「年収ちゃんねる」というYouTube番組で紹介された、高学歴があえてベンチャー企業に就職する勝ちパターンとは?
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「年収ちゃんねる」という、ベンチャー企業経営者である株本祐己氏が作成している番組がある。まだ開始して間もないが登録者は1万人を超え、地味に拡散している面白いコンテンツである。
この中で、学生のキャリアについて、最初にあえて新卒でベンチャー企業に就職するという少々ユニークな勝ちパターンが紹介されている。それは、以下のような手順になる。
①高学歴の学生が学生時代にベンチャー企業でインターンを行い実績を上げる。
②新卒で大企業ではなく、ベンチャー企業に就職し、活躍する。
③フリーランスとして独立する。
株本氏は、②と③の間にベイカレント・コンサルティングという大手のコンサルティングファームで転職しているが、大企業で働くことは必須ではない。株本氏が大企業にコンプレックスがあったので働いてみたかったという。
そして、株本氏は20代のうちに年収1,000万円どころか、独立初年度から年収3000万円を達成し、現在は年収7000万円あるという。
あえて、高学歴がベンチャー企業に行くことを勧める理由
興味深いのは、株本氏は「高学歴」の者に対して、あえてベンチャー企業に新卒で就職をすることを勧めている点である。
その理由は、一般的に高学歴の方が平均的なベンチャー企業の社員よりも仕事ができる場合が多いので、経営者から重宝され活躍できる可能性が高いからである。
ベンチャーだと、「学歴」なんて関係ないように思えるのだが、日本の場合には特に、優秀な人材がベンチャー企業に流れないので、高学歴な者の方が相対的に優秀であることが多いという。
この点については証明が難しく、議論の余地はあるだろうが、ベンチャー企業と大企業を両方経験した株本氏の話は十分参考になるだろう。
株本氏は、高学歴の者すべてにベンチャーに行けと言っているわけではない。
また、面白いのは、株本氏は全ての高学歴の学生に新卒でベンチャーに行くことを勧めているわけではない。外コンや外銀、或いは総合商社に行けるトップ学生はそちらに行った方が堅いと言っている。
そこまで超トップでなくとも、普通の高学歴の学生はベンチャー企業に行くことで十分成功できるということを紹介しているわけで、バランス感覚のある意見だと思う。
なお、ここでいう「ベンチャー企業」とは「狭義の」ベンチャー企業である。
なお、注意しなければならないのは、株本氏がいう「ベンチャー企業」とは、「狭義の」ベンチャー企業をいう。ベンチャー企業の定義は広く、リクルートやヤフーでさえ、ベンチャー企業と定義されることがある。
株本氏のいうベンチャー企業とは以下の2点を満たす本当のベンチャー企業である。
①従業員が10人未満のごくごく小規模の企業
②成長性が高い業務に従事している(ネット系)企業
ベンチャー企業に行くことのメリット
ここで紹介されているベンチャー企業に行くことのメリットは、世間一般で言われていることと概ね一緒だと考えられる。
株本氏は、「ベンチャー企業に行くと、『小さな船』を設計、製造、航海まで全て作れるようになる。大企業だと、大きな船だけで分業制でほんの一部の仕事しかできない。そして、『小さな船』が1から10まで作れるようになれば、大きな船も作れるようになる。」と表現されている。
もう少し、ベンチャー企業に行くことのメリットを具体的に言うと
①顧客の開拓(営業)
②サービスの企画
③サービスの実行
④契約等の付帯的な事務
⑤資金の回収
という、フリーランスができるようになる全ての工程を一人で完結できるようになるということだ。
高学歴がベンチャー企業に就職することの留意点
新卒でベンチャー企業に就職することについては、反対意見も多い。株本氏はベンチャー企業で成功しているが、具体的に、以下のような苦労もしてきた。
こういったことは、大企業ではあまり見られないことである。
