1. 「自己紹介」は必ず面接で聞かれる重要項目である。
新卒と中途、国内系と外資系を問わず、面接において「自己紹介」は必ず聞かれる項目である。
「あなたの職歴を紹介してください」と包括的な説明を冒頭で求められるケースもあるし、面接官が個別的な事項に絞って質問をしてくる場合もある。
いずれにしても、「自己紹介」については面接では何らかの形で必ず問われる必須項目なのである。
2. 多くの人は、ただ冗長に新卒から現在までの社歴と職歴を延々と語る。
自分も外資系が長いので、自らが面接官の立場で面接するケースは多い。
ところが、ほとんどの人は、新卒から直近の社歴と職歴について時系列で淡々と説明する人が多い。
しかし、そんな情報は採用者側は職務経歴書を見れば一目瞭然なので、わざわざ面接で聞きたい項目ではない。この点について、求職者側は意識する必要がある。
従って、良い自己紹介ができれば、それだけでグッと他の候補者に差をつけることができる。
それでは、何をもってして「良い」自己紹介或いは「エッジの効いた」自己紹介になるのだろうか?
それは、ズバリ、「当該ポジションにピッタリフィットしている」ことを感じさせる自己紹介である。別に、凄さやスペックの高さを強調するのではない。
相手が求める求人の条件に「ベストフィットする」と思わせることなのだ。
3. ベストフィットするとはどういうことか?事例に即して考えよう。
それでは、ケーススタディで考えてみよう。例えば、今をときめくメルカリの重点強化部門であるメルペイの社長室長のポジションを見てみよう。
https://open.talentio.com/1/c/mercari/requisitions/411
そして、求人側は、例えば、みずほ銀行総合企画室の35歳調査役を想定しよう。総合企画室とは、事業会社でいう経営企画で銀行の超エリートのポジションである。このポジションであれば少なくともこれぐらいのスペックが必要だろう。
彼が自己紹介で、入社時からの配属と仕事内容を時系列で語っても刺さらない。
まず、「仕事内容」からこのポジションが求めるものを確認しなければならない。
「重点領域」として、以下の項目が挙げられている。
〇人事組織づくり、カルチャー醸成
〇CS/OPS組織づくり
〇セールス部門立ち上げ
〇コーポレートエンジニアリング組織づくり
〇セキュリティ強化
〇新規事業開発
4. この中から自分ができるもの、得意なものを抽出して強調する
この項目を全て充足する必要はない。範囲が広く、それは不可能だからだ。
みずほ銀行の彼の場合だと、IT系は難しそうなので、言うべきところは、
〇人事組織づくり、カルチャー醸成
〇CS/OPS組織づくり
〇新規事業開発
あたりだろう。そこで、これをまとめてみると以下のような感じになる。
〇私は現在総合企画室で、銀行の収益の多角を企図して、様々な新規事業の企画調査を行っています。その中で、特に重点的に行っているのがフィンテック関連事業で仮想通貨事業に関する収益性の検証と、米国のオンデックやレンディングクラブを参照しながらオンライン融資の調査企画業務に従事しています。
〇また、デジタルなシニア世代の取り込みのために、モバイルバンキング業務の効率化に向けたオペレーションの改善策と柔軟で迅速な組織体制構築に向けた取り組みを行っています。
太字箇所がキーワードであるが、相手のニーズに正面からぶつけていかないと記憶には残らない。
これだけでは不十分で、先方企業のミッションを取り込んで強い想いを伝える。
もちろん、これだけでは面白くない。ベンチャー企業の場合は「想い」が大切なので、【ミッション】を参考に、自分の想いを練りこんでみる。
〇私は、お金・融資を通じて経済社会を滑らかにしたいと考えて銀行に入行いたしました。その後、ITの急激な進歩とスマホの急速な浸透によって、日本のお金の在り方が大きく変わろうとしています。このため、私は総合企画部に志願して、銀行の「信用創造機能」「決済機能」をフル活用して日本のお金を変えるべくフィンテック関連業務に従事しています。
〇私は現在総合企画室で、銀行の収益の多角を企図して、様々な新規事業の企画調査を行っています。その中で、特に重点的に行っているのがフィンテック関連事業で仮想通貨事業に関する収益性の検証と、米国のオンデックやレンディングクラブを参照しながらオンライン融資の調査企画業務に従事しています。
〇また、デジタルなシニア世代の取り込みのために、モバイルバンキング業務の効率化に向けたオペレーションの改善策と柔軟で迅速な組織体制構築に向けた取り組みを行っています。
どうだろう?冒頭に、想いを挿入すると現在の業務内容にも説得力が出てくるだろう。
少なくとも、これくらいの事前の整理をしておかないと人気企業の人気ポジションに就くことは容易ではないだろう。