「しょぼい起業で生きていく」、「えらてん」型のローコスト経営のビジネスモデルの妙味。

1. 「しょぼい起業で生きていく」とは?

本名宮内春樹氏、愛称は「えらてん」(「えらいてんちょう」の略)で、ブログ、ツィッター、YouTube等のSNS界隈での有名人が、小規模でローコストなビジネスで生活する方法を各種メディアや書籍で紹介されている。

この「しょぼい起業で生きていく」とは、2018年12月に出版された書籍のタイトルである。
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%97%E3%82%87%E3%81%BC%E3%81%84%E8%B5%B7%E6%A5%AD%E3%81%A7%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%8F-%E3%81%88%E3%82%89%E3%81%84%E3%81%A6%E3%82%93%E3%81%A1%E3%82%87%E3%81%86/dp/4781617336

2. ネットで稼ぐのは難しい?

えらてんさんは、1980年生まれの28歳。
慶應大学経済学部卒の高学歴であるが、一風変わった方で、普通に就職したいとは思っておらず、何からの起業で生計を立てたいと考えていたようだ。

となると、今の時代、誰もが考えるのはネットでの起業である。しかし、えらてんさんはネットで稼ぐことは意外に難しいと考えていた。

というのは、個人がネットで稼げる手段は結局アフィリエイトであるが、アフィリエイトは稼げる分野(クレジットカード、金融、美容など)は競争が大変厳しく、かなりの労力を使うし不安定だからだ。

noteとかオンラインサロンといったコンテンツ販売というのもあるが、かなりの知名度、要するに多くのファンをつかまないと集客できないので一朝一夕でできるものではない。

3. ネットだけなら難しいが、ネットとリアルを組み合わせればチャンスはある?

そこで、2015年にリサイクルショップを、初期費用50万円という低コストで開店した。駅から10分以上かかる不便な場所だったので家賃は安かったそうだ。

また、リサイクルショップは、廃品回収型であるため仕入れ代は掛からない。
原価は基本ゼロということで、粗利率は高く、売上がたてば生活をすることができたのだ。

集客については、ネットを利用することによって立地の悪さをカバーすることができたのだ。

このローコストによるリサイクルショップの成功を皮切りに、いろいろなローコストビジネスを物色し、翌2016年にイベントバー「エデン」をオープンした。

「エデン」では、歩合制の日替わりバーテンダーという仕組みを導入し、固定費を抑制するとともに、日替わりバーテンダーにインセンティブを与えることを可能とした。

現在では、「エデン」はフランチャイズ方式が導入され、全国の各所に店舗があるという。

4. 「しょぼい起業」とは低い固定費と高い粗利のビジネスモデル

書籍の売れ行きのインパクト作りのためか、「しょぼい起業」と言っているが、実に理にかなった堅いビジネスモデルである。

ホリエモンがおすすめするビジネスの要件としては、
・粗利率が高い
・在庫を持たない
・一定のCFが得られる
・少ない初期投資
を挙げているが、えらてんさんの「しょぼい」起業というのは、これを充足しているのだ。

リアル店舗、というと、初期投資や固定費が嵩みそうであるが、集客やマーケティングはネットで補うことができるというのがミソで、悪い立地や居ぬき物件によって初期費用を抑え、また、人は雇わない、或いは歩合制の一日店長といった
固定費抑制策によって、収益を確保しているということだ。

5. ビジネスモデルを進化させ、今では「ノウハウ」を売っている?

ローコスト経営の「エデン」は、既に7~8店舗はあるようだが、えらてんさん自体は基本的に店舗を持たず、FC化を進めているようである。

そして、そこで培った知名度やノウハウを梃子にして、店舗売却やコンサル業を現在は営んでいるという。

小さなバランスシートに拘りリスクを最小化し、ノウハウを売ることによって収益化を図るという手堅いビジネスモデルにえらてんさんは進化させているのだ。

感想

えらてんさんは、YouTubeで宗教関係に突っ込んだり、何となく怪しい印象もあるが、その「しょぼい起業」については堅実で理に適った経営で、参考になるところは多いと思う。

話し方や内容も筋が通っており、その点は、さすがに慶応の経済をでているだけあるという印象である。

今は知名度や注目度も地味ながら上昇してきている。3年前にリサイクルショップを起ち上げた時と違って、知名度が今はあるので、ネットビジネスでも儲けられそうに思うが、次の展開が楽しみである。

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