1. 何故、今「リクルート」なのか?
①リクルートは、実はイメージ以上に凄い企業
リクルートという誰でも知っている有名企業であり、就活生にとっても
馴染みが深い企業であろう。
しかし、「なかなかいい会社」「有名な会社」といった認識をもっている
就活生は多くとも、その凄さを本当に認識している就活生はわずかでは
ないだろうか?
まず、定量的に見てみよう。
2019/3期の通期予想の売上は、約2兆3000億円。
営業利益は約2100億円だ。
営業利益成長率は9.5%とこの規模でほぼ2桁だ。
これだけだと「そうなの」というレベルかも知れない。
しかし、資本市場の世界におけるメインの指標である株価時価総額でみると、
5兆2900億円(2019/3/15引値基準)であり、
日本企業におけるランキングは17位である。
これでもピンと来ないかも知れないので、ネット系のトップ企業と
比較すると、
リクルート(約5.3兆円)>ヤフー(約1.44兆円)+楽天(1.38兆円)
+LINE(約0.92兆円)+ZOZO(約0.66兆円)+サイバーエージェント
(約0.57兆円)
となっている。
要するに、今をときめく日本のネット企業の上位5社を合わせても、
リクルート1社より時価総額は少ないのである。
②何故、東大・京大の就活生か?
何故、「東大・京大」の就活生としたかというと、
東大と京大の就活生は大抵の企業には就職できるので、リクルートというのは
検討の対象から外れがちだからである。
東大・京大の場合には、外銀・外コン・総合商社、或いは、
国内系金融機関のコース別採用、大手マスコミあたりに着目し、
その辺を落ちたらメガバンクというイメージである。
金融、コンサル、そしてベンチャーとは言えないリクルートは
東大・京大の就活生にとってはあまり選択肢に入れてもらえない可能性が
あるのである。
実際、東大・京大の就活生の親の世代(アラフィフ以上?)からすろと、
その世代でもリクルートはあったが、当時は未上場であったし、
今ほどの規模感は無かった。
従って、親世代からも「リクルートはどうなの?」とか
リクルートに内定しても「凄い!」とは言ってもらえなさそうなのである。
しかし、後述するようにリクルートは現在ではかなりの凄い企業に
なっており、まだまだ成長中である。
また、東大や京大生のエリートで上昇志向の強い学生が活躍できる分野は
あるはずだ。
従って、最終的に内定を取りに行くかどうかは別として、調べてみる価値は
あるのではないだろうか?
2. リクルートの魅力
①最強の起業家輩出企業であること
今最もお金持ちになれる方法は、起業で成功することである。
IPOまで行けば、3桁の億を手にすることも可能だし、
IPOまで行かなくてもその途中で大型M&AでEXITできれば
2桁億円も可能である。
また、IPOや大型M&Aまで行かなくとも、
1桁億円でのEXITとなると、最近はそういう案件が増えてきているので、
グッと可能性が高まるし、1桁億円でも2~3億円程度であれば、
さらに現実的な可能性は高まるわけである。
外銀・外コンに必死の思いで入社が出来たとしても、
そこから6~7年間厳しい競争を勝ち抜いても、VP(マネージャー)
レベルだとせいぜい数千万円程度である。
それからすると、起業での成功は難易度・リスクは高いものの、
大きな魅力があることは事実である。
リクルートはその点、圧倒的な起業家輩出企業である。
詳細はこちらのリンク先が詳しいが、じげんの平尾氏、イトクロの山本氏、
ジーニーの工藤氏、ジモティーの加藤氏、トレンダーズの経沢氏、
マクロミルの杉本氏、リンクアンドモチベーションの小笹氏、
セプテーニの七村氏、オールアバウトの江幡氏、などなどIPO組
だけでも多数の経営者を輩出している。
非IPOのM&A組を含めると、起業家としての成功事例は枚挙に暇がない。
したがって、自ら起業を目指す場合、或いは優秀なリクルートの同僚が起業した
会社に早期に参画する場合など、起業を目指すには最適な環境と言えよう。
