1. 一橋大学から外銀・外コンへの内定者が少ない現状
外銀・外コンは、現在の就活における最難関・最上位企業群であり、内定者の約半数は東大であり、次が慶応である。
この2校で内定者の大半が占められ、残りを京大、一橋、早稲田あたりで分け合って終了というイメージである。
もちろん、一橋大学は理系がなく、民間企業就職者数は大学全体で800人程度なので、母集団が少ないからだという見方もあるが、率ということで見ても外銀・外コンのシェアは低いと思われる。
なお、ここでいう「外コン」とは最上位の戦略系、マッキンゼー、BCG、ベインというMBBに加え、ATカーニー、ローランドベルガー、アーサーDリトルまでに限定することとし、アクセンチュア等の総合系は含まないこととする。
2. 一橋大学からの外銀・外コンへの就職状況
一橋大学の就職先情報については学部によって異なり、商学部だけが全開示してくれている。従って、商学部の情報を基に推察することとする。
(なお、一一橋大学商学部の就職状況についてはこちらをご参照下さい。)
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①一橋大学商学部からの外銀・外コンへの就職者数、慶應と比べてどうか?
まず外銀であるが、ゴールドマン・サックス証券が1人、ソシエテジェネラル証券が1人、JPモルガン・アセット・マネジメントが1人、ブラックロックが1人の合計4名である。
厳密には、JPモルガンAMとブラックロックは運用会社なので、「外銀」に含まれるかどうかという点はあるが、両社は最大手で新卒入社は困難なので含めて良いだろう。
外コンについては、マッキンゼーが1名のみである。
外銀・外コン合計で5名しかいない。
一橋大学商学部は定員285名、民間企業就職者が244名であるので、外銀・外コンシェアはわずか2%である。
慶應大学は各学部上位20社までしか開示してくれていないので、外銀・外コンへの就職者総数はわからない。
しかし、業界での慶応シェアは大変高く、大学全体で数十人位はいるのではないだろうか?
②京都大学経済学部との比較
それでは、同じく国立大学の最上位大学である京都大学経済学部と比較して見よう。京都大学経済学部の民間企業就職者数は230人なので母集団はほぼ同じである。
(なお、京都大学経済学部の就職状況についてはこちらをご参照下さい。)
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京都大学の場合、就職先を全開示してくれているので、把握が可能である。
京都大学経済学部からの外銀就職者については、ゴールドマン・サックス証券が1人、JPモルガン証券が2人である。
そして、外コンについては、BCGが1人である。
合計4人なので、大して変わらないじゃないかという見方もある。
しかし、考慮しなければならないのは、地理的な位置である。
京都から東京まで出向いて外銀・外コンの就活をするのは物凄く負担が多い。
そのハンディを考慮すると、一橋大学の場合は、もう少し外銀・外コンに行ってもいいのではないかと考えられる。
3. 一橋大学から外銀・外コンへの就職が少ない原因
①大学内における「二極化」
この点について一橋大学の学生何人かに話す機会があったので、聞いてみた。
すると、一橋大学の内部において「二極化」が顕著に存在し、一部(1割に満たない)の学生は、最初から外銀・外コン志望が明確で、大学2年生の初めから、対策を行い、3年生に内定を取って就活を終了するという。
他方、それ以外の学生は、外銀・外コンという世界があるのは何となく認識しているものの、自ら積極的に動いて調べることはなく、大学3年生くらいになって、(対策を特にしなくても内定がもらえる)メガバンク、生損保あたりを物色し始めるという。
そもそも、外銀・外コンは志望しないことには内定も出ないので、一橋大学の場合は、そもそも、外銀・外コンに挑戦する母集団が少ないというのが原因である。
②それでは、何故「二極化」が発生するのか?
学生達によると、それは「情報不足」だという。
何となく外銀・外コンのことは聞いたことがあるが、どれくらい魅力があるのか、具体的にどのような将来性があるのか、具体的にどうやったら内定をもらえるのか、といった詳細な情報が入ってこないからだという。
たまたま、ゼミとか体育会・サークルの先輩に外銀・外コン内定者がいれば別だが、そうでないと何の情報も入ってこないので、途中で外銀・外コンに切り替えて準備を始めるという学生がいないようだ。
これは。「情報不足」の問題というよりも、自ら情報を取りに行こうという意識の問題だと思われるが、実際そのように認識されているようだ。
実は、この学生の「二極化」の問題は、一橋大学だけではなく、東京大学法学部でも見られるようだ。
③慶應大学とは何が違うか?本当に立地の差が原因か?
それでは、外銀・外コンからの内定者が多い慶應大学とは何が違うか?
慶應の場合は、学生数も多く、三田会というOB会のサポートも厚い。
そして、何よりも立地が都心なので、そこは一橋大学よりも有利だと学生は見る。
しかし、立地と言っても、一橋大学から都心には1時間もあれば行けるので、それは問題とはならないはずだ。
それを言うと、早稲田大学は都心立地であるが、外銀・外コンは少ない。
それは、学内における競争心や雰囲気の違いではないかと思われるがどうだろうか?
4. 総合商社への就職者は何故少なくないのか?
①外銀・外コンと違って、何故総合商社は少なくないのか?
外銀・外コンと並ぶ最難関・最上位企業は総合商社である。
モルガン・スタンレーやBCGを蹴って、総合商社に就職する学生もいる位である。
一橋大学商学部からは、外銀・外コンとは異なり、総合商社には就職する。
伊藤忠5人、丸紅4人、双日4人、三菱商事3人、住友商事2人、三井物産1人の合計19名だ。
民間企業就職者が244人なので、率にすると7.8%。
これは慶応大学経済学部の倍位の比率である。
総合商社は決して少なくない。
その理由について学生に聞いてみると、「商社は特に準備が必要ないから。」ということであった。
少なくとも英語ができないと相手にされないので、準備がいらないというのは正しくないと思われるが、多くの学生がそのように認識しているのでそれなりに多くの学生が商社を志望し、その結果、そこそこの人数の学生が内定をもらえるということである。
学内においては、落される学生は結構多いのだろうが、総合商社の内定を取っても、凄いとリスペクトされるようなプレミアム感は無いのだという。
②但し、三菱商事だけは別
面白いと思ったのは、総合商社は特別視していないものの、三菱商事だけは別という認識があるそうだ。
三菱商事は応募しても内定をもらえないから、最初から受けないという学生も結構いるという。
他方、伊藤忠であれば内定をもらえるというそのような認識があるようだ。
この認識は正しいとは思えないが、何故か三菱商事だけ別格というのは面白い。三菱商事のブランディングが長けているのか、よくわからないが。
最後に ~有力校といっても学生は二極化している。MARCHにもチャンスあり~
この話を聞いて思ったのは、就活における学生の質は、正規分布をしておらず、二極化が顕著だということだ。
ということは、大学が有力校であっても、平均的な学生のレベルは特に高くは無いということだ。
そうであれば、MARCHクラスであっても、そのトップ層になることができれば、有力校の平均層を凌駕することは十分可能だ。
従って、MARCHの学生も就職で上位校を逆転することは可能であり、早いうちからしっかりとした準備をすれば、勝機はあると思われる。