神戸大学法学部【22卒向け】の就職と進路について。法科大学院への進学はどうか?

1. 神戸大学法学部の概要

神戸大学法学部の定員は180名。
政治学科は無いので、法律学科の一学科体制である。
学生の男女比率は、6:4で、男子学生の割合がやや多くなっている。

2. 神戸大学法学部の進路について

① 法科大学院への進学者の状況

神戸大学というと、旧三商大の流れを汲み、経済学部・経営学部が看板学部であった。また、旧司法試験時代においては、司法試験の合格者数や合格率において特別目立った実績は無かった。

しかし、新司法試験制度に移行してから、神戸大学法科大学院の合格率・合格者数は全国においても上位であり、大阪大学法科大学院を凌ぐ勢いである。
このため、神戸大学法学部の学部としての存在感は上がって来ているように思われる。

神戸大学の卒業生の進路に関する開示状況は極めてよく、1人でも就職者のいる企業や官公庁を全て学部別に開示してくれている。

<神戸大学法学部の進路の状況>

http://www.career.kobe-u.ac.jp/contents/data/h29/bc.pdf

<神戸大学法学部の就職状況>

http://www.career.kobe-u.ac.jp/contents/data/h29/04.pdf

これによると、平成29年度の卒業者数は187名であり、進学者数は32名である。ここには法科大学院以外の大学院も含まれるので、大体15~20%位が法科大学院に進学し、法曹の途を目指すと思料される。

司法制度改革に伴う弁護士の収入の大幅な低下の影響を受け、法科大学院の人気は低下してきている。最も法科大学院への進学率が高い京都大学法学部で25%、東京大学法学部で20%、早慶で15%位なので、神戸大学法学部の法科大学院への進学者の割合は全国でもトップクラスではないだろうか?

3. 神戸大学法学部の就職の状況について

神戸大学法学部の場合、卒業者数が187名で、うち大学院への進学者が32名であり、就職者数は140名とかなり少なくなっている。
そして、法学部の特徴であるが、公務員になるものが多く、合計47名が公務員になっている。このため、民間企業への就職者数は100名未満である。

① 公務員の就職状況

神戸大学法学部からは、国家公務員に19名、地方公務員に28名になっている。就職者のうち、三分の一以上が公務員になっている。
詳細は先ほどの大学公式HPのリンクにあるが、主たるところを抜粋すると、以下のようになる。

国家公務員(抜粋) 経済産業省、大阪地方裁判所(3)、兵庫労働局(2)、陸上自衛隊(2)他
地方公務員(抜粋) 愛知県庁(2)、愛媛県庁、京都府庁(2)、広島市役所(2)、広島県庁、香川県庁(2)、高知県庁、山口県庁、神戸市役所(6)、大阪府庁、東京都庁、奈良県庁、福井県庁他

(平成29年度卒業生の就職状況:出所は神戸大学HPより抜粋)

② 民間企業への就職状況

神戸大学法学部の場合、約2割弱が法科大学院に進学し、約三分の一が公務員になる。このため、民間企業に就職する者は約100名と、他学部と比べるとその割合はかなり少なくなっている。

大半が就職者1名の企業なので、ある程度主観的な判断が入るが知名度が高い企業について抜粋すると、以下の通りとなる。

3名 川崎重工
2名 日本触媒、NHK、伊藤忠、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、リクルートキャリア
1名(抜粋) キリン、ロッテ、日本ハム、住友化学工業、富士フィルム、古河電気工業、住友電気工業、新日鉄住金、神戸製鋼所、小松製作所、デンソー、パナソニック、三菱電機、トヨタ自動車、ヤマハ発動機、三菱自動車工業、本田技研工業、九州電力、大阪ガス、NTTデータ、日本経済新聞社、JR西日本、近鉄グループホールディングス、阪急阪神ホールディングス、丸紅、三井物産、AIGジャパン、みずほFG、三井住友信託銀行、損保ジャパン日本興亜、第一生命保険、日本政策金融公庫、アクセンチュア

(平成29年度卒業生の民間企業への就職:出所は神戸大学HPより抜粋)

4. 神戸大学法学部の民間企業への就職状況についての考察

① 分散化していて、金融機関への就職者の割合が極めて低い

有力大学の文系学部の特徴としては、大手金融機関への就職者の割合が高いことである。トップ校の場合、2割~4割位が大手金融機関に就職していたりする。

神戸大学法学部の場合は、3メガバンク、第一生命、損保ジャパンなどの就職者はいるが、大手証券、東京海上、日本生命などの就職者は見られず、大手金融機関のシェアは1割程度となっている。

② 総合商社やマスコミなどの人気企業の実績もあり、全体的に多様化している。

学生の間で人気が高く内定を取るのが難しい総合商社の実績もある。伊藤忠に2名、三井物産に1名、丸紅に1名と合計4名が総合商社に就職しており、民間企業全体の就職者数が100名に満たないことを考えると、十分な実績と言えるのではないだろうか。

また、NHKに2名、アクセンチュアに1名など、人気のマスコミやコンサルの実績もある。

③ 超人気企業への就職者の割合であれば、経済学部に軍配か?

神戸大学法学部の場合、全体として就職人気企業・就職偏差値高位企業の割合が高くないように見られるが、それは学生が必ずしもそういうところばかりを希望しないからではないだろうか?

もっとも、総合商社、マスコミ、コンサル、大手金融機関、デベロッパー大手といった人気企業を志向するのであれば、神戸大学の経済学部の方がいいかも知れない。

<神戸大学経済学部の就職について>

https://career21.jp/2019-03-28-142358

まとめ

神戸大学法学部は、多数の者が法科大学院に進学し、また、多数の者が公務員となる。民間企業への就職状況も概して良好と言える。もっとも、最初から法曹や公務員よりも、いわゆる人気企業を志向する場合には経済学部や経営学部の方が適しているのではないだろうか。

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