1. 横浜国立大学経済学部の基本情報
横浜国立大学経済学部の定員は238名である。地元占有率は低く、2割を切る水準である。2019年入学者における男女比については、男性が80%、女性が20%と圧倒的に男子の比率が高いのが特徴である。
難易度については、2020年4月時点でのパスナビを見ると、偏差値62.5~67.5となっており、後期入試はかなりの難易度となっている。
https://passnavi.evidus.com/search_univ/0340/campus.html
2. 横浜国立大学経済学部の就職状況
2018年度の卒業者総数253名のうち、進学者はわずか3名である。就職者は230名であり、そのうち23名が公務員として就職した。このため、民間企業への就職者数は207名となっている。
横浜国立大学経済学部の就職先については、大学の開示が非常に良い。学部別で、1名でも就職している企業があれば全て開示してくれている。
https://www.ynu.ac.jp/career/support/data/
とりあえず、2名以上の就職者がいる企業を抜粋すると、以下のようになる。
人数 | 企業・団体名 | ||
7 | 大和証券 | ||
4 | 富士通 | ||
3 | TIS | 三井住友銀行 | 横浜銀行 |
野村證券 | アビームコンサルティング | ||
2 | マルハニチロ | NTTドコモ | リクルート |
日本IBM | ヤフー | 日本通運 | |
三菱UFJ銀行 | ジブラルタル生命 | 信金中央金庫 | |
三井住友信託銀行 | PwCあらた有限責任監査法人 | アクセンチュア | |
アイレップ | |||
神奈川県庁 | 東京国税局 | 東京都庁 |
(出所:横浜国立大学HP 「卒業生の就職状況」より外資系キャリア研究所作成)
2018年度においては、何故か大和証券が突出して多くなっているが、全般的には、金融機関とIT系が多くなっている。
大学の公式HPで示されているが、実は、2018年度においては、前年度までは最大シェアであった金融業は、情報通信業に抜かれてしまった。情報通信業への就職者シェアは25.7%、金融業のシェアは21.3%である。その背景としては、それまで大量採用していたメガバンク等の銀行が、超低金利に伴う収益悪化や実店舗と人員の余剰感によって新卒採用者数を大幅に削減したからである。今後もしばらく、この傾向は継続する可能性がある。
情報通信業では、TIS、NTTドコモ、リクルート、日本IBM、日本ヒューレット・パッカード、NTT東日本、ヤフー、楽天等の大手企業を中心とした就職実績がある。
金融機関については、メガバンク、大手証券、大手生損保の他、百十四銀行、福井銀行、武蔵野銀行、横浜銀行といった地銀への就職者が散見されるのが特徴である。また、商工組合中央金庫、農林中央金庫、信金中央金庫、日本政策金融公庫といった広義の政府系金融機関も見られた。
その他の業種にはまんべんなく、分散しているイメージである。
なお、三菱商事、伊藤忠、野村総合研究所、三井不動産にも、それぞれ1名だが、就職実績があり、キラリと光っている。前年度においては、ゴールドマン・サック証券や三井物産への就職者が見られた。
人数が少なく、やや地味目な感もあるが、超一流企業にも人材を輩出する等、国立大学としての存在感は示せているように思える。
3. 横浜国立大学経済学部の就職における課題
①ライバル校との就職力の比較
まず、現状の就職状況をどのように考えるかについてであるが、他大学と比較してみる。
同じ国立大学で、比較対象となるのは、地方の旧帝国大学、要するに地帝では
ないだろうか?「旧帝」というステイタスでは劣る反面、首都圏という地の利で勝っているため、気になるところだ。
高就職偏差値企業・就職人気ランキング上位企業への就職力、就職率という観点では、横浜国立大学経済学部>地帝経済学部であろう。
他方、慶應義塾大学商学部と比較すると、明らかに、慶應義塾大学商学部の方が就職率は高そうだ。
<慶應義塾大学商学部の就職と課題>
https://career21.jp/2019-02-14-064610
明治大学商学部と比べると、若干、横浜国立大学経済学部が若干有利というところであろうか。
<明治大学商学部の就職と課題>
https://career21.jp/2019-03-28-192345
②ライバル校との比較をした上での課題
全体的に大手企業への就職は可能のようであるが、業界トップ、或いは、外銀・外コン・総合商社、大手マスコミといった超上位企業での存在感にやや欠けるというのが課題だろうか。
例えば、金融機関の場合、銀行、損保、生保、証券において、メガバンク、大手信託銀行、東京海上、日本生命、野村證券といった業界トップ企業の比率があまり高くないように見える。
また、首都圏に存在する有力国立大学の経済学部であるにもかかわらず、キー局、電通、博報堂、大手デベロッパー、外資系メーカーといったところへの就職者が見られないところが、地味目な印象を与えている。
もちろん、それは学生が志望しないからだというのであれば問題は無いが、結局、大学の評価は中長期的には就職力も反映されるのであるから、学校やOB会もそのあたりは配慮してあげた方がいいのではないだろうか。
③学生の対応策
横浜国立大学経済学部は、横浜市内にあるのだが、地理的には都心からそれなりに離れたところにある。従って、意識しないと、東大、早慶といった東京のトップ校の優秀層の状況が見えなくなってしまうかも知れない。このため、東大や早慶の友人と意識的に情報交換すべきである。
また、民間企業就職者数は200名前後である小規模な組織でありながら、学部内格差があるように見られる。
三菱商事、伊藤忠、三井不動産、野村総合研究所などから内定をもらった学生がいる反面、比較的小規模な企業に就職している者もいるようなので、このあたりは学校やOB会がサポートして欲しいところだ。
それから、首都圏にある経済学部であるが、ネット系企業への就職やベンチャー起業というのがあまり見えてこない。経済学部であるので、ニュービジネスにも関心を持つことができれば、良いのではなかろうか。