私大へ転換?2020年実施の「大学入学共通テスト」への不安と対応策について

1. センター試験の「後釜」である「大学入学共通テスト」への不安

こちらの東洋経済ONLINEの記事でも解説されているが、案の定、センター試験の後釜となる大学入学共通テストの運営に関して、様々な不安が指摘されている。

https://toyokeizai.net/articles/-/277297

先日、2回目のプレテストの結果が発表されたのだが、国語と数学の記述式問題の正答率が低く、また、自己採点と実際の点数の不一致がある点が問題視されている。

例えば、数学の記述式の問題の正答率は1回目も2回目も10%にも満たない低い正答率であった。国語の記述式問題の完全正答率は、1回目のプレテストでは0.7%だったが、2回目では15.1%まで上昇したものの、回答のための必要条件を明示したことが原因とされ、それではわざわざ記述式を導入する意味は無いのではないかという意見もある。

また、採点能力とその公平性についても不安がある。今回のプレテストでは約2000人の学生アルバイトが対応したということだが、本番において記述式問題の公平な採点が確保されるのかが心配される。

2. 受験生は大変不安なので、それなら私立に切り替えようという考えも出てくるだろうが…

科目数が多く、ただでさえ敬遠されがちなセンター試験であったが、国立大学を受験する場合にはそれを受験せざるを得ない。
それに加え、大学入学共通テストへの切り替えに伴う対策等の負担増や、心理的な不安から、受験生としては国立大学を捨てて、私大専願に切り替えようという気も起りうるだろう。

しかし、それは必ずしも得策とは言えない。
何故なら、東京・関西の定員数の厳格化の方針に伴い、ここ数年において特に東京の私立大学の難易度はかなり上昇している。

加えて、センター試験の制度変更を嫌う受験生で既に私大専願に切り替えた者は少なからずいるだろうから、ますます東京の私立大学の難化を避けることができない。

特に、MARCH或いは関関同立に何とか合格できないと、就職における評価がグッと下がってしまう。いわゆる「学歴フィルター」というのは当然存在するので、MARCHや関関同立未満の大学に入ってしまうと、著しく就職で不利になるのである。

就職については、MARCH>地方国立ということが言われており、実際その通りであると思われる。しかし、MARCHよりも1ランク下の日東駒専になると、就職力は地方国立よりも明らかになってしまう。

地方国立の場合、あえて地元の企業を志向する学生も少なからず存在するので見かけ上の就職力は低く見えてしまうが、現在、40~50代の新卒採用の責任者の地位にある大企業のサラリーマンは国立大学を評価しており、評価は悪くないのである。

特に、滋賀大学のような伝統的に就職に強い地方大学は少なからず存在するので、MARCHに合格できる自信が無い場合には、地方国立を目指した方が堅いのではないだろうか?

<就職の良い滋賀大学経済学部>
https://career21.jp/2019-01-22-064409

確かに、大学入学共通テストの記述式の難易度の高さや採点の公平性などの不安はあるが、それは受験生にとっては同じ条件である。記述式は大学入学共通テスト全体の一部に過ぎず、過度に不安視する必要はないのでなかろうか。

3. 小学生、中学生であれば有名大学の付属を狙うのはアリ

現在、高校生であれば間に合わないが、まだ小学生或いは中学生であれば、大学入学共通テスト受験の不安や、私大の難化を逃れるために、有名私立大学の付属を狙うというのは十分にアリだろう。

早慶、或いはMARCHに付属の段階から入学するということだ。
推薦・AO入試、付属校の枠が増加し続け、一般入試の枠は年々狭まっていく傾向にある。そうであるならば、一般入試を回避し、付属から入学することを狙うというのは十分に合理性のある戦略だ。

特に、平成31年4月19日の、経団連の終身雇用終了宣言の影響を受け、就活についても就活ルールの廃止、通年採用の拡大等大きな変革の過程にある。
就活はどんどん前倒しになるため、一般入試で疲弊して就活対策が遅れると、せっかく頑張って難関突破したのに最も重要な就活で失敗してしまうということにもなりかねない。

これに対して、付属に入れば、入学とか資格取得とかを高校生の段階からじっくりと準備対応することが可能になる。
近いうちに、高校生の段階から就活対策を採り始める優秀層が珍しくなくなるのではないだろうか?

まとめ

案の定、センター試験の後釜の大学入学共通テストの運営には不安が一杯である。

しかし、だからといって国立大学を諦めて、超難関化している私大に切り替えるのは得策ではない。地方国立大学は、MARCHよりも難易度は低いと思われるので、就職力を加味すると、我慢して狙う価値はあるだろう。

また、小学生、中学生の段階であれば、あえて狭き門である一般入試に拘泥することなく、有名私立大学の付属に入学し、早い段階から就活対策を採るというのは合理的だと考えられる。

  • ブックマーク