起業に関心がある一橋、早稲田、慶應の学生は、東大の起業サークルTNKの門を叩いてみよう。

1. 東大生の価値観も変わりつつある?

東大生、特に文系最高峰の法学部の場合、従来はトップクラスの学生は司法試験或いは官僚を目指すというのがパターンであった。

ところが、年収が低い上、将来の天下り先も減少し、世間の尊敬も昔ほど得られなくなった官僚の人気は下がってきているようだ。

また、東大に限らず、法学部生の憧れであった最難関資格である弁護士も、司法制度改革に係る法科大学院制度と弁護士数の増加により、年収が大幅に低下し、魅力が大幅に落ちたと言われている。実際、東大法学部から法科大学院に進学するのは2割程度となっている。

それに対して、外銀・外コンが人気の様で、ステータス的なものよりも、年収に対する重要性が高まったという見方もある。

東大工学部においても、基本的なトレンドは大きくは変わっていないかも知れないが、戦コンを目指したり、起業を目指す学生も出てきているようだ。

2. お金持ちになりたい場合、外銀・外コン・総合商社は最適解か?

時代によって価値観は変わるし、世の中も変わっていくので、ステータスを追求するよりも、お金持ちになりたいという学生が増えてきても不思議はないだろう。

今、東大生の中で圧倒的に人気が高い就職先は、外銀・外コン・総合商社が3強である。

しかし、お金持ち、「年収」ということを判断軸とした場合、これらは果たして最適解だろうか?

総合商社は終身雇用で安定しているが、高収入といっても、20代で1千万円、30代で1500-1600万円、40代で2000万円という水準なので、特に東京においては、物凄く贅沢な生活を送れるほどの暮らしではない。

また、外コンも同様で、総合系の場合だとパートナークラスで年収は2000万円代
であり、MBBに代表される総合系はパートナークラスになると年収4000万円以上となるが、そこまでに辿り着く可能性は数パーセントの世界であり、仕事のハードさを考えると「年収」に対する魅力はそれほど高くはない。

結局、お金持ち、「年収」を軸に考えるとなると、外銀の一択ということにあり、その場合でも、リーマンショック前と比べると、1億円以上稼ぐのは至難の業となっている。

3. お金持ちを目指すのであれば起業/会社経営者を目指すべき?!

どこの世界でも、いつの時代でも、一番お金持ちになれるのは自らが会社経営者になることである。

もちろん、成功確率を勘案するとリスクは高い世界かも知れないが、成功した時のスケール感は、外銀での成功を遥かに凌ぐ。

IPOに成功すると、100億越えの世界だし、そこまでに至らなくとも、IPOを目指す過程でM&AでEXITに成功すると二桁億が可能である。

さらに、IPOを目指さなくとも、ベンチャー企業でのM&AによるEXITは増えてきており、数億円での売却事例はいくつも出てきている。数億円レベルのEXITとなると、起業と言っても、サイト(メディア)売却のケースも含まれ、ぐっと身近なものになってきていると考えられる。

そして、起業での成功が凄いのは、何よりも早い時期、20代での成功が可能ということだ。サラリーマンの場合、もっとも稼げる外銀でも、20代だとVPがせいぜいで、年収的にも1億円はとても無理だ。

このように、若くしてお金持ちを目指すのであれば、起業をするのが一番で、従来よりも成功パターンは拡がってきていると言える。

4. 起業の魅力はわかったけど、どうすれば起業できるの?

こうした起業の魅力は学生の間でも理解されつつあり、起業に関心のある学生の数は着実に増えてきているようだ。しかし、実際に学生時代に起業をする学生はほんのわずかであり、起業の仕方がわからない、教えてくれる人がいないというのがその背景にあるようだ。

5. そこで、起業サークルTNKの門を叩いてみよう

学生の間に起業をしたいが、自信が持てないといった場合には、優秀な先輩たちに指導をしてもらうのが一番だ。

東大には、TNKという2005年に設立された起業サークルが存在し、すでに起業家50人を輩出しているという。その中には、東証一部に上場した株式会社Gunosy代表の福島良典氏やGoogleに売却したロボットベンチャー(現在はソフトバンクに売却)株式会社SCHAFTのCOO鈴木稔人氏などの大物起業家もいる。

TNKの理念は、「20年後の当たり前を創造する」という志を持つ起業家を輩出することであり、イーロン・マスク等で知られるPayPalマフィアのような起業家集団を生み出すことだという。
(このあたりについては、以下の記事をご参照下さい。)

https://www.businessinsider.jp/post-164920

TNKに入ると、最大の魅力である人的ネットワークの恩恵を受けることが可能となる。既に起業での成功実績がある先輩たちから指導を受けることもできるし、
同期の起業を目指す学生とも切磋琢磨することによって、ますます鼓舞されることであろう。

但し、このTNKには選抜試験があるという。毎年100名程度の応募があるところ、面接で20~30人に厳選されるという。合格率が2~3割しかない、狭き門である。

従って、中途半端な興味だけでTNKの門を叩いても、起業における志や具体的な考え方などがしっかりとしていないと、東大合格者であっても落とされてしまうのだ。

6. 実は起業経験というのは最強の就活で使えるネタなのだが…

話は逸れるかも知れないが、実は、起業経験というのは就活で使える最強のネタである。

そもそも、学生時代に起業を経験したことのある者はほんのわずかであるので、稀少性がこの上ない。今、どこの企業も新たにビジネスを想像できる人材を強く求めているので、東大生であればなおのこと強い。

起業を経験すると、戦略、マーケティング、人材、ファイナンスとあらゆる課題に直面するので、コンサルが好きなケース面接などは怖くなくなる。

結果的に起業家を直接目指すという途を選択するのを止めて、就活に切り替えても、明るい未来が待っていそうだ。

もっとも、就活のネタとして、TNKの門を叩くのであれば、志が低いということで面接で落とされてしまう可能性が高いかも知れないが…。

それから、就活に切り替える際に留意しなければならないのは、起業に打ち込むと英語力が身に付かないということだ。

外銀・外コン・総合商社はいずれも英語力が要求されるので、就活に切り替える可能性がある学生は、起業活動を行う傍ら、コツコツと英語力を磨くことも怠らないようにしておく必要がある。

最後に

強いベンチャー企業の創設というのは、日本の産業界にとって大変重要なテーマであるので、東大の学生が起業の途を志すようになるのは望ましいことである。

今後は、東大においても、TNKとは別の起業サークルが出てくる可能性もあるので、そうなればますます面白くなるだろう。

なお、TNKは東大生だけでなく、他の大学の学生にも門戸を開いているので、早稲田、慶応、上智、一橋、東工大などの学生も挑戦してみてはどうだろうか?

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