就活生や若手社会人は、まず「希望年収」を基準に、外資/国内、会社員/起業、職種・スキルを考えてみよう

1. 若いうちに自分の将来のキャリアプランを考えることは難しい

①キャリアプランにおいて考慮すべきファクター

学生や若手社会人の頃に、将来の長期的なキャリアプランを考えるのは難しい。そもそも、学生のうちは、まだ実際に働いた経験がないので、何が本当にやりたいのか、自分の価値観は何かについて明確な意思決定が出来なくても不思議ではない。

また、学生の頃にやりたいと思った企業に就職できても、思っていたのとは違う、或いは、配属が希望と違うということはよくある話だ。一旦社会人になってしまうと、キャリアチェンジには転職とか留学といった結構手のかかる対応をとらなければならないため、自分の将来のキャリアプランについて改めて考える必要がある。

その際には、

・そもそも自分はどれ位の年収を求めているのか
・自分は外資系で働きたいのか、国内系で働きたいのか、
・転職によって市場価値を高めたいのか、同じ会社で偉くなりたいのか、
・将来、独立・起業を考えているのか、そうでないのか、
・自分のコアスキル、職種は何にしたいのか、

といった個々のファクターについて具体的に考えていく必要がある。

②一番最初に「希望年収」を軸に考えると、大雑把な方向性が見えてくる

先ほどの、外資/国内、会社員/起業、転職/出世、職種・スキル、を考察するにあたっては、最初に「希望年収」を軸に考えると、自ずとその方向性が見えてくる。

希望年収 職業他
億~ 起業(IPO、M&A)

有力ベンチャー(ストック・オプション)

 

2000~ 外資金融(証券、運用会社、ヘッジファンド)

大手企業役員

 

1500~ 大手金融、総合商社、マスコミ、

外資メーカー

 

1000~ 大手企業

 

特にこだわらない 公務員

中小企業

自由業・フリーランス

 

これは、大雑把に、希望年収とそれを達成できる職業とを整理したものである。

③1億円超、億万長者コース

まず、1億以上というか、億万長者になりたいと本気で考える人は、起業家を目指すのが良い。IPOまで行かなくとも、数億円レベルでのM&AによるEXIT(株式売却)という可能性は高まっているので、ここを狙うのが良い。

もちろん、これは最終目標なので、それに至る過程はいろいろ考えられる。大手企業、外銀・外コン、大手ベンチャーで修業をしてからというのもあるし、本当の小さいベンチャーで修業をする途もあるし、学生時代から起業を行うという方策もある。

なお、当然ではあるが、実現できる確率は不透明であり、高いリターンを狙うためには、その分リスクも高いという代償を踏まえる必要がある。

④年収2000万円超コース

サラリーマンでの最高峰を狙うコースである。一番堅いのは、外銀で、早ければ20代で2000万を達成できるし、VPになると30代で4000~5000万、MDになると5000万~1億ということも可能である。

また、ヘッジファンドのポートフォリオマネージャーであれば、1億超(5億~)の可能性もある。もちろん、外銀は激務であるし、上まで上り詰めるのは大変である。

もう一つのコースは、大手企業で役員を狙うコースである。大手金融機関や総合商社で取締役になれば、2000万どころではなく、3000万超スタートである。事業会社の場合も、余裕で2000万は超えるであろう。

このコースの問題点は、とにかく時間がかかることである。役員になるのは早くて40代後半、下手すると50代である。

また、出世は運の要素も強く、取締役まで出世できる割合は低い。他方、日本の大手企業の場合は、外銀と違ってクビ・リストラのリスクが極めて低いので、そこは全く異なる点である。

⑤1500万~コース

これは、役員まで出世できなくても、日本の大企業の大半は年功序列なので特定の、超人気企業に入れば、誰でも達成可能である。

2000万という、サラリーマンでも確定申告が求められるところは、急にハードルが高くなるのに対して、1500万は企業によっては簡単に達成できるのである。

大手金融機関の中でもトップ企業(東京海上、日生、野村等)、
総合商社、マスコミ(キー局、電博)、
外資系メーカー(IT系、消費財系、製薬会社他)、

などが典型である。

⑥1000万~コース

これは、日本の大手企業に入れば、業種を問わずほぼ達成可能であろう。だからこそ、多くの学生は大手を目指すし、大手に就職しやすい大学を目指して受験で熾烈な競争が行われるのである。

⑦特にこだわらないコース

公務員が典型である。年収よりも安定性、ワークライフバランスを重視するというのであれば、上記以外の選択肢が可能となる。

また、企業・組織に属するのが向いていないという人は、起業・フリーランスを
目指す途もある。なお、こういった途は必ずしも年収が低いとは限らず、それなりの高収入を得ることも可能である。

ただ、クラウドソーシング的な単純作業(コモディティ業務)がメインであれば、フリーランスの場合は苦しい生活を余儀なくされる場合も多い。

2. 外資か国内か

起業・独立で一発当てようとまでは思わないが、それなりの高収入に拘りたいという人は、外資系企業が有力な選択肢となる。また、商社や金融に中途採用で入る場合にも、英語力が求められることが少なくない。

いずれにせよ、サラリーマンで高収入に拘りたいという人は、「外資系」を選択することによって可能性は拡がるので、英語は若いうちに磨いておくべきである。

3. 職種・スキルについて

最終的に起業して経営者を目指すにしても、外資系、国内系の一流企業で高年収を目指す場合においても、何らかのプロフェッショナルとしてのスキル、専門性が求められる。

エンジニアの場合はプログラミング能力であったり、金融の場合は、トレーディング、リサーチ、IBD、セールスといった分野で固有のスキルを求められる。
また、人事、経理、法務といった普遍性の高いスキルもある。

いずれにせよ、自分はどういった汎用性の高いスキルを習得するかについて意識し、選択していく必要がある。

終身雇用・年功序列の日本企業の場合、上記のような固有のスキルが無くても、
「管理職をやること、社内調整」だけでやっていけると揶揄されることもある。
しかし、基本的にそれだとアップサイドは望めないので、専門性・スキルを意識してキャリアプランを考えていくことが必要であろう。

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