のデマンドの強さは異なるだろうが、応募するかどうかは別として国内系の有力転職エージェントに相談する価値はあるだろう。

感想

総合商社の中でも、限りなく第二新卒採用に近い。
結局、半分位は外コン出身者となるのだろうか?
採用基準は新卒同様、スペック重視ということになるのだろうから、どうしても三井物産に今回採用されたいのであれば、英語とか資格とか十分なスペック上げをした上で臨みたい。間に合わなければ、来年もあるだろう。

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