外資金融(外銀、アセマネ)志望の就活生が、年収以外に留意すべき3つの事項(退職金、年金、定年)

1. 今のトップの就活生は若い間の年収を気にするようだが…

東大、一橋、早稲田、慶応の就活生の間では、外銀・外コン、或いは
P&Gといった外資系企業の人気が高い。

その理由としては、終身雇用を前提としておらず、プロフェッショナルスキルを
身に着けたいということがある。

また、総合商社もそうだが、国内系の優良企業の場合、年功序列に立脚して
いるため、若いうちから活躍できない。
それに対して、外資系企業の場合は、若いうちから活躍することが可能という
ことが人気の理由だそうだ。

そして、若いうちから高い給与水準を求める学生が多い。
40代、50代のビジネスマンからすると、20代のころの数百万円の違いは
長期的にはわずかな違いであり、将来的により多く稼げるような途を
選択すべきだと考えるのだが、今の若い優秀層は初年度からの給与水準を
大いに気にするのだという。

確かに、外銀・外コンの場合、国内系企業がどこも初年度は400万円で
差が無いのに対して、最初から600万円以上もらえるところが少なくない。

また、総合商社も初年度こそ400万円で他と横並びであるが、
昇給ペースが速く、3~4年目位で1000万円近くになり、若いうちから
高給であることも人気の理由のようだ。

2. しかし、金銭面においては年収以外にも留意すべき事項がある

初期の年収水準に拘るのは、その人の価値観であり、それ自体は問題が無い。
しかし、あまりにも目先の年収ばかりを見てしまうと、金銭的なベネフィット
において長い目で見ると損をしてしまうことがあることに留意しなければ
ならない。

これらの点を踏まえた上で、初期の年収に拘るのであればいいのだが、
よく知らずに目先の年収だけを見て意思決定してしまうと、後悔する
場合もあるからだ。

①退職金

退職金は税制の面で大変優遇されている。住民税と所得税を合わせても
実質税率は5~10%程度で収まることが多いし、控除額もある。

また、退職しない限り、働いている間は浪費しようがないので、
退職時にまとめてもらえるところが大きい。

国内系の大手優良企業の場合、大抵は充実した退職金制度があるので、
退職時には数千万円を実質非課税でもらえるので、これは大きい。

外資金融も退職金制度があるところが多いのだが、小規模な会社の場合には
退職金制度が無い会社もある。従って、転職する際には退職金制度も
踏まえた上で条件面を検討すべきである。

それから、ベンチャー系、監査法人系、独立系企業の場合には
退職金制度がないケースも少なくない。

例えば、FAS、GCAあたりは退職金制度が無いし、国内系大手でもSMBC日興証券は退職金相当額を前払いということになっているので要注意である。

②年金制度年金は退職金と比べると、その金銭的な影響は相対的に小さいが、これも非課税なので、長期で効いてくる。

例えば、外資系金融でも、確定拠出年金制度(401k)を導入している企業は
結構多いと思うが、長く働いた場合にはそれなりの金額となる。
401kは転職した場合にも持ち越すことができるので、転職が前提となる
外資系金融でも転職先が401kがある先であれば、かなりの長期間
積み立てられることとなる。

401kがある会社に20年間働けた場合、その間、3%で運用できたと仮定すると、1641万円にもなるのである。(但し、引き出せるのは60歳になった時)

従って、転職する時には退職金と合わせて、401kの有無も聞いてみたいところである。

↓ 興味がある人はこちらでシミュレーションをしてみましょう。

https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/saving/simulation/

③(実質的な)定年

外銀でも外コンでもベンチャーでも、就業規則上の定年は60歳という会社が
多いと思う。

しかし、実際は、事実上の定年というものがあり、業界や会社によって
何歳位まで働くことができるかは異なってくることがある。

例えば、外銀は45歳定年制とも言われたりするが、実際、40代半ばを過ぎて
まだ外銀で働いている人は少ない。
他方、外資系金融でもバイサイドの場合には、60歳とまではいかなくとも
50代半ば位までは普通に働くことは可能である。

このため、単年度の年収レベルだけで比較すると外銀>バイサイドでも、
10年間長く働くことができると、生涯賃金ベースだとバイサイドが
上回ることも十分にあり得るのである。

この定年という観点からすると、退職金や年金は基本無いのだろうが、
意外に強いのは大手渉外事務所である。
弁護士の場合は年を取ったからと言って営業的な支障は無く、むしろ、
経験年数が長い方が都合が良かったりもするので、パートナーに
なれれば60歳位まで現役で働くことは十分可能だ。
すると、大手渉外事務所のパートナー弁護士の年収は少なくとも4000~
5000万円はあるので、生涯賃金ということになると、軽く外銀MDを
凌駕することもできるのだ。

このように、定年がいつか、今の給与水準を事実上何時まで維持できるかという
視点は極めて重要なのだ。

最後に

20代の頃は、定年のこととか、年金とか、退職金とか興味が無いし、
そんな先の話を考えたくないというのは理解できる。
しかし、誰でも平等に年を取るので、こういったことを頭の片隅に
置いておく必要はあるだろう。

外銀の場合、消費性向が高い人が少なくないので、これらの点を
意識した上でライフプラン、マネープランを建てて置かないと、
40歳を過ぎたころに寂しい想いをすることになってしまうのだ。

そういうことを踏まえると、改めて強いと思うのが総合商社だ。
退職金、年金、定年(終身雇用)のいずれもバッチリだ。
だから、総合商社の年収水準は、外コン(特に総合系)あたりと比べると
見た目以上に高いのだ。

外銀と総合商社の両方から内定をもらって、結局総合商社に就職する
学生が少なくないようだが、結構、このあたりを本能的に計算している
のかも知れない。

 

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