1. 就活でIBDに行けなかった者には大きなチャンス!
SMBC日興証券が第二新卒を広く採用する模様だ。
エントリーは5月以降に可能なようだ。https://www.smbcnikko.co.jp/recruit/student/2019/2nd_graduate.html
① 外銀IBDのみならず国内系証券IBDも狭き門
東大、早慶といったトップ学生は、プロフェッショナル・スキルの取得や若いうちからの高給を望む傾向が強く、外銀IBDに多くの者が殺到する。
しかし、外銀IBDの採用人数は業界全部合わせても100~200人程度であり、そのうちの多数が国内系証券会社のIBDコースを併願するようになってきている。
国内系証券会社は総合職は数百人規模で大量採用するものの、IBDコースについては各社せいぜい10~20人程度の採用枠であり、到底外銀IBDの滑り止めにはならない。
このため、不本意ながらIBDには就職できず、大手金融機関の総合職や他の事業会社に就職する優秀な学生は少なくないだろう。
そこで、今回のSMBC日興証券の第二新卒採用は、IBDに再挑戦することができる大きなチャンスだ。
② 第二新卒はIBDとしての職務経験を問わないので、幅広い業種の者に可能性がある。
本来中途採用は、職歴・経験重視であるので、同業者で、かつ、当該業務に対する経験が重視される。
しかし、第二新卒は例外で、当該業務の経験は必須ではなく、新卒の場合と同様にポテンシャルを重視して採用が決定される。
このため、金融機関以外の業種に就職した者も挑戦することが可能であろう。
2. SMBC日興証券のIBDに応募する前に確認しておきたいこと
① 本当にIBDが自分に向いているのか考えて見る
多くのトップ学生が志望するからということで、付和雷同的にIBDを志望した学生も少なくは無いだろう。
しかし、第二新卒は若い間(実質的には25歳、社会人経験3年未満)にしか行使できない貴重なチャンスであり、転職も何度も何度もできるものではない。
したがって、本当に自分がIBD業務をやりたいのか、向いているのかについて再考する必要があろう。
例えば、以下のような典型的なIBD関連の質問に回答することが苦痛だと感じれば、もう一度よく考えた方がいいのではないだろうか。
IBDに向いてなければ、機関投資家営業やトレーディングに切り替えるという選択肢もあるので、適性を十分に見極める必要がある。
〇最近気になったM&Aのディールを10個あげよ
〇自分がやってみたいM&Aのディールとその理由
〇武田薬品のシャイアーのディールについてどう思うか?
② IBDに必要なスキル、学習を行う意欲があるか?
IBDはハイスペック集団であり、仮に第二新卒でIBDに採用されたとしても、その後のキャリアアップのためには多くのスキルを身に着け、学習を継続していく必要がある。
例えば、英語力が不十分であれば将来外銀IBDへの転身は不可能なので、英語力を高める意欲があるか?
また、現在IBDの職に就いていないのであれば、証券アナリスト(CMA)やUS CPAの資格取得を行う計画があるか?
これが面倒だと感じるようでは、IBDの世界で勝ち残ることは難しいかも知れない。
3. SMBC日興証券のIBDで採用される可能性のある職業カテゴリー
第二新卒の場合、当該業務に対する業務経験は問わないので、現職IBDである必要は無いし、金融業界でなくても構わない。
とはいえ、業種も職種も全く無関係の場合には、採用するポテンシャルを見出しにくかったりするので、ある程度のパターンはあると思われる。
以下は採用可能性のある職業カテゴリーであり、これ以外からも採用される可能性はあるだろう。
① 現職外銀IBD
要するに、外銀疲れである。対象となるのは主として入社1~2年目位の若手(アナリスト)であるから、上司や先輩に恵まれなかったが、IBDの業務は好きだというケースであろう。ある意味、一番採用に近いポジションと言えるかも知れない。
② 監査法人(公認会計士、US CPA)
伝統的に、監査法人勤務の公認会計士が中途採用で国内系金融機関に転職するケースは多い。
監査法人勤務の場合で、特に公認会計士資格があると、財務は得意と考えてもらえるので、第二新卒で採用してもらうにはいいポジションだと思われる。
もっとも、監査法人勤務の公認会計士の場合は、第二新卒でなくとも、20代であれば経験者採用枠でIBDに採用されることも可能だろう。
③ コンサル
ハイスペックで、厳しい仕事で揉まれているコンサルは、国内系証券会社でも積極的に採用したいだろう。
国内系証券会社のIBDでコンサル経験者はあまり見当たらないと思われるので、稀少性の点で注目され、有利な存在だと考えられる。
④ 事業会社
事業会社の場合、財務・経理・IR・経営企画といったポジションについていれば、ある程度、「企業財務」という切り口でストーリーを描きやすい。
しかし、地方の営業所・工場勤務のような場合には、スペック的に見劣りするのは事実であり、英語力、資格(証券アナリスト、US CPA)、プログラミング能力といったプラスアルファが求められるであろう。
⑤ メガバンク、保険会社等の大手金融機関
このカテゴリーからの応募者が一番多いのではないだろうか?
