みずほ証券IBDに第二新卒で転職する場合の年収、外銀との比較について

1. みずほ証券の業界における位置づけ

① 旧興銀証券系で歴史的に中途採用には積極的な会社

みずほ証券の出自は旧興銀証券系で、昔は興銀出身のエリートも数多く存在した。銀行系の証券子会社という位置づけであったため、昔から中途採用が多く、野村や大和のような証券系と違って、中途採用でも働きやすい状況にある。

② 生え抜き、IBD採用、銀行からの出向者、外銀からの転職者等、一国三制度?

第二新卒として中途採用で入るには、入りやすい環境かも知れないが、内情は複雑である。同じ会社であるが、新卒採用、IBDコース別採用、銀行からの出向者、外銀等からの転職者等、給与体系がバラバラなので同僚の給料が同じではない。このため、同じような仕事をしているのに、給与が異なるという不満(特に生え抜きから)もあり、給与の話をしにくいのは外銀と類似しているかも知れない。

③ 外銀に転職することは可能

みずほというと、親銀行のメガバンクにおける位置づけ等から、将来外銀に転職できるのか、気になるところである。

結論的には可能である。何故なら、中途採用は職歴・経験・実績で判断されるので、所属する会社の業界における位置づけは大手であればそれほど関係ない。従って、野村や大和にいるよりも不利ということにはならず、しっかりとした実績を積めば外銀に転職することによる更なるキャリアアップも可能である。

そもそも、外資系金融の場合は、国内系企業ほどは業界内の序列を気にしない。外国人からすると、野村、大和、SMBC日興、三菱、みずほの序列はあまりピンと来ないのである。実際、みずほ証券出身者で外銀で活躍している人達は普通に存在する。

もっとも、みずほ証券でも野村證券でも、中途で外銀IBDに転職するのは容易ではない。英語ができるというのは当然として、社内においてトップクラスのバンカーでないと、競争が厳しく優秀層が集まる外銀IBDで活躍することは難しい。

2. みずほ証券の年収について

① 新卒、出向、中途採用の一国三制度?で年収水準は一般化しにくいが…

上述したように、みずほ証券の場合、新卒、銀行からの出向者、外銀や国内系証券会社からの転職者と、給与体系がバラバラなので、なかなか年収水準を一般化するのは難しい。

もっとも、第二新卒で採用される場合は新卒のIBDコースに準じた給与体系になると思われる。その場合、IBDコースの新卒であっても最初のアナリストの数年間の間はみずほ銀行の総合職とあまり大きくは変わらない。

初年度は、残業代込で450万円程度の額面である。但し、月10万円近くの家賃補助があるので、これを含めると実質年収は550~600万円となるので、決して低い水準ではない。ただ、アナリストでいる数年間はあまり昇給しないため、若手の間では他社と比べて、不満があるようだ。

しかし、入社5年目位にアソシエイトに昇格すると、年収もグッと増え、ベースが700万円程度になり、ボーナス次第では大台の1000万円に到達する。

② 管理職以降(VP)の年収水準

30歳を過ぎて、無事管理職に相当するVPに昇格すると、基本給とボーナスを合わせると1400~1500万円位の年収となる。決して悪い水準ではないが、同業他社のIBDと比較をするので、必ずしも満足の水準というわけではないようだ。

外銀或いは国内系証券会社から中途採用で入ってくるプロフェッショナル契約の場合、リーマンショック前は、30代VPで基本給1000~1200万円で、ボーナスも同じくらいという事例はあった。しかし、リーマンショック以降は、中途採用のプロ職でも突出して年収の高い人は減っていっているようだ。

プロ職の場合でも、年収のレンジは2000~3000万円というのが一つの目安であり、外銀IBDのように年収5000万円というのは難しいと考えた方がいいだろう。

もっとも、外銀IBDのように厳しいリストラ等は無いので、リスク・リターンを踏まえると必ずしも不合理に低い水準ではないはずだ。

3. 第二新卒で採用されるための条件、スペック

① 新卒IBDコースと同様、高いスペックが求められる。

リーマンショック前と比べると、外銀や国内系証券のIBDコースが著しく難化しており、国内系証券のIBDコースから内定を取るのは至難の業となっている。

従って、第二新卒も同様に、高いスペックが求められる。
第二新卒の場合には、職歴・経験を問わないポテンシャル採用というのが条件であるが、結局多くのレジュメが集まるので、高い就職偏差値、高学歴、英語等のスペックが求められる。

結局、外銀IBD疲れの若手社員、コンサル、総合商社、監査法人(公認会計士)あたりのスペックが必要であろうか?
金融以外の事業会社からの場合、会社のネームバリュー及び所属部署が見られるだろうが、トップクラスの事業会社の経営企画や財務部門に所属していないとなかなか書面通過は厳しいと考えた方がいいだろう。

② スペックが足りない場合には、スペック上げを図るしかない。

現在の会社名、所属部署、学歴が足りないと考える場合には、スペック上げを頑張って図るしかない。英語力を鍛えてTOEIC860以上のスコアを作る、証券アナリスト(CMA)やUS CPAを取得する、或いは、国内系のMBA(慶應ビジネススクール、早稲田ビジネススクール、一橋ビジネススクール)に行って学歴ロンダリングを図るというのも一つの方策である。

20代のうちに頑張ってスペックを上げておかないと、国内系証券会社のIBDだけでなく、他の業界においても転職によるキャリアアップが難しくなってしまう。

4. 転職エージェントについて

今のところ(平成31年4月16日現在)、メガバンク系証券会社はHPを見ると中途採用をしていないようだ。

しかし、現在は人事異動の時期だし、業績的にもどこも2019/3期決算は厳しいので、自粛していると思われる。リーマンショックのような大きなリセッションが無い限り、待って入れば中途採用はオープンになるはずだ。

従って、リクルート、JACといった国内系の大手は当然として、独立系エージェントが多く集まるビズリーチにも登録して情報を入手する必要がある。
また、「証券会社 投資銀行 転職」のキーワードでGoogle検索をかけると、いろいろとエージェントが出てくるので、登録をすると良い。

証券会社は情報ビジネスなので、そもそも、転職情報も積極的に動いて熱心に収集するマメさと気力がないと業界ではやっていけないはずだ。

まとめ

同業他社のIBDとの比較において、給与水準に不満を持っている社員もいるようであるが、めったなことではクビにならない国内系証券会社のIBD職であることを考えると、決して悪いキャリアではないだろう。

また、みずほグループに属するので、中途半端な外銀よりも遥かに良質で多くのディールに関わることができるのも大きな魅力だ。

今は、第二新卒或いはジュニアポジションでの転職は容易ではないが、スペック上げをするなどして、挑戦したいものだ。

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