従って、このようなエピソードを一つでも経験したくないという高学歴の学生は、大企業を目指す方が賢明であろう。
〇どぶ板営業をやらされる。
⇒フランチャイズ比較サイト作成において、広告主を募集する業務をやらされる。
〇同僚には仕事ができない社員が多いので、仕事は丁寧に教えてもらえない
〇元プロレスラーのパワハラ上司が採用された
〇すべての業務を自分がやらなければならない。
ベンチャー企業に行くことの妙味~独立した場合、大きな収入を得ることができる~
ベンチャー企業の妙味は、独立した場合には、年齢に関係なく大きな収入を手にすることができるからである。もちろん、ベンチャーで手掛けたビジネスが普遍性を持ち、単独でも自己完結可能な業務であることが必要だ。
なお、ここでいう妙味は、収入というフローが増えるということである。赤字でも高値がつくネット企業を売却してストック収入を得るという最近の勝ちパターンとは異なるところが面白い。
これは企業というより、「独立」なので経費がほとんどかからず簡単に始めることができるという手軽さがある。企業で会社を売却するというストーリーであれば、人の採用から始めなければならず、時間も手間もかかるうえ、採用能力やマネジメントノウハウと言った別のスキルセットが求められてしまう。
また、独立の場合、同じ年収1000万円でもサラリーマンと違って、経費が使えるというメリットもある。
意外感があったのは、高学歴⇒新卒⇒ベンチャーという経歴でも、若手であれば大企業から引く手数多という事実である。
株本氏は、24歳の時にベンチャー企業を退職し、「大手企業にコンプレックスがあったから一度働いてみたかった」という理由で大企業に転職した。
株本氏は大企業からいくつも内定をもらい、最終的に選択したのはベイカレント・コンサルティングという独立系コンサルティングファームの大手であり、外コンの次ぐらいに入るのが難しい高就職偏差値の企業であった。
評価の理由は共通していて、「ベンチャー企業で実績を上げた点」が大企業では稀有な存在だということだ。株本氏が在籍していたベンチャー企業は知名度があるわけでは無いので、純粋にベンチャーでの実績が評価されたということだ。
なお、ベンチャー企業の知名度が無い場合には、「学歴」も隠れた重要なファクターとなる。
これは株本氏自身も言及されていたのだが、ベンチャー企業のネームバリューが無い場合は、学歴も重要な役割を果たすという。非高学歴⇒ベンチャーだと、大手に入れなかったというバイアスで見られてしまうが、高学歴⇒ベンチャーだと、意識が高い学生だったととらえられるわけである。
従って、高学歴の学生が新卒でベンチャーに行く場合には、成功しなくても学歴が転職する場合に効いてくるのだ。
もちろん、学歴やベンチャー企業での実績を支えるのは、経験に裏打ちされた面接力
もちろん、名の無いベンチャー企業での若干数年間の実績と、学歴だけで大手の一流企業に転職できるわけではない。
株本氏の場合、ベンチャー時代に成功している社長と何度も商談することにより、鍛えられたわけである。
したがって、同じ24歳と言ってもほとんど戦力になっていない大手の若手社員と、2年間ベンチャーでもまれた24歳とでは、面接においての印象が全くことなるわけである。
就職するベンチャー企業と業務内容がカギだが、隠れた成功パターンの一つとなるだろう
株本氏のように華々しく成功するためには、ベンチャー企業の業種と職種を吟味する必要があるのであるが、そのためには学生のうちにベンチャー企業でインターンすることが不可欠だろう。
実際にベンチャー企業で働くことでその問題点とか将来性とかを感じることができるからである。「合わない」と思えば、大企業に行けばいいのだ。
また、ベンチャーに行くのであれば将来の「独立」も視野に入れることができる人が向いているので、独立するに足りるスキルを習得できるかというチェックを合わせて行う必要もあろう。
私も学生であれば、ベンチャー企業でインターンをして、こういったキャリアに是非チャレンジしてみたいと思う。