メガバンクに就職した東大法学部、東大経済学部生が中途採用で逆転するためのキャリアプランについて

1. メガバンクに就職することの評価

①主観的な満足度は様々かも知れないが…

メガバンクは3行ともに大量採用するため、東大法学部・経済学部からも、他の有力大学と同様に、多くの者が就職する。

東大法学部・東大経済学部の学生からすると、メガバンクに就職することの満足感は人によって異なるだろう。

銀行業務が好きで就職したとか、体育会とかゼミのコネで先輩の引きで入ったとか、消去法で選んだとか、メガバンクを選択した事情は様々で、メガバンクへの就職に満足している者もいるだろう。

②客観的な評価は辛い

しかし、世間一般ではメガバンクへの就職者は勝ち組のように取り扱われることが多いかも知れないが、東大法学部や東大経済学部クラスになると、必ずしもそうではない。

東大の学内では、メガバンクに就職することになったということを聞くと、「外銀・外コン・総合商社には落とされたんだな」とか、「国内系金融機関の専門職コースに落とされたんだな」とか、「体育会等で他をあたる余裕がなかったのか」といった見方をされることが多く、うらやましがられることは無いということだ。

これは、東大法学部・東大経済学部だけではなく、一橋、早稲田、慶応でも似たような考え方だという。

2. 何故今の学生からメガバンクは評価されないのか

東大、早慶等の有力校の学生から、メガバンクが余り評価されない理由としては以下の理由が考えられる。

①転職するためのスキルが身に付かない

上位校の優秀な学生の間では、終身雇用に対するこだわりは必ずしも強くなく、むしろ、将来に備えて転職することができるプロフェッショナル・スキルを身に付くことができる企業・コースを志向するようだ。

このため、金融機関では、金融プロフェッショナルとなれる外資系金融機関や国内系金融機関だとIBDやグローバル・マーケット等の専門職コースが人気であり、リテール業務がメインのメガバンクは人気が無いということである。

②若い時から第一線で活躍したい

これは金融プロフェッショナルを志向する学生に限らず、一般的に優秀な学生の間に見られる傾向のようだ。

何をもって、「若い時から活躍」を意味するかによるのであるが、年功序列型の典型的な日本企業は経営されがちで、外資系やベンチャーを志向する学生が少なからず存在するようだ。

その意味では、人気の総合商社でさえ、典型的な年功序列型企業なので、若い時から活躍できないことを理由に回避する学生もいるという。

③若い時の年俸水準が高くない

既に40代、50代の者から見ると、20代の年収なんて小さな違いで、長期的に大きく稼げるキャリアを目指すべきだと考えるのだが、上記②とも関連するが、今の優秀層は早いうちからそれなりの給料が欲しいという志向が強いようだ。

もっとも、メガバンク自体も若い時の給料が決して低いわけでは無い。

初年度こそ他の会社と似たような400万円レベルであるが、3年目には500万円台、6年目の代理補昇格前には700万円前後、代理補昇格後には800万円前後という、メーカーなどと比べると昇給ペースは悪くは無い。

しかし、東大法学部や東大経済学部の優秀層からすると、それではペースが遅く、3年目で700万、5年目には1000万円位は欲しいということである。

3. メガバンクに就職後、中途採用でどこを狙うのか

東大法学部や東大経済学部の学生は、メガバンクの場合、明らかに学歴的に優遇され、それは配属や昇格スピードに反映される。

しかし、実際に入社した後も上記のような理由や、外銀・外コン・商社に就職した同期と会った時の比較感等から、やはりメガバンクに満足できないというのであれば、中途採用で逆転を図るしかない。

その場合、どこを狙うかというと、結局就活の際のリベンジのような形で、以下のポジションを狙うのだろう。

(1)外資系金融機関

(2)外コン

(3)総合商社

(4)その他ベンチャー等

4. 中途採用を考えるにあたっての留意点

①学歴ではなく職歴が最重要ファクターであること

就活における最重要ファクターは学歴である。

しかし、中途採用の場合には、学歴ではなく職歴であり、東大法学部や東大経済学部のパワーが就活時よりも落ちてしまうことに留意しなければならない。

②ポテンシャル採用の場合、若ければ若いほど良い

中途採用の場合、「年齢」が極めて重要なファクターとなる。中途採用の場合は、IBD⇒IBD、トレーディング⇒トレーディング、債券セールス⇒債券セールス、法務コンプライアンス⇒法務コンプライアンスと、同じ業態かつ同じポジション間での転職が基本となる。

したがって、業務経験のないポジションに未経験のままで転職することは極めて難しい。

ただし、好況期には人手不足になりがちで、若手に対するポテンシャル採用のニーズはある。

その場合は、今在籍している会社の職務経験が役に立たないということなので、その職務を長く続けても評価されないということになる。

また、ポテンシャル採用を行う会社からすると、入社後にその若手社員に改めて仕事を教えることになるので、変な色に染まっていない方が育て易い。

このため、中途採用に向けて活動する場合、25歳までに動くのがよく同じ20代でも27-28歳ともなると、同期は外銀・外コンならアナリストからアソシエイトに昇格してある意味プロフェッショナルになっているので、途中から入り込むのは厳しくなる。

