1. 「稼ぐが勝ち ゼロから100億、ボクのやり方」
ビジネス書というのは、結構話題になった本でも2~3年も経てば、書店の棚から消えてしまう。
このため、ブックオフとかに行くと、一昔前の話題のビジネス書が並んでいて、意外な掘り出し物が見つかったりすることがある。
ホリエモンのこの本が出版されたのは2004年の8月。今から15年も前である。
今はリタイア後のような生活をしているホリエモンに比して、当時は飛ぶ鳥を落とす勢いだったので、ここ最近の著作物よりも本書の方が参考になるところは多いかも知れない。
2. 成功の極意は「営業」にあり
本書は、エッセイ風にホリエモンが起業で成功する秘訣をいろいろと語っているのだが、その中で一番印象に残った件は、成功の極意は「営業」にあるということだ。
「営業を頑張る奴なんて馬鹿だ!」とでもいいそうな気もするのだが、当時は極めてシンプルに、何故成功の極意は営業にあるのかについて語っている。
3. 「営業が全て」
ホリエモンは、ネットビジネスで成功する秘訣は営業にあるという。何故か?
それは、「商売とは物を売ってお金を儲けること」である。そのためには、「物を売るために営業が必要なのである」とシンプルに説く。
また、ホリエモンは、「良い商品さえ作れば自然とお客さんが集まってくる」というのは誤りだと強調する。反対に、良い商品でなくとも普通の商品でも、きっちりと営業すれば売れるはずだというのである。
ここのところをわかっていない人が実に多いので、だから上手く行かないのだと
ホリエモンは言う。
4. 営業するには「気合と根性があれば十分」
ビジネスで成功するには、モノを売らないと始まらないので、営業が大事なのはわかった。でも、「どうすれば営業が上手くできるようになるのか?」というのが気になるところである。
この点、ホリエモンは、ズバッと「営業するには『気合と根性があれば十分』」
と言い切っている。
「佐川急便みたいなことを言うじゃないか」と思われるかも知れないが、事実、ホリエモンは本書の中で佐川急便みたいな営業が正しいのだと説く。
ホリエモンは、ネットビジネスというと何かスマートなイメージを持つのかも知れないが、もともと商売とは泥臭いものであるという。
さらに、ホリエモンは、「マネーの虎」を例に出して強調する。企画やアイデアの良さをアピールして、何も実績が無いのにお金を出してくれというのは誤りである。
その前に、「実際にこの方法でこれだけ売れたのだから出資してくれ」と実績を作るのが先だという。
アイデアの中味よりも実績というのは、いかにも起業家というより商売人である。
5. 「とりあえず一つ売れ」
モノの中味は普通でも、とにかく「気合と根性」の営業で売れ、とホリエモンは説く。
そして、まず一つ売ることの重要性を強調する。何故かというと、一つ売れれば自信がつくし、実績もできるので、二つ目、三つ目も売れるようになるからである。
ライブドアの前身の、ホリエモンが起業した「オン・ザ・エッジ」はホームページの製作代行を生業としていた。
考えて見れば、ホームページの製作代行というのは、コモディティ業務であって、「オン・ザ・エッジ」にしか作れない斬新なサービスではない。
しかし、若き頃のホリエモンが熱心な営業をすることによって実績を作り、タイミングが良かったということもあるが、第一次インターネットの波に乗って成功へのきっかけをつかめたのである。
感想
今は、AIとか〇〇テックという技術面が強調され、いかに他とは違うサービスや技術、あるいはビジネスモデルを創り出すことに腐心している起業家が多いのではなかろうか?
そうした中、ホリエモンの、モノの内容は普通でもいいので、気合と根性の営業力で押し切って、実績を作って会社を売り出していくという成功の極意は斬新な気がする。
「ネットビジネスだからスマートなものを創造するのは誤り。商売とは本来泥臭いものである。」というフィロソフィーを実践できる起業家は逆にチャンスかも知れない。
成功したビジネスマンの本というのは、成功してからの本よりも、成功する前とか直後あたりの本の方が参考になるかも知れない。