早稲田大学法学部【22卒向け】の就職、法科大学院への進学について

1. 早稲田大学法学部の概要

早稲田大学法学部の定員は740名。
学生の男女比率は約6:4となっており、男子学生がやや多い。
キャンパスは4年間、高田の馬場キャンパスである。

2019年の難易度については、パスナビによると偏差値は67.5と私立大学法学部の中ではトップクラスである。

https://passnavi.evidus.com/search_univ/3190/department.html?department=010

2. 早稲田大学法学部の就職について

① 法科大学院に進学する割合はどの位か?

早稲田大学法学部というと、旧試験の頃から司法試験に強く、多くの合格者を輩出してきた。
もっとも、法科大学院の運営では当初戦略を誤った感があり、合格率や合格者数で慶應大学法科大学院と比べるとやや劣勢のようである。
それでも、トップ校であることは間違いなく、どの程度の学生が法科大学院を目指すのか気になるところだ。

https://www.waseda.jp/folaw/law/applicants/career/

こちら、大学の公式HPによると、法科大学院への進学者数は合計99名となっている。卒業者数が約800名であることを考えると、十数%が法科大学院に進学し、法曹を目指すようだ。(もっとも、こちらの大学公式HPのデータは2016年3月卒業生を対象としたものであり、アップデートされたものではないが)。

司法制度改革に伴う弁護士数の急増とそれに伴う弁護士の年収の悪化により、弁護士の人気が低下しているのか、法科大学院を目指す学生の割合は思った程も高くないように思われる。

もっとも、最近では、法科大学院への進学割合は、東大法学部で約20%、一橋法学部で約15%、慶應大学法学部法律学科で約十数%ということを考えると、有力大学法学部の中では相対的に標準的と言えるのかも知れない。

② 就職者の動向

早稲田大学は卒業生の就職先に対する開示が極めて良い。学部別に、1名でも就職者がいる企業・官公庁については全て開示してくれている。

https://www.waseda.jp/inst/career/assets/uploads/2019/07/2018careerdata.pdf

これによると、2018年度の、早稲田大学法学部の進路報告者数は783名に対して、進学者数の合計が106名(法科大学院以外の大学院等も含む)、就職者総数が615名となっている。

そして、就職者のうち、公務員となるものが多くあり、約15%のシェアとなっている。これは、政治経済学部や商学部とと異なる、法学部の特徴である。

③ 具体的な就職先について

早稲田大学は、上記リンクの通り、全学部で5名以上の就職者がいる企業や官公庁について学部別に詳細に開示してくれている。ここでは、早稲田大学法学部からの上位就職先についてのみピックアップして紹介する(5名以上)。

(早稲田大学法学部 就職者数合計615名) 人数
国歌公務員総合職 18
東京都職員Ⅰ類 14
三菱UFJ銀行 11
国歌公務員一般職 9
富士通 7
三井住友銀行 7
大和証券 7
三菱UFJ信託銀行 7
りそなグループ 7
三井住友信託銀行 7
みずほFG 6
東京海上日動火災 6
日本生命 6
アビームコンサルティング 5
キーエンス 5
三井住友海上火災 5
野村證券 5
日本政策金融金庫 5
丸紅 5

(出所:早稲田大学HP 「2018年度 早稲田大学進路状況」より外資系金融キャリア研究所が抜粋)

3. 早稲田大学法学部の就職の特徴

①公務員が多い

トップの就職先は国家公務員総合職(18名)であり、他にも上位に、国家公務員一般職、東京都職員Ⅰ種、東京都特別区職員が見られる。
法学部の場合には、一般的に公務員となる者の割合が高いが、就職者の約15%位は公務員になるようだ。

②大手金融機関が多い

この傾向は、政治経済学部、商学部と同様である。
上位には、3メガバンク、東京海上火災、三井住友火災、日本生命、第一生命、大手信託銀行、野村證券、大和証券と大手の金融機関がズラリと並ぶ。

上記のリストに載っている金融機関だけで67名となり、これだけで約11%のシェアとなる。
やはり、大手金融機関は早稲田大学法学部でも人気のようだ。

③ 総合商社、コンサルにも就職

外銀・外コンと並ぶ、国内系企業だと最難関の総合商社であるが、早稲田大学法学部は、政治経済学部、商学部と同様、他大学と比べて多くの学生を総合商社に送り込んでいる。

2018年度においては、法学部から五大商社への就職状況は以下の様になっている。

政経 国際教養
三菱商事 3 6 0 1
三井物産 2 10 4 5
住友商事 3 10 3 2
伊藤忠 2 7 2 4
丸紅 5 3 0 3
合計 15 36 9 15

早稲田大学法学部からは、三菱商事3名、三井物産2名、住友商事3名、伊藤忠2名、丸紅5名と、五大商社に15名を送り込み、就職者数におけるシェアは2.4%となっている。学部別で見ると変動幅は大きい指標かも知れないが、2017年度の法学部から五大商社への就職者数は21名だったので、2018年度については減少という結果となった。

また、アクセンチュアに4名、アビームコンサルティングに5名、デロイトトーマツコンサルティングに1名、EYアドバイザリー&コンサルティングに1名と、コンサルティング会社にも就職実績があり、人気のコンサル業界にも人材を輩出している。

④ マスコミは他学部と比べるとやや苦戦か…

キー局、大手広告代理店は総合商社同様に内定を取るのが大変難しい。
2018年度においては、早稲田大学法学部から、電通に3名の就職実績があるが、政治経済学部や商学部と比べると、若干見劣りするかも知れない。マスコミでは、NHKに4人、日経新聞に2名、共同通信に2名他、一定の実績を有している。

4.早稲田大学法学部の就職における課題

① 弁護士の人気が低下傾向にある中、上位層はどう切り替えるか?

司法制度改革に伴う弁護士数の急増によって、弁護士の待遇が悪化し、上位校の学生の間で法科大学院の人気が落ちてきている。
このため、東大法学部では一部の上位層は、外銀・外コンに切り替えてきているようだ。

早稲田大学法学部では、まだこのような動きは見られないようだが、外銀・外コンを狙う学生がもう少し増えてもいいのかも知れない。

② ライバル校にどういった分野で差別化できるか?

上記の通り、早稲田大学法学部の就職状況は良好であり、法科大学院、公務員、民間企業とバランスの良い進路内容となっているのではないだろうか?

もっとも、それは他の有力校の法学部も同様であり、少子高齢化が継続していく以上、就職内容が良くないとライバル校に優秀な学生を取られてしまうので、何らかの特徴・強みを出したいところだ。

例えば、起業というのは早稲田大学が力を出しており、OB・OGの成功事例も豊富にあるので、この分野を強化しても面白いかも知れない。
というのは、法科大学院や民間企業への就職において、東大法学部、一橋大学法学部、慶應大学法学部と差別化するのは容易でないからだ。

まとめ

早稲田大学法学部の就職状況は良好であり、法科大学院への進学、公務員への就職者を含めてバランスのいい内容となっている。

もっとも、ライバル校との比較においては、必ずしも優位性があるとは言えないだろう。
今後は、何らかの特徴・差別化をしていかないと優秀な学生を集めることが難しくなるであろうから、例えば、起業等、独自の強みを作っていくことが課題となるのではないだろうか?

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