従って、メガバンクから外銀・外コン等にリベンジしたいと思うのであれば早めに対策を立てて、とりあえず25歳までに勝負をしたいところである。

5. 外資系金融機関への中途採用

①前提として英語はできるようにしておくこと

外銀の場合も、外資系運用会社の場合も英語は必須であり、最低でもTOEIC860点は無いと門前払いである。

従って、学生時代のTOEICが400~500であれば、急いで英会話学校に申し込んで、並行してTOEIC対策を進める必要がある。

②結論的に、メガバンクのリテール業務から外銀は難しい

外銀も、アナリストやアソシエイトの中途採用は随時実施している。

しかし、結論的には、メガバンクからダイレクトで外銀や外資系運用会社に転職するのは極めて難しい。

何故なら、国内系証券会社のIBDやマーケット部門の現職の若手社員が優先されるからである。

東大法学部や東大経済学部の学歴があっても、中途採用は、職歴が最重要事項なので、学歴で職歴をカバーすることは厳しいのである。

③お金に余裕があれば、MBAという手もあるが…

お金に余裕がある場合には、ハーバードやウォートンといった有力海外MBAを主として、アソシエイトで外銀に中途入社するというのはアリである。

もっとも、メガバンクの職歴でトップ5のMBAに入学することは必ずしも容易ではない。

但し、何とか米国のトップMBAを取得すれば、外銀に入社することは十分に可能である。

④現実的には、とりあえず国内系証券会社のIBDやマーケット部門を狙うべき

直接外銀に転職するのは厳しいし、かといって、2000万円の費用と手間をかけて海外MBAは現実的ではないかも知れない。

そこで、現実的に取り得る手段は、一旦国内系証券会社のIBDやマーケット部門に転職し、そこでキャリアを積んだ後に、外銀に再挑戦するという方法だ。

国内系証券会社のIBD等のポジションは、若手を対象に随時採用をしているので、リクルートやJAC等の国内系大手エージェントに相談の上、応募してみると良い。

もっとも、これも容易な途ではない。

英語力の向上や、証券アナリスト資格或いはUSCPA資格など、それなりの準備をした上で対応すべきである。

なお、外銀ではなく外資系運用会社に将来転職したい場合には、国内系証券会社ではなく、国内系運用会社に応募すれば良い。

難易度はこちらの方が落ちるので、可能性は高まるはずだ。

しかし、給与水準は大手金融機関の8掛けというのが目安なので目先の年収は下がってしまうことに留意しなければならない。

6. 外コンへの中途採用

①戦略系ファームの場合

マッキンゼー、BCG、ベイン、ATカーニー、ローランド・ベルガーについては、常時、若手が中途採用に挑戦する機会が与えられている。

このあたりの戦略系ファームは、外銀のように職歴を問われることが無いので、東大法学部や東大経済学部の学生の場合は、こちらであれば可能性はある。実際、メガバンクから中途でこのようなファームに転職できた人は少なからず存在する。

もっとも、書類選考が出来たとしても、3次面接、4次面接と面接プロセスは面倒であり、競争率も高い。

必勝法が存在するわけでは無いが、失敗しても(労力を除くと)何かを失うわけでは無いので、当たれば儲けもの的な気持ちで挑戦するのはアリだろう。

②総合系ファームへの転職

アクセンチュア、デロイトトーマツ・コンサルティング、アビームコンサルティング、ベイカレント・コンサルティング、シグマクシス、PwCコンサルティング等である。

このあたりのファームは、デジタル・フォーメンション、IT/AI関連のシステム需要の拡大に関連して、大変ビジネスが拡大している。

そのため、どこのファームも若手の採用に極めて熱心であり、採用されるスペックは以前と比べるとかなり低下してきている。

実際、東大法学部、東大経済学部の学歴でメガバンクで働いているのであれば相応のコンサル対策を採れば、採用される可能性は十分にある。

このあたりの事情については、こちらのサイトのこの記事が詳しいので、是非読んでいただきたい。

www.shiningmaru.com

7. 総合商社への中途採用

新卒での就活だと、外銀・外コン>総合商社だったから、総合商社なら何とかなるかという発想はあるかも知れないが、こちらは結構厳しい。

何故なら、外銀・外コン疲れをした超ハイスペックな若手社員が、ワークライフバランスを求めて、総合商社の中途採用枠に押し寄せるからだ。

また、総合商社側も元外銀・外コンは歓迎の様で、そこに食い込むのは至難の業だ。

それ以外だと、経験者採用的な切り口で、専門商社⇒総合商社の当該部門、資源関連会社⇒総合商社の当該部門というのが若干あるが、メガバンクでの職歴は総合商社では特に不要なので、難しい。

従って、総合商社への中途採用はあまり当てにしない方が賢明と思われる。

8. ベンチャー/起業等

東大法学部、東大経済学部からメガバンクに行って、そこから、いきなり自ら起業を目指したり、ベンチャー企業への転職を考える人はあまり多くは無いだろう。

どうしてもベンチャー転職やベンチャー起業をやりたくなった場合は別だが、上記の外銀、外コン、商社への転職がうまく行かないからといってやけ気味にベンチャーというのはやめた方がよい。

もっとも、ネット系のスキルとか情報発信というのは、今後も使えるスキルなので、副業的な観点で、ベンチャー起業やSNS・個人メディアを勉強するのは大いにアリである。

最後に:ファーストキャリアの重要性

東大法学部、東大経済学部からメガバンクというのは、何ら問題ないキャリアのように見えるが、そこから、外銀・外コン・総合商社に転職するのは容易ではない。

就職してしまえば、学歴の価値は薄れていく一方なので、学生の間に、英語や就活対応を十分した上で上記企業に入る方が簡単である。

結局、ファーストキャリアがいかに重要かということなのであるが、学生の間にはそれは十分に認識されておらず、大学3年生の後半からようやく就活を始める学生もいる。

結局、いいキャリアを築いていきたい学生は、早いうちから十分な就活準備をするべきで、ここでサボってしまうと、就職後大変しんどい思いをすることを肝に銘じなければならない。

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