三菱UFJモルガン・スタンレー証券のIBDに第二新卒・中途採用で転職する場合の年収、キャリアについて

1. 三菱UFJモルガン・スタンレー証券のIBDの特徴

① 総合職と戦略職(いわゆるプロ職)とで全く異なる給与体系

三菱UFJモルガン・スタンレー証券(以下「三菱UFJ証券」)と、モルガン・スタンレーMUFG証券(以下「モルガン・スタンレー」)とは、リーマンショックの際に、三菱UFJグループがモルガン・スタンレーグループに対して資本注入を行った。

このため、日本における証券ビジネスについては、三菱UFJ証券とモルガン・スタンレーとは協働体制をとっている。

ここで、わかりにくいのは、トレーディング、リサーチ、資本市場業務については、三菱UFJ証券とモルガン・スタンレーとはそれぞれ固有の組織を有しているが、いわゆる投資銀行業務(IB)については、三菱UFJ証券に一本化している。このため、モルガン・スタンレーの日本拠点においてはIBDは存在しない。

そして、三菱UFJ証券の投資銀行部門(IB)においては、他の総合職と同様の給与体系である総合職と、モルガン・スタンレー流の外銀に準じた給与体系の戦略職(プロ職)とが混在し、全く異なる給与体系となっている。

② 昔から中途採用は積極的に行ってきた三菱UFJ証券

三菱UFJ証券は銀行系の三菱証券に、もともとは野村グループに属していた国際証券を統合したものであり、古くから中途採用を積極的に行ってきた。この点は、同じ銀行系であるみずほ証券と類似している。

このため、中途採用でも入りやすい環境にあると思われる。

三菱UFJ証券はMUFGグループなので、国内には三菱系の強固な顧客基盤を有しているし、海外案件はモルガン・スタンレーグループとの提携により協働することができる。このため、IBDとしては、純粋の外銀IBDと比較すると、恵まれた環境にあるということもできる。

2. 三菱UFJ証券のIBDの給与水準

前述した通り、総合職と戦略職(プロ職)とでは全く給与体系が異なるので、以下場合分けして紹介する。

① 総合職の給与体系について

総合職の場合、初年度の年収は他の大手金融機関と基本的に同じであり、約400~450万円スタートである。そして、3年目で550~600万円程度である。

7年目の課長代理になると約700~800万円、30歳過ぎの部長代理で900~1200万円が1つの目安である。

30半ば以降、課長に昇格すると1200~1600万円、そして、40歳を過ぎて部長に昇格すると1700~2000万円程度である。もちろん、部長に昇格できるのは一部の社員に限られる。

以上のように、IBDとはいえ、総合職の場合には他の大手金融機関並みであり、特別高給という訳ではない。そして、これは同業他社にもあてはまるが、ボーナスが業績によって大きく変動するのが特色である。

② 戦略職(いわゆるプロ職)の給与体系

これは、モルガン・スタンレー的な給与体系であり、他の外銀IBDと準じたものである。

まず、初年度の年収が約800万円スタートである。そして、3~5年目で1200~1500万円となる。

そして、30歳くらいでVPに昇格すると年収は2000~3000万円、更に、40歳でEDになると、3000万円以上と高額である。
もっとも、他の外銀IBDと比較すると、やや少ないのではないかという声もあるようだ。

いずれにせよ、ボーナスの割合が高いので、業績による変動はかなり大きい。
戦略職(プロ職)の場合は終身雇用が保証されていないが、純粋の外銀のように激しいリストラリスクは無いようだ。したがって、可能であれば戦略職に挑戦するのが良いのではないだろうか。

3. 将来のキャリアプランについて

① 総合職の場合

IBD業務が好きで、高評価を得ることができれば、戦略職に転向するのが良いだろう。そうすれば、他の外銀IBDに転職することなく、大幅なキャリアアップを図ることができる。

また、バンカーとして他の外銀IBDのものと競っていく自信がないとか、他の職種、例えば、財務や企画に興味があると考えた場合には、社内異動も選択肢となる。給与では戦略職に劣るが、この辺の柔軟性が総合職の魅力である。

② 戦略職(いわゆるプロ職)の場合

ここでは、ひたすらIBDのプロとしてスキルを磨き経験をつけて上を目指す他ない。もちろん、他の外銀IBDや国内系証券会社、あるいはPEファンドに転職することも選択肢となる。

他の外銀IBDも同様であるが、60歳まで現在の高水準の年俸が保証されているわけでは無いので、40歳を過ぎてからのキャリアプランや資産運用について前もって早い段階から計画しておいた方がいいだろう。

4. 第二新卒或いは中途採用で三菱UFJ証券のIBDに採用されるには?

外銀IBDと同じスペックがもとめられるプロ職については、第二新卒・或いは若手の中途採用で入社するのは極めて難しいだろう。

したがって、狙いは総合職での採用となる。
もっとも、この場合もかなりのハイスペックが求められる。外銀IBD、外コン、総合商社、メガバンクのグローバル職或いはマーケット職レベルじゃないと、なかなか書面通過は難しいだろう。

メーカーその他の金融以外の事業会社の場合には、学歴、英語力に加えて、会社名と所属部署がシビアに見られるだろう。スペックが足りない場合には、US CPAとか証券アナリスト、或いは早慶、一橋のMBAコースで学歴ロンダリングをするなど、様々なスペック上げが必要となろう。

まとめ

三菱UFJ証券のIBDの場合、総合職であれば特別給与水準が高いというわけではない。しかし、頑張れば戦略職への転換の可能性もあるし、三菱グループとモルガン・スタンレーグループを通じた良質な案件には恵まれるだろう。

新卒で、三菱UFJ証券のIBDコースに入るのは至難の業であるので、第二新卒等の中途採用は、キャリアアップする大きなチャンスだ。

したがって、就活の際には準備不足で内定をもらえなかった場合には、働きながら準備をするのは大変であるが、挑戦する価値はあるだろう。

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