1. ドラゴン堀江とは?
ドラゴン堀江とは、ホリエモンこと実業家の堀江貴文氏が、売れていない若手芸能人3人をわずか半年で、東大合格まで導くというAbemaTVの番組企画である。
また、既に東大合格経験のあるホリエモン自らも東大受験に挑戦するということも話題となった。
2. 従来の受験への挑戦をネタにしたTV番組との違いは何か?
従来の大学受験挑戦企画というと、電波少年とか、オードリー春日氏やロンブー淳氏のように、そもそも大学受験を経験したことが無いような人々が有名大学の受験に挑戦するという、もともと無理なことが明らかな企画であった。
視聴者等も、合格できるか否かという結果への関心は薄く、短期間でどの程度成長できるかとか、どれくらいお話しにならないのかといったプロセス面が主な関心事項であったと思われる。
ところが、今回のドラゴン堀江の企画では、既に早稲田大学や明治大学に合格経験がある者を対象にしたもので、トップクラスの講師をつけることによって、「ひょっとしたら合格するのでは?」という結果への期待感を視聴者に与えたところが、従来の企画とは異なっているのである。
3. ひょっとしたらと思わせた?センター試験自己採点までは?
今回は東大合格経験のあるホリエモンを始め、参加者に現役の塾講師までいるので、ひょっとしたら1人ぐらいは合格できるのではと思っていた視聴者も少なくなかったのではないだろうか?
実際、自信をもって「4人全員不合格」を予言できた受験関係者とかもいなかったのではなかろうか?
もっとも、センター試験の結果が判明した時点で、受験に詳しい人は4人全員不合格の結果をほぼ予見できたのではないだろうか?
センター試験の結果は、東大は2次試験の配点比率が高いとはいえ、合否判定の対象になって他の受験生から差をつけられるわけだし、英語や数学が7割も取れていないレベルだと、東大の2次試験の難問に到底太刀打ちできないのは明らかだからである。
意外だったのは、ホリエモンの数学(96/200)の点数の低さである。
天才型のように見えるので、数学でひょっとしたら逆転ができるのではないかと思われが、意外に数学はそれほど得意では無いようである。
4. さすがにチャレンジの対象校が「東大」ということに無理があったか?
①東大は試験科目数的にも難易度的にも短期学習に不向き
それでは、事後的になってしまうが、どうすれば合格者を出せたかということであるが、短期の受験企画には東大は相性が悪すぎるように思う。
日本の大学で最難関なのだが、受験科目がとにかく多いのである。
国立大学なのでセンター試験を受けなければならず、文系でも理科を勉強しなければならない。
また、文系の場合、2次試験で社会が2科目要求され、高度な論述問題であるため、短期間の暗記中心の詰込み型学習ではごまかしが効かない。
そして、英語と数学は記述型の難問であり、センター試験が6~7割程度のレベルであれば、全く太刀打ちできない。
まぐれとか運といったことで奇跡が起きる可能性が最も少ない大学が東大であろう。
②慶應SFC(総合政策学部又は環境情報学部)だったら可能性はあったか?
短期間での詰込み学習での合格が有り得るとすれば、ビリギャルでもお馴染みの慶応SFCであろう。
試験科目が英語と小論文の2科目で受けられる。
全科目まんべんなくキッチリと学習している受験生にとっては、リスクがありそうだが、誰か1人でも合格できる可能性があるとすればこちらであったろう。
しかし、テレビ番組の企画であるので「東大」というインパクトが欲しい。リアリティよりもインパクトを重視したのだろう。
5. ホリエモンですら詰込み型の短期学習では無理というのはいい教訓では?
番組的には全員不合格で面白みを欠いたのかも知れないが、世の中的にはこれで良かったのではないだろうか?
ホリエモンのような過去に東大合格経験があり、天才型の人間であっても、短期詰込み型の学習では、結果が出せないということが伝わったからである。
難関校の受験については、開成や筑駒のように、早い段階から受験対策を始める方が有利であり、基本勝負事は、コツコツと真面目にやり続けた方が勝つということでいいのではないだろうか?
最後に 就活も同じ。早くから対策を始めた方が有利である。
受験とは直接関係ないが、経団連の就活ルール廃止に伴い、採用活動の実質的な開始が早まることが危惧されている。
しかし、制度に文句を言っても仕方が無いので、そうであるならば早めに就活対策を立てるべきだ。
英語対策や企業研究など、準備には短期間で詰込みにくい要素が多くあり、外銀・外コン・総合商社・国内系金融機関専門職コースといった難関企業から内定が欲しいのであれば、入学早々対策を始めるのが良いだろう。