新生銀行に第二新卒で転職する場合の年収とキャリアプランについて

1. 新生銀行の特徴と転職する狙い

① 新生銀行は旧長銀(旧日本長期信用銀行)の流れを汲む様々な法人業務を手掛ける銀行

新生銀行はメガバンクと比較すると小規模であるが、かつてのエリート銀行であった旧長銀の流れを汲む、様々な法人業務を手掛けるユニークな銀行である。

不動産ファイナンス、ストラクチャード・ファイナンス、その他投資関連等、法人ビジネスに関する業務範囲は結構広い。

また、傘下に証券、アセットマネジメント(運用)、信託の子会社を有しており、グループで見るとフルラインの金融業務を手掛けている。

② 転職の狙いは、金融プロフェッショナルとしてのキャリアを形成すること

後述するが、新生銀行は規模的にネームヴァリューではメガバンクに劣るし、給与面でも若干メガバンクよりも少ないかも知れない。

他方、その分、第二新卒ないしは転職によって金融プロフェッショナルとしてのスキルを付けることができる部署に就く可能性が、メガバンクよりも高いと考えられるからである。

メガバンクは、グローバル・オープンとかGCFといった金融プロフェッショナルを目指せる部署は超難関である反面、リテール部門に関してはトップ学生の間では人気が無い。このため、メガバンクのコーポレート・バンキングとかマーケット関連のポジションに第二新卒・中途採用を狙っても難しい場合がある。

そこで、新生銀行の当該ポジションも対象として挑戦する意義は大きい。

2. 新生銀行で第二新卒・中途採用で狙いたい部門

金融プロフェッショナルとしてのスキルをつけるための転職であるので、狙いはリテール部門ではなく、法人を対象としたフロント部門である。

こちらが組織図となるが、不動産ファイナンス部、不動産法人営業部、スペシャルティファイナンス部、プロジェクトファイナンス部あたりが狙い目である。

こういった法人関係の部署で経験を積んで、特定のプロダクトのスキルを深めていくことが目的である。

<新生銀行の組織図:平成31年4月1日現在>https://www.shinseibank.com/corporate/about/organization/pdf/organization_j.pdf

3. 新生銀行の年収について

新生銀行の年収であるが、1年目は他の大手金融機関と大きく変わらず、残業代等全て合わせて400万円程度である。
そこから、少しずつ増え、3年目で500万円を越え、5年目で700万円というのが目安である。もちろん、景気動向や所属する部署の収益状況によって上下する。

8年目に部長代理に昇格すると、年収は800万円を越え、いわゆる課長に該当する推進役になる直前には1000~1100万円位が期待できる。
部長代理は残業代が付く役職なので、この金額は残業時間の多寡によって変動し、最近は働き方改革の流れで、長時間は付けにくくなるのが若干気になるところである。

そして、課長に相当する推進役に昇格すれば、1000~1400万円位のレンジとなる。部長代理と年収レンジで被るところがあるのは、推進役は残業代が付かないからである。1100~1300万円位が推進役のボリュームゾーンであろうか。

さらに、部長に昇格すると1500~2000万円位のレンジとなるが、他の企業と同様、部長になれるのは一部の社員のみである。

4. 新生銀行に転職した後のキャリアプランについて

① 国内系金融を対象としたキャリアプランか?

新生銀行の法人部門でスキル・経験を積めば、将来転職することは可能であるが、外銀を狙うのは難しい。
しかし、傘下の運用子会社(新生インベストメント・マネジメント)への異動を経て、外資系の運用会社を狙うという方法はある。

また、メガバンク、国内系大手証券会社、国内系運用会社のフロント部門に転職することは十分可能であろう。

② 不動産系のスキルを磨くことができれば可能性は拡がる

新生銀行は長銀の伝統を汲んでいるのか、不動産系の業務に強い。このため、不動産系の部署に就いてスキルを磨けば、将来、外資系の不動産ファンド等への転身も可能となるだろう。

不動産ファンドに関するキャリアプランはこちらの過去記事をご参照下さい。

https://career21.jp/2019-01-27-093711

5. 新生銀行に第二新卒・中途採用で転職するための条件

新生銀行の法人系の部署に第二新卒或いは中途採用で転職するには、メガバンクへの転職に準じたそれなりの高いスペックが求められる。

新生銀行の場合、伝統的に外資系を含む金融機関からの経験者採用が多いため、年齢が上になるにつれ、他業界からの転職は難しくなる。

主として25歳以下の第二新卒の場合には、他業界からでも可能性があるので、狙うならは早いうちということになる。
メーカーその他の事業会社の場合には、財務・経営企画系の部署に所属し、企業名や学歴を加味して書面通過の是非が判断されるだろう。

他方、大手証券会社や大手保険会社のリテール職の若手社員が応募することも考えられる。この場合にはリテールではなく法人部門が適していることを示すものが必要となろう。結局、大手のトップ金融機関で学歴が早慶以上で、英語ができることが歓迎されるなど、新卒時と同様の審査基準となるだろう。
第二新卒の場合は、ESとかグループディスカッションは無いものの、スペックによる競争となろう。

まとめ

金融のプロフェッショナル職は、特に近年、トップ学生の競争が激しい。
このため、金融機関のリテール部門に配属され、社内異動は難しいため、社外にキャリアチェンジの途を求める若手社員は少なからず存在するだろう。
そういった場合、旧長銀の流れを汲む、ユニークな法人ビジネスを展開する新生銀行は十分ターゲットとなり得るであろう。

そのためには、英語、会計系資格の取得、職務経歴書の書き方等、転職エージェントに相談するなどして、十分な対策を立てた上で臨みたい。

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