京都大学文学部の就職について。マスコミは多いか?また、経済学部と比較するとどうか?

1. 京都大学文学部の概要

京都大学文学部は定員220名である。
学科は人文学科の一学科であるが、そこから、哲学基礎文化学系、東洋文化学系、西洋文化学系、歴史基礎文化学系、行動・環境文化学系、基礎現代文化学系の6学系に細分される。

学生の男女比率は、2019年4月入学生については、約6:4と、若干男子学生の比率が多くなっている。

https://passnavi.evidus.com/search_univ/0560/department.html?department=010

2. 京都大学文学部の進路について

① 思った程は多くない進学者の比率?

京都大学は学生の進路に関する情報開示が極めて良い。
こちらの「就職のしおり」において、就職者が1名でもいる企業や官公庁について、学部別に開示をしてくれている。
https://www.gssc.kyoto-u.ac.jp/career/wp-content/uploads/2019/09/shiori2020.pdf

これによると、京都大学文学部の2019/3卒業生は213名であり、そのうち進学者数は44名である。約21%が進学するのであるが、文学部という性質上、もう少し高いかと予想されたが、どうだろうか?

ちなみに、京都大学の教育学部の進学者数のシェアは約4割である。教育学部の就職状況についてはこちらをご参照下さい。
https://career21.jp/2019-04-16-135444

② 京都大学文学部の就職状況について

京都大学文学部の、2019/3の卒業生の内、就職者の総数は154名である。
「就職のしおり」は全ての就職先を開示しているが、アイウエオ順なのと、かなりのロングテールになるので、イメージをつかむために、以下、業種ごとに整理してみた(一部の業種は抜粋)。

公務員

 

総務省(3)、京都府(2)、石川県、大阪府、岡山県、尾道市、環境省、京都市(教員)、厚生労働省京都労働局、厚生労働省兵庫労働局、静岡県、静岡県(教員)、島根県、富山県、長野県(教員)、奈良市、姫路市、兵庫県(教員)

 

金融機関 野村證券(2)、三井住友銀行、京都銀行、クレディセゾン、じぶん銀行、損害保険ジャパン日本興亜、ニッセイアセットマネジメント、日本政策金融公庫、日本生命、三井住友信託銀行、ジェーシービー

 

メーカー

 

トヨタ自動車(3)、住友電気工業(2)、パナソニック、アイシン精機、国際石油開発帝石、サントリーマーケティング&コマース、JFEスチール、清水建設、住友金属鉱山、

住友精化、ダイダン、DMG森精機、日本製紙、日本製鉄、一建設、富士通、ブラザー工業、三菱電機、ヤマトミシン製造、レンゴー

 

マスコミ、商社、コンサル

アクセンチュア(2)、クニエ(2)、日本放送協会(2)、博報堂DYデジタル(2)、アビームコンサルティング、旺文社、KADOKAWA、共同通信社、シグマクシス、中央法規出版、東急エージェンシー、野村総合研究所、日本総合研究所、博報堂DYメディアパートナーズ、PwCコンサルティング、讀賣新聞大阪本社、讀賣テレビ放送、リンクアンドモチベーション

 

その他(抜粋)

 

関西電力(2)、アマゾンジャパン、エイチーム、大阪ガス、リクルートキャリア、ベネッセコーポレーション

 

(出所:京都大学HP「就職のしおり」より外資系金融キャリア研究所抜粋)

3. 京都大学文学部の就職状況に関する考察

① 公務員:特別多いわけでは無い

公務員となった者の合計は21名であり、約14%である。
文学部なので、もう少し多いかと思ったが他学部と比べても特別多くもなく、少なくもない。

Uターン就職狙いなのかも知れないが、地方公務員の割合が高いのが特徴である。

② とにかく金融機関が少ない

結構驚きなのが、金融機関への就職者数・就職割合ともに極めて少ないことである。金融機関への就職者は12名しかおらず、就職者のうちの1割にも満たない。
これは教育学部よりもシェアは低く、有力大学の文系の多くが金融機関に就職していることを考えると、極めて個性的である。

③ マスコミ、総合商社、コンサル等は少なくない。

文学部だけあって、NHK(2名)、旺文社、KADOKAWA、共同通信、読売テレビ放送、読売新聞大阪本社等への就職者が見られる。

また、文学部からは人気が無さそうなコンサルも、アクセンチュア(2)、クニエ(2)、アビームコンサルティング、シグマクシスに合計6名就職している。母集団の少なさを考えると決して少なくは無いだろう。

他に人気企業としては、東急エージェンシー、博報堂DYメディアパートナーズ、野村総合研究所、日本総合研究所、三菱地所、アマゾンジャパンなどが見られる。

④ それ以外は、極めて多様である。

それ以外は、メーカー、ベンチャー系、インフラ系、私立学校教員(灘、白陵他)等、就職先は極めて多様である。
この点は教育学部と類似しているかも知れない。

4. 京都大学経済学部との比較

同じ京都大学文系でも、やはり、経済学部と比べると傾向は異なるようだ。
経済学部の方が、いわゆる高就職偏差値企業、人気ランキングの高い企業への集中が鮮明だ。
また、外銀・外コンという東京のトップ学生の間で人気の最難関の業種にも挑戦する学生が少なからず存在するようだ。

京都大学の場合、経済学部と文学部との間に、難易度の差はほとんど無いので、経済学部に合格するのが難しいから文学部を選択したということはまず無いであろう。したがって、この点は価値観の違いと言えるだろう。
ちなみに、京都大学経済学部の就職については、こちらの過去記事をご参照下さい。

https://career21.jp/2019-02-26-064501

まとめ

京都大学文学部の場合、約五分の一が進学する。
就職者数の合計は154名と稀少性が高い。

就職先は多岐に亘っており、いわゆるマスコミ、コンサル、総合商社にも就職しており、このような人気業種でも京大ブランドを発揮できるため、文学部だから就職が不利ということはないであろう。
もっとも、外銀・外コンといったところを狙うのであれば、経済学部の方が適していると言えるだろう。

  • ブックマーク