1. 神戸大学経済学部の就職状況について
①神戸大学経済学部の基本情報
神戸大学経済学部の定員は270人。男女比率は、7:3位で、男子が多い。18人が大学院に進学し、就職者総数は238人である。意外に公務員になる者が多く(38人)、民間企業への就職者は200人である。
神戸大学経営学部と比べると、ここの定員は260名、男女比率も約7:3、就職者総数は244人であり、かなり似通っている。ただ、公務員になる者が16人と経済学部と比べると少なく、民間企業に限ると就職者数は220人強であり、若干経済学部より多い。
②関西(特に阪神間)では非常に人気・評価が高い学部
神戸大学経済学部は旧三商大の流れを汲み、歴史もある上、立地環境の良さと、
「神戸」という響きが好まれるのか、関西地区(特に阪神間)では非常に人気があり、難易度も高い。
他方、首都圏在住者からすると、関西地区の全般的な経済的地位の低下に加え、
「旧帝大」では無いということから、横浜国立大学経済学部と同じ位という意識しかない。
関西居住者は、神戸大学経済学部と慶応大学商学部とW合格すると、神戸大学を選択するという程の地元での評価である。
③神戸大学経済学部の具体的な就職先
神戸大学の就職先に関する情報開示は大変良く、1名でも就職者がいる企業については全て学部別に開示してくれている。もっとも、2年おきに集計しているからか、直近のデータは平成28年度卒業生のものであるが、まあ、大きくは変わらないであろう。
民間企業就職者が200名位しかいないが、1名の就職先についてはかなりのロングテールになるので、1名の就職先企業については主なところを抜粋することとした。これは主観的な判断が入るが、東京の学生が好みそうな人気企業はこの1名の枠に結構入っている。
13人 | 三井住友銀行 |
10人 | みずほFG |
6人 | 三菱UFJ銀行 |
4人 | 三菱電機、信用農業協同組合連合会、東京海上日動火災 |
3人 | クボタ、あおぞら銀行、ゆうちょ銀行、りそな銀行、伊予銀行、紀陽銀行、第一生命 |
2人. | サントリー、村田製作所、日立、富士通、アドヴィックス、トヨタ、住友倉庫、丸紅、住友商事、三菱UFJ信託銀行、三井住友信託銀行、
大和証券、野村證券、池田泉州銀行、中国銀行、明治安田生命 |
.1人(抜粋) | 味の素、キリン、P&G、日本ロレアル、新日鉄住金、神戸製鋼、住友電工、ソニー、デンソー、パナソニック、三菱重工、関西電力、NTTデータ、サイバーエージェント、セプティーニ、ユナイテッド、ワークスアプリケーションズ、楽天、電通、野村総合研究所、JAL、JR西日本、ニトリ、ファーストリテーリング、伊藤忠、三井物産、双日、みずほ証券、三井住友海上火災、商工組合中央金庫、損保ジャパン、農林中央金庫、三菱地所、PwCアドバイザリー、デロイトトーマツコンサルティング、三菱UFJリサーチ、博報堂DYメディアパートナーズ、あずさ監査法人、監査法人トーマツ |
(平成28年度卒業生。神戸大学HPの資料を基に作成)
2. 神戸大学経済学部の就職先に対する見方
①金融、メーカー、サービス、商社、ベンチャーとバランスの良い就職状況
まず、大手金融が最大シェアで、メガバンクだけで15%である。メガバンクに、東京海上、野村證券、明治安田生命、農林中金等を加えた大手金融機関というカテゴリーで約30%のシェアとなる。
意外に地銀がちらほらと見られ、これらを含めると約4割が金融機関に就職している。
また、味の素、キリン、サントリー、ソニー、パナソニック、三菱重工、日立、三菱電機、村田製作所とメーカーにも幅広く就職している。
注目されるのが、東京でも人気の超難関企業にも就職者を出しており、P&G、日本とレアルといった外資系消費財メーカー、電通、野村総合研究所、三菱地所といった超難関企業の実績が見られることである。
もちろん、総合商社も、住友商事2名、丸紅2名、伊藤忠1名、三井物産1名、双日1名と合計7人が就職している。
また、楽天、サイバーエージェント、ユナイテッド、セプティーニといったネット系にも就職しており、まんべんなく、人気企業や大手企業に人材を輩出しているのが特色である。
②神戸大学経営学部との比較
就職先企業を定量化することが出来ないので、ある程度、主観的な判断にならざるを得ないが、高就職偏差値・就職人気ランキングという視点に基づくと、神戸大学経済学部の方が優っているようだ。
そう感じたのは、いわゆる大手・人気企業への「率」という点で神戸大学経済学部の方が神戸大学経営学部よりも高いからである。
また、電通、P&G、野村総合研究所、三菱地所といった超難関企業への就職者の有無などから、神戸大学経済学の方が光っているところが多いように感じられた。
パスナビなどを見ると、何故か偏差値的には神戸大学経営学部の方が難易度が若干高そうであるが、就職については、神戸大学経済学部の方が若干優位であるように思える。
神戸大学経営学部は日本一の経営学部というプレミアムがあるのかも知れない。(早慶、一橋は「商学部」なので)
3. 神戸大学経済学部の就職における課題
地帝の経済学部等、非東京の大学は、就職において苦労しているようであるが、神戸大学経済学部の場合は全般的に良好である。上のリストに記載した企業だけで、全就職者の約7割を占める。
大手の優良企業という切り口であれば、ほぼ希望したところに入れるのではないだろうか。
となると、結局課題は、他大学、特に一橋や慶応のような在京の有力大学との比較においてであろう。
外銀・外コン、マスコミ、総合商社といったところで、一橋や慶応には勝てないということだろうか?
もっとも、これは神戸大学経済学部の学生が採用されないということではなく、挑戦する者が少ないというだけであろう。
もちろん、就職は個人の価値観の問題なので、外銀・外コンに興味がなければ構わないのであるが、大学としては、ある程度は行ってもらいたいところではないだろうか?
そのためには、情報収集と、上京して就活をするということが求められるわけだが、京都大学経済学部の学生はそれを実行しているので神戸大学経済学部の学生もそれを参考にすると良いのではないだろうか?
感想
地方の有力大学が就職において苦戦する中、神戸大学経済学部の就職状況は良好で、非東京の経済学部では、京都大学経済学部の次くらいの位置づけであろうか。
また、神戸大学の経営学部と比べても、伝統の経済学部の方が良好だと思われる。
立地条件等により、一橋や慶応よりは就職力で劣るかも知れないが、MARCHよりは明らかに良好であろう。
京都大学経済学部の学生のように、頑張って上京して、外銀・外コン等にチャレンジすれば更に発展できるのではないだろうか。