京都大学教育学部の就職について。教員や公務員が多いか?

1. 京都大学教育学部の概要

京都大学教育学部の定員は60名。極めて小規模な学部である。
学科は教育学科の一学科体制であるが、現代教育基礎学系、教育心理学系、相関教育システム論系に専門学習分野が分かれている。

教育学部であるが他大とは異なり、現代の教育に関する諸問題を学問的に探究するのが目的の学部であり、教員養成のための学部でないということが特徴である。

2019年4月入学の学生の、男女比率は、約7:3であり、男子学生の比率がかなり高い。

https://passnavi.evidus.com/search_univ/0560/department.html?department=015

2. 京都大学教育学部の進路・就職の特徴

① 進学者の割合が、文系学部にしてはかなり高い

京都大学は就職先等、学生の進路に対する情報の開示状況が極めて良い。
こちらの「就職のしおり」において、1名でも就職者のいる企業や官公庁について、学部別に全て開示してくれている。

https://www.gssc.kyoto-u.ac.jp/career/wp-content/uploads/2019/09/shiori2020.pdf

これによると、京都大学教育学部の2019/3卒業生の総数は69名。
そのうち、何と約1/4の17名が進学している。
これは、京都大学教育学部が、教員の養成を目的にしたのではなく、教育に関する研究を目的としていることに起因すると思料される。

② 京都大学教育学部の就職者の状況

上記の「就職のしおり」によると、就職先は全開示されている。
就職者の総数がわずか50名なので、2名以上の就職先が京都市富士通だけであり、他は全て1名ずつとなっており、就職先は極めて分散されている。

「就職のしおり」はアイウエオ順で、イメージがつかみにくいので、業種別に整理すると、以下のようになる(抜粋)。

(2018年度 教育学部 就職者総数50人)

教員 大谷中学校、京都府、島根県、京都黎明学院

 

公務員 京都市(2名)、国土交通省航空局、東京都、国家公務員総合職

 

金融

 

メーカー 富士通(2名)、光洋機械工業、サントリーホールディングス、島津製作所、住友林業、第一三共、巴川製紙所、パナソニックオートモーティブ&インダストリアルシステムズ、富士通アドバンストエンジニアリング、富士通エフサス、三菱重工業、三菱電機、ワールド

 

サービスその他 NTTドコモ、数研出版、Speee、大広、中部電力、DeNA、東海旅客鉄道、日本郵船、ニトリ、PwCコンサルティング、ベネッセコーポレーション、VOYAGE GROUP、リクルートライフスタイル

 

(出所:京都大学HP「就職のしおり」より外資系金融キャリア研究所が抜粋)

3. 京都大学教育学部の就職内容に関する考察

① 教員になる者は少ない

本来、京都大学教育学部の目的が教員養成ではなく、教育に関する研究というのがメインであることから、教員になる者は多くない。
2019/3卒業生の実績は4名のみであり、就職者総数の1割にも満たない。

② 公務員の割合が一定数ある

公務員の就職者数が5名であり、ちょうど1割である。前年の2017年度においては7名であった。他学部と比べると、少なくも無いが、特別多いということでもない。

③ 民間企業への就職状況は多様であるが、2018年度は金融機関がゼロであった。

まず、何と言っても特徴的なのは、2018年度においては金融機関への就職者はゼロであった。前年の2017年度においては、東京海上日動火災、野村證券、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、明治安田生命と、5名の金融機関への就職者がいた。有名大学文系の場合、金融機関への比率が高いので、京都大学教育学部の金融機関ゼロというのはかなり例外的だろう。

他方、メーカーは2017年度においては7名であったが、2018年度においては十数名である。何故か、富士通及びそのグループ会社への就職者合計が4名も存在している。

金融以外のサービス業が最大シェアであり、マスコミ、コンサル、インフラ、ベンチャー、と多岐に亘っている。2018年度においては、Speee、VOYAGE GROUP、DeNAといったネット系ベンチャーが見られた。

④ 教育学部の場合、民間企業への就職は弱いのだろうか?

一般的に、教育学部の場合、文学部と同様に、法学部や経済学部と比べると、民間企業への就職が弱いのではないかと気にする人もいるかも知れない。

もともと、教育学部を志向する学生は、外銀・外コン・総合商社、大手マスコミに行きたいといった願望は持たないのかも知れないが、2018年度においては、金融機関、総合商社、電通・博報堂、キー局、デベロッパー等の就職実績がゼロ名というのは少し気になるところではある。

もっとも、就職者数が50人と極めて母集団が小さいので、年による差はあるだろうから、このあたりの判断は難しい。

まとめ

教育学部の場合、民間企業に就職する場合、法学部や経済学部よりも就職力が劣るのではないかと気になるところであるが、京都大学教育学部の場合は、京大ブランドがあるし、何と言っても稀少性があるので就職力については問題無いのではないだろうか?

むしろ、教育というのは汎用性が高い分野であるので、リクルート、ベネッセ、リンクアンドモチベーション等のヒト系の分野を狙ってみても面白いかも知れない。

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