ここでも、リテール部門とマーケット部門とでは、見栄えが違ってくるだろうが、メガバンクの場合には最初の1~2年は支店配属が大半であろうから、リテール部門だと採用されないということはない。
ただ、その場合には、資格、語学その他においてアピールできるものを作って行きたいところだ。
4. 採用の判断基準は「職務経歴書」と「面接」のみ
① 新卒の場合とは、ゲームのルールが異なることに留意すること
第二新卒とは言え、新卒とは異なり、れっきとした中途採用の一形態である。このため、以下の点で新卒とは採用のルールが異なることに留意しなければならない。
(1) ESやWebテストが無い。
学生時代に力を入れたこととか、自己分析とか、面倒くさい作文は不要である。
また、基本的にWebテストも無い。まあ、新卒のWebテストというのは、ESと合わせて学歴フィルタリングをするためのツールに過ぎないので、中途採用ではあまり必要ではないからだ。
もっとも、志望理由とか自分の強みは中途採用でも聞かれるので、ここはしっかりと考えておく必要はある。
(2) グループディスカッションが無い
中途採用の場合は、現職には知られたら困るという事情があるので、他社の人と一緒ごたで面接が行われるようなことは無い。
多数の者を仕切ったりするのが苦手な者にとっては嬉しい話であろう。
結局、中途採用の場合は、第二新卒も含めて、書類(職務経歴書)と面接の2つで決定されるシンプルな勝負である。
② 職務経歴書について
中途採用の場合、最初の関門が書類選考を通過することだ。
決め手となるのは職務経歴書で、その中で特に重要なファクターとなるのが、現在の会社のネームヴァリュー、現在の会社の所属部署、そして学歴だ。
新卒の時ほどではないが、第二新卒はポテンシャルを見るので、学歴も重要な要素の1つである。
しかし、何といっても重要なのは現在の就職先の会社名と所属部署である。
わかりやすく言えば、就職偏差値の高い会社かどうかということである。
総合商社、電通・博報堂、大手デベロッパー、政府系金融機関、コンサル、リクルート、ヤフー・楽天のような大手ネット系企業、キリン・サントリー等の人気メーカーの場合には、書類通過の確率が高まる。
また、金融機関の場合でも、メガバンク>地銀だし、生損保の場合でも大手の方が見栄えが良いということになる。
もっとも不利なのは、誰も知らない会社で、家業を継いだとか無名のベンチャー企業のようなケースである。この場合は、他の要素でスペック上げをする必要があるだろう。
③ 面接について
書類選考を通れば、次は面接だ。
面接は第二新卒に限らず、その後の経験者採用でも極めて重要なプロセスだ。
何故なら、採用というのは「一緒に働きたい」と思ってもらえるかどうかが決め手となるし、スペックだけで差別化するのは難しいので、最後は好きか嫌いかというのが重要になってくるからだ。
ここで問われるのはプレゼンテーション能力とか、人柄である。
プレゼンテーションについてはわかりやすく端的に話せる練習をする必要がある。
人柄ということでは、IBDの場合は客商売であり、チームプレイである。このため、自己アピールが強すぎたり、攻撃的で癖の強い者は好かれない傾向にある。このあたりは、転職エージェントからアドバイスをもらえばいいのではないだろうか?
最後に:ファーストキャリアの重要性
就活で第1志望に行けなくても、中途採用で逆転を狙うことも可能である。
しかし、その際に真っ先に書類選考の段階で見られるのは、会社名と所属部署である。ここがイマイチであれば、書類通過率が落ちてしまい、中途採用での逆転が難しくなってしまう。
このため、第1志望に行けなかった場合も、その先を見据えて、先につながる企業選びを慎重に行いたいところだ。