2020年度の大学入試改革。「大学入学共通テスト」の特徴と対策に関する基本的な考え方について

1. 2020年度(2021年1月実施)から「大学入学共通テスト」が導入される

グローバル化、IT化、少子高齢化という社会の変化の流れに対応するということで、大学入試制度改革が行われ、2020年度(2021年1月実施)からは、センター試験に代わって、「大学入学共通テスト」が導入される。

2. 予備校等も現時点では調査中の状況

大学入学共通テストの詳細な内容と、それに対する具体的な対応策については、大手の予備校・塾も現時点では調査中の状況にある。

したがって、受験者やその父兄としては慌てたり、イライラすることなく予備校や塾の情報提供を待って入ればいいだろう。

3. 「大学入学共通テスト」に対する基本的な考え方と影響について

具体的、詳細な影響や対策については、現時点ではまだよくわからないところであるが、概要については開示がなされているので、それに基づいて基本的な考え方と影響について考えて見たい。

①国語と数学での記述式問題の導入

センター試験では100%マークシート方式であったが、大学入学共通テストでは、国語と数学の一部において記述式問題も出題されるという。

この点については、特別大きな影響は無いのではないかと考えられる。

何故なら、記述式と言っても、国立大学の2次試験のような分量ではないだろうし、そもそも国立大学の受験生は2次試験に備えて記述式への抵抗はそれほどないはずだからである。

また、数十万人が受ける試験であるので、何よりも客観性や採点における効率性が要求されるところ、記述式と言ってもマークシートに毛が生えた程度のものと推察されるからである。

もっとも、出題形式が変わるとそれに応じた対策が必要なので、それに備えた問題集を買ったり、模試を受けて練習したりといった負担は全受験生に共通で影響するだろう。

②英語の4技能評価を導入

もっとも大きな変化があるのは英語であろう。

4技能ということで、「話す」「書く」という側面が重視されるという。

「話す」「書く」については、その力を評価するのは一律大規模な試験では難しいということから、民間の資格・検定試験を活用するということだそうだ。

要するに、実践的な英語力が求められるということで、試験問題の内容・形式も異なるはずなので、従来とは異なる対策が求められる。

例えば、東大とか難関国立大学の英語の問題はネイティブの人が見てもやっかいな問題である反面、TOEICのような実務的な問題については東大合格時点での東大生でも800点も取れないと言われている。

私立大学の英語の問題では、慶應経済学や法学部の英語と、慶応SFCやICUの英語の問題とでは、受験生によって得意・不得意が分かれるだろう。

従って、それに応じた対策を採る必要が生じるであろう。

③全体的な問題形式の複雑化、思考力・判断力重視化?

思考力・判断力・表現力重視ということで、全科目において問題形式の複雑化・多様化の方向性が予想される。

そうなってくると、本来時間に余裕がある試験では無いので、事前に十分な練習・対策ができているかどうかで結果は違ってくるはずだ。

ところが、全く新しく始まるテストなので、過去問があるわけではなく、練習するには、学校や塾・予備校が頼りということになる。

そうすると、中高一貫性の私立校、塾や予備校が充実している都市部の受験生が有利ということにならないだろうか?

そういった生徒は、早いうちから対策を立ててもらえて練習もできるし、情報も入手しやすいからである。

そうなると、子供に対してお金をいかにかけることができるかということがますますカギになってくるように思われる。

4. 少なくとも制度が定着するまでは受験生の負担は増えるのではないだろうか?

一体どういったテストになるのかは蓋を開けてみないとわからないし、過去問も蓄積されないので、初期の受験生は心理的な不安は大きいだろうし、試行錯誤的にいろいろな対応策を取らざるを得ない。

従って、少なくとも当面の受験生の負担は増えるのではないだろうか?

また、十分な対策をやってもらえるのは中高一貫の私立校であろうから、開成、麻布、渋谷幕張、聖光学院といった首都圏の有力私立校と、地方の公立高校との格差が拡がることが懸念される。

5. 私立大学の難化とも相俟って、一般入試を避けるのが得策?

2020年度の大学入試改革によって、国立大学受験生の負担は増大しそうである。

他方、それでは私立専願にするかという手もあるが、定員の厳格化やAO/推薦枠の増大化傾向に伴い、私立大学の一般入試での合格は急激に難化している。

そうなってくると、できることなら一般入試枠での受験を回避するのが賢明では無いだろうか?

具体的には、早稲田、慶応、MARCH等の有名私立大学の付属校に中学受験や高校受験で入学するということである。

あるいは、それが無理な場合は、推薦枠やAO枠を狙ってみるという戦略だ。

お金がある場合には、アジアを含めて海外の大学に入学するというやり方もある。

いずれにしても、行き当たりばったりで進学について考えるのではなく、なるべく早い段階から学力を見ながら戦略的に大学入学を考えるのが得策であろう。

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