1. 野村證券のファイナンス(主計部)について
① いわゆる経理部・財務部である
野村證券は、幅広いポジションについて中途採用を行っており、ファイナンス(主計部)もその対象となっている。
https://progres02.jposting.net/pgnomura/u/job.phtml
平成31年4月16日時点で、こちらのHPを見ると、10ポジションが対象となっている。
ファイナンスといっても、引受業務・IBDにおけるファイナンス(DebtやEquityファイナンス)とは異なり、いわゆる経理部・財務部のことである。野村證券の場合、伝統的に主計部という名称である。
このポジションを見てみると、全て英文で驚いた人もいるかも知れないが、グローバル業務の割合が以前よりも増え、英語ができる人が特に中途採用では求められるようになっている。
従来は、主計部は各部から異動で配属された若手を鍛え上げて対応しており、それで問題なかったが、英語だけは海外勤務や留学でもしないとなかなか身に付かない。そこで、グローバル業務の増加に伴い、中途採用も行うようになった。
② ファイナンス(主計部)の社内におけるステータス
主計部は社内的にはそれなりの評価のある部署であるが、メーカーやその他の事業会社のように、役員になれる程のエリート部署ではない。
証券会社の場合、やはり、収益をあげるフロント部門が強いのである。
バックオフィスでは、人事関係がエリートであるが、これは生え抜きのエリート営業社員のポジションであり、基本的に中途採用の対象ではない。
2. ファイナンス(主計部)の年収のイメージ
① 非管理職(初級職、業務職、指導職)の年収水準
野村證券は基本的に国内系企業の中では最高水準の給与体系であるが、商社やマスコミと比べると最初のうちはあまり高くない。
新入社員を含む最初の3年間は総合職Aの場合、初級職という言い方をする。
初年度の年収は残業代やボーナスを含めて400万円程度である。
最初の3年間は昇給ペースも遅く、業務職になりたての25-26歳の時点でも年収は600万円程度である。
しかし、入社7年目の指導職(総合職Aでいう課長代理)になると、急上昇し年収は1000万円に到達する。
第二新卒で主計部に転職した場合は、総合職Aの体系になるか、投資銀行型の体系になるかは定かでなく、その人の年収や経歴によるのかも知れないが、一般的な総合職と大きく変わることは無いだろう。
したがって、入社2~3年目で転職した場合は、年収は550~600万円程度で大した年収アップにはならない。しかし、30歳位になると年収は1000万円に到達する。
② 管理職(VP)の年収のイメージ
主計部の場合、フロント部門程は昇格は早くは無いだろうが、30代前半で課長(VP)に昇格できれば年収は約1500万円程度になる。
そして、その後順調に行くと、40歳前後で次長(ED)に昇格すると、年収は1800~2000万円となる。
もっとも、更に上の部長(経営職)になるのは一部の社員のみであり、中途採用の場合は特に部長以上に昇格するのは難しい。
ただ、外銀のようにリストラがある会社ではないので、リスク・リターンを踏まるとEDまで昇格できると十分では無いだろうか?
3. 長期的なキャリアプランについて
第二新卒、中途採用で入った場合には、基本的に主計部で昇格を目指して働くこととなる。もっとも、同じ主計のラインではあるが、NY、ロンドン、香港といった現地法人のファイナンスに異動という可能性はある。但し、中途採用組の場合にはその確率は生え抜き社員よりも少ないかも知れない。
問題があるとすれば、国内系企業ではあるものの、特に中途採用で入った場合には社内異動の可能性が低く、上司と合わないと結構冷や飯食いの恐れがある。
更なるキャリアアップを図ろうと思えば、外銀のファイナンス(経理部)を狙うこととなる。外銀の場合、バックオフィスのボーナスは少ないので、VPの場合だと、基本給2000万円前後、ボーナス500万円の合計2500万円あたりがターゲットであろうか?
野村證券の中でEDに昇格できれば、リスクを取って外銀に行く妙味はそれ程大きくは無い。外銀のファイナンスにおけるEDのポジションは限られるので、アップサイドが特に大きいわけではない。
4. 第二新卒で採用してもらえるための条件、スペック
やはり、IBDと同様、高いスペックが求められる。
現在所属している企業のレベルが最重要で、少なくとも経理、財務、IR、経営企画といった数字を扱う部署に所属していることが必要であろう。
また、冒頭で述べた通り、中途採用の場合は英語力が無いとライバルに競り負ける可能性が高い。高度の英語能力は必要ないが、少なくともTOEIC860レベルは持っておきたいところだ。
そして、採用HPにも言及されているが、公認会計士、US CPA、証券アナリスト、CFA資格保有者が歓迎される。この中だと、証券アナリスト(CMA)が最も簡単なので、真剣に証券会社のファイナンス(主計)を目指すのであれば取得しておきたい。
5. 転職エージェントについて
現在、HP上で募集をしているからといって、必ずWeb経由で申し込まなければならないわけではない。
有力なエージェントの場合、ある程度採用のニーズとか基準についてより詳しい情報を持っているので、応募するかどうかは別として、リクルートやJAC、ビズリーチといったところには登録しておく必要があるだろう。
また、中途の場合には、英語が堪能なものを好む傾向にあるので、外資金融を主たるターゲットとした転職エージェントが有用な情報を持っている場合もある。
従って、以下のような外資金融に強いメジャーなエージェントにも登録し、広く情報を収集すべきであろう。
〇マイケル・ペイジ
〇ロバート・ウォルターズ
〇モーガン・マッキンリー
〇アンテロープ
〇カナエアソシエイツ
まとめ
IBDやグローバル・マーケッツと比較すると地味目なポジションかも知れないが、野村證券の主計部のポジションは高給で安定しているし、比較的汎用性も高い。
もちろん、第二新卒で入るのは容易ではないが、努力をして会計関係の資格とか英語能力をあげることによってスペック上げを図ればチャンスは確実に拡がるはずだ。
また、野村證券がだめだったとしても他の国内系証券会社や運用会社でもチャンスがあるだろうから、検討してみる価値はあるだろう。