1. 一般入試における負担増
①2020年の大学入試制度改革に伴う国立大学受験生の負担増
2020年度(2021年1月実施)から、センター試験に代わって、
大学入学共通テストが導入される。
一部記述式の問題の導入等による問題形式の変更や、英語の外部試験の併用など、試験の方法が大幅に変更になるわけなので、受験生は相応の対策を
立てざるを得ない。
初期の受験生は、過去問が無く心理的に不安な状態での受験を余儀なく
されるので、負担は大きいであろう。
特に、ただでさえ国立大学の場合は一般的に科目数が多いので、受験生にとっての負担は大きい。
②国立は面倒だからと言って、私大に切り替えるわけにも行かない…
特に文系の場合、国立は科目数の負担が多く、基本的に1校しか受験できない。
(後期は難易度がかなり高くなるので)
また、東京一極集中の影響もあり、就職については地方の旧帝大とか
首都圏の中堅国立大学よりも、MARCHの方が良好とも言えるので、
私大への人気は既に高まっている。
そこに、入学定員の厳格化による合格者の大幅減や、中長期的な一般入試枠の
減少に伴い、私大が難化しているのだ。
国立大学の受験は面倒であるが、だからといって、私大に切り替える場合は
厳しい競争を強いられることになる。
これからの受験生にとっては厳しい状況にあるといえる。
2. 発想を切り替えてAO入試を狙うのはどうか?
①AO入試とは
AO入試とは、Admissions Office(大学の入学管理局)による独自の
選考基準に基づいて、学力テストを実施しないで、高校時代の成績、
志望理由書、面接等によって合否を判断する入試方式を言う。
いわば、自己推薦による入試ということであろうか?
②AO入試のメリット
AO入試のメリットは、一般の大学入試前に合格をすることができ、
一般入試受験によるリスクを回避できることである。
また、場合によっては、一般入試で合格できる学力がなくても、
AO入試によって合格が可能な生徒もいるだろう。
③AO入試の隠れたメリット・・・就活とプロセスが似ている。
AO入試というのは、一般の受験生からすると特殊で面倒な試験制度なので
関係ないし、AO入試枠によって一般入試枠が狭まるので、できることなら
止めて欲しいというのが本音ではなかろうか?
しかし、AO入試というのは、実はそれなりに合理性のある選抜方法なのである。
何故か、志望理由書と面接を基準に判断されるというのは、
実は就活と似ているのである。
志望理由書をESと置き換えれば新卒採用だし、志望理由書をレジュメ・職務経歴書と置き換えれば、中途採用と同じプロセスである。
単純な学力だけではなく、基本的なスペック、作文力、面接によるやる気、
プレゼンテーション能力、論理性・一貫性を試すというのは、就活と
似ているのである。
このため、大学入試の段階でこのプロセスを実践するのは悪いことでは無いのである。
3. AO入試を狙う場合のデメリット
AO入試というのはそれが向いている人はいるし、就活・中途採用でも
試されるプロセスなので、それなりに理に適った選抜方法である。
難化が著しい私大入試で一発勝負に臨むよりは、早い段階でそれなりの
私大の合格をAO入試で決めることができれば有難い。
しかし、AO入試を狙うにはそれなりのコストがかかる。
まず、大学ごとにAO入試の合否の基準が異なるので、併願する場合の
負荷が大きい。
また、早稲田の国際教養学部の場合、TOEFL/TOEIC等が要求されたり、
志望理由書の作成や面接対策など、AO対策を立てなければならない。
このように、一般入試と併用をするには負荷が高く、中途半端な
対策をすれば共倒れになってしまうリスクもある。
従って、万人向けの制度では無いことは確かであろう。
反対にだからこそ、AO入試に適している学生にはチャンスがあるのだろう。
最後に
2020年度の大学入試改革とか、昨今の私大の難化に伴い、一般入試での
大学入学を目論む多くの受験生にとっては厳しい時代となっている。
結局、中学や高校の段階で付属から有名私立大学に入学するのが
一番堅いやり方なのだろうが、それは有力な私立大学の付属に入学できる
首都圏、或いは関西の受験生に限定された話である。
付属での入学が居住地的に不可能であれば、AO入試とか、
MARCH以上が望めない場合には地方国立大学にフォーカスするとか、
いろいろな戦略を検討することも必要だろう。