1. 新卒でグローバル・マーケッツから内定をもらうのは至難の業
SMBC日興証券が第二新卒を広く採用する模様だ。
エントリーは5月以降に可能なようだ。https://www.smbcnikko.co.jp/recruit/student/2019/2nd_graduate.html
これは、新卒採用で外銀或いは国内系証券会社のコース別採用で内定をもらえなかったハイスペックな若手社員には朗報だ。
コース別採用のグローバル・マーケッツ系は採用人数が少ないため、特に難易度が高い。
例えば、SMBCの2020年卒業生対象の新卒採用で見てみると、IBDは20名程度を採用予定であるのに対して、グローバル・マーケッツ部門の募集予定人数はわずか7名となっている。https://www.smbcnikko.co.jp/recruit/student/recruit/class2.html
このため、第二新卒の採用対象となるのは入社1~2年程度の若手社員となるのだろうが、今でもグローバル・マーケッツに関心があり、将来チャンスがあれば外銀に行きたいというAmbitionがある者には良いチャンスであろう。
2. グローバル・マーケッツにおける職種について
グローバル・マーケッツと言っても、その業務内容は多岐にわたる。
会社によって、部署名は微妙に異なるが、SMBCにおいては、以下のような部門が対象となるだろう。
〇機関投資家営業部
〇ストラクチャード商品部、金融市場部
〇ストラクチャード商品部
〇株式調査部、金融経済調査部
第二新卒の場合においても、このうちどういった業務に関心があるのか、また、自分自身の適性について説明できなければならないので、応募をする前にキッチリと固めておく必要がある。
3. グローバルな経済・市場動向に関心があることが前提
グローバル・マーケッツ部門で将来活躍するためには、少なくとも、グローバルな経済・市場動向に対する関心度が高いことが前提である。
例えば、「今年1年間の日経平均株価指数の高値と安値とその理由について、君の考えを聞かせて欲しい。」とか、「あなたがおすすめの株式の銘柄とその理由を説明して下さい。」といった質問に全く答えられないようでは、厳しいだろう。
IBDとは業務内容、求められる資質がかなり異なるので、IBDから鞍替えという訳には行かないだろう。
日々、株価、金利、外国為替、不動産、商品といった市況をウォッチするような人に向いており、学生の頃から、少額でも株式、FX、仮想通貨の取引をやっているようなタイプが望ましい。
昔は全くマーケットのことがわからない学生でも、グローバル・マーケッツ部門に配属されるケースはあったが、今は状況が異なるようである。
4. 採用される可能性があるスペックの人達
第二新卒での採用なので、現在の業種や職種は関係ないというのがタテマエではあるが、競争率はかなりの倍率になると予想されるので、ある程度客観的にフィット感のある業種・職種に限定されるのではないだろうか?
① 外銀の現職グローバル・マーケッツ部門の若手社員
外銀に入社して1~2年の、アソシエイトに昇格する前のアナリストと言われる若手社員である。
能力は高くても、上司や先輩に恵まれなかったとか、ワークロードを落としたいという希望のある人達だ。
スペックが高く、英語力や業務経験があるので、第二新卒としての採用に最も近いポジションと言えるのではないだろうか?
② メガバンクの市場部門の若手社員
メガバンクで市場部門に配属されるのはエリートであるので、入社1~2年目で、同じ国内系の証券会社に転職しようという気にはならないかも知れない。
しかし、市場部門といっても、銀行の扱えるプロダクトはFXとか公共債等に限定され、エクイティ系のプロダクトは扱えない。
このため、将来外銀への転身を考える場合には、同業である国内系証券会社のマーケッツ部門の方がより近い位置にある。そこで、この機に銀行から証券会社に転職することを考える者もいるだろう。
③ その他
IBDの場合は監査法人(公認会計士)やコンサルが有力な候補となり得るが、グローバル・マーケッツの場合は企業財務とか企業経営の知識は求められないので、特に有利とは言えないだろう。
また、事業会社の財務・IR系のエリート社員も同様で、相場に関する知識、センスはマッチしにくいかも知れない。
それでも、グローバル・マーケッツに行きたいという場合には、何らかの適性を証明できるような特性、経験等をアピールする必要があるだろう。
5. 応募の方法:転職エージェントを使用すべきか?
転職エージェントを使うと、その分フィーが必要となるので、転職エージェントを使うべきではないという意見もある。
しかし、金融のプロフェッショナル職の場合には必ずしもそうとは言えない。
採用する際の予算に転職エージェントのフィーを含んだ上で計上するし、金融機関にとって採用は高額かつ重要な投資であるので、フィーの高い安いが採否のカギになることはない。
とにかく、優秀で一緒に働きたいと思える人材を採用することが最重要なので、転職エージェントを使えば不利ということにはならない。
従って、国内系金融機関の場合には、リクルートとかJACといった大手エージェントは大手金融機関とはつながりがあるので、まずは相談してみるのがいいのではないだろうか?
大手の転職エージェントは、第二新卒について多くの事例を知っているので、どの程度のスペックであれば書面通過できるか等、アドバイスをしてくれるはずだ。
最後に:難化傾向が著しい国内系金融機関のコース別採用と早期対策の必要性
トップ学生の人気は、外銀・外コン・総合商社、そして国内系金融機関のコース別採用と、限られたところに集中しがちだ。
当然、競争は厳しく全滅する者の方が多くなってきている。
この競争に勝ち抜くためには、遅くとも大学2年生の春頃から英語や財務、Webテストといった対応策に追われることとなる。
経団連の就活ルールが廃止になると、早期対策の必要性は更に高まるはずだ。
最初の就職先はその後の、第二新卒、中途採用にも大きな影響を与えるので、大学入学後早い段階から準備をせざるを得なくなるだろう。