②ストック・オプション狙いのベンチャーへの転職
リクルートの場合、切り口が2つある。
1つは、じゃらん、カーセンサー、住宅情報、R25などの流れである
ニュービジネスである。
もう1つは、伝統的な「人」ビジネスである。
いずれにせよ、リクルートに就職すると、ニュービジネス、或いは、
「人」ビジネスに携わることが可能であるから、自ら起業しなくとも、
メルカリのような、勝ちがほぼ見えた段階で参画し、ストック・オプションを
もらうという手もある。
実際、CHO(Cheif Human Resouces Officer)的なポジションで成功している
リクルート出身者は多い。
https://keyplayers.jp/archives/3004
外銀が人気があるのは、「金融」スキルが習得できることであり、
外コンが人気があるのは、コンサルティングスキルが習得できることである。
リクルートの場合は、ニュービジネスの創造、或いは、「人」関係のスキルを
修得できるので、転職力を身に着けることができるのが魅力である。
③リクルート社内における魅力的なポジションの存在
リクルートは、海外及び国内において、成長のための手段として
積極的なM&Aを行っている。
例えば、TV CMでおなじみの「Indeed」なんかも海外M&A案件であるし、
HRテックという新しい領域でも米国ベンチャー系のグラスドアを
12億ドルで買収するなど、面白そうな案件をいくつも行っている。
従って、社内における経営企画、事業開発といったM&A等の投資関連
業務を手掛ける本社のエリートのポジションがあるのだ。
こういったところは、東大とか京大とかの、外銀・外コン志望の
優秀な学生は歓迎されるので、外銀・外コンに落とされた場合には
魅力的なポジションになるのではないだろうか?
3. リクルートの年収水準
さて、リクルート社の年収水準である。
リクルートはミッショングレード制というユニークな制度を採用している。
ミッショングレードという担当している業務や職務に等級が
つき、これを基準に基本給が決定される。
そして、ミッショングレードを基準としてボーナスが決定されるのであるが、
日本企業にしてはかなりドラスティックな差がつけられる。
このため、銀行や商社のように、何歳でいくらというのがあまり意味がない
ところがあるが、大雑把な目安としては以下のようになる。
初年度の年収は500万円程度である。他の日本の大企業が大体400万円位である
ことを考慮すると、若干高めである。
そして、2年目で600万円、3年目で700万円と順調に年収アップが
期待される。
そして、最短でマネージャー(GM)に昇格できると、
27-28歳くらいで1000万円に到達できる。
通常は、そこそこ順調にいくと30歳で1000万円くらいであろうか。
さらに、部長に昇格できると年収は1500万円~2000万円と
総合商社や国内系証券会社のIBD職に引けを取らない水準となる。
部長には最短だと30歳くらいであるが、もちろんそのペースで
昇格できるのは一部に過ぎない。
給与水準は良好のようにも見えるが、住宅手当等が無かったり、
30歳を過ぎても昇格やボーナスの査定が良くないと、横ばい
なので、年功序列型のメガバンクや保険会社に抜かれてしまう。
従って、実力があり社内で評価されれば良いが、年功序列では全く
無いので、終身雇用でまったりと過ごしたいという人には
あまり向いていないだろう。
まとめ
上昇志向が強く、自分に自信があるタイプの人にとっては、
リクルートに行けば、起業、転職、社内昇進等いろいろな成功キャリアが
描けると思う。
反対に、転職や起業とかは面倒でワークライフバランス重視の人には
余り妙味は無いだろう。
リクルートは歴史のある(元)ベンチャー企業であるが、
今でもグングンと成長している面白い会社である。
東大とか京大クラスのハイスペックな学生であれば、外銀・外コンや
国内系金融機関の専門職に加えて、リクルートも研究すれば
面白いと思うが、いかがだろうか?