九州大学経済学部の就職と課題について

1. 九州大学経済学部の基本情報

九州大学経済学部は1949年設置で、定員は226名である。地元の学生のシェアは半分弱である。男女比率は、約8:2となっており、かなり男性割合が高いのが特色である。

卒業後の進路については、約5%が進学する。就職者総数は2019年3月卒業生については、237名である。そのうち、公務員就職者が26名なので、民間企業就職者数は200人未満であり、稀少性は高いと言えよう。

2. 九州大学経済学部の民間企業の就職について

①九州大学経済学部の主な就職先企業

九州大学の就職に関する情報開示はあまり良くない。主な就職先を十数社、学部別に開示しているのみであり、企業別の就職者数は不明である。

<九州大学公式HP H30卒業生就職リスト>
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/37804/H30%E5%8D%92%E6%A5%AD%E7%94%9F%E5%B0%B1%E8%81%B7%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88_HP%20.pdf

ここから、主な就職先を大学側の資料の順番で以下にベタ打ちしてみる。

福岡銀行

ニトリ

日本政策金融公庫

西日本シティ銀行

九州電力

麻生

NTTドコモ

楽天

オービック

三菱UFJ銀行

三井住友銀行

大和証券

アクセンチュア

フューチャーアーキテクト

富士通

鹿島建設

JFEスチール

日本銀行

商工組合中央金庫

ソニー

伊藤忠

AGC

森永製菓

②九州大学経済学部の主な就職先企業の特徴

九州大学の開示資料によると、上記の就職リストは、あいうえお順ではない。そして、最初の方に、福岡銀行、九州電力などが入っていることから、就職者数が多い順ではないかと推察される。

そうだとすると、地方の旧帝大にありがちだが、メガバンクに比して地銀への就職者が目立つ。早慶、MARCHといった東京の有名大学の場合には、トップ10にメガバンクがランクインするのであるが、九州大学経済学部の場合には、三菱UFJ銀行と三井住友銀行は見られるが、みずほ銀行は見られない。また、三菱UFJ信託銀行や三井住友信託銀行といった大手信託銀行も見られない。反対に、福岡銀行や西日本シティ銀行が上位のようだ。

また、銀行以外の大手金融機関や政府系金融機関について見ると、日本銀行、商工中金、日本政策金融公庫、大和証券が見られるが、東京海上、日本生命等は見られない。この点も東京の有力校とは異なる点だ。

他方、ニトリ、富士通、鹿島、JFEスチール、ソニー、AGC、森永製菓と、大手メーカーがランクインしている。東京の有力校と比べると、大手金融機関一辺倒ということは無さそうだ。

これ以上、詳細なデータが無いので何とも言えないが、地銀、九州電力、麻生といったローカル企業は見られるものの、全体としてはローカル色はそれ程は強くは無く、それなりには良好で、「大手企業」には十分就職できそうに見える。

3. 九州大学経済学部の就職における課題

①外銀、コンサル、総合商社等の最上位の企業への就職が見えてこない

学生が希望しないのかも知れないが、外銀・外コン・総合商社という最難関・最上位の企業への就職が全く見えてこない。上記のリストでは、商社では伊藤忠が見られるだけである。また、総合系コンサルではアクセンチュアが見られるのみである。

旧帝国大学であるので、挑戦する学生がいてもおかしくはないのだが、そもそも、このあたりの企業の情報が不足しているため、認識すらされていないおそれもある。

また、キー局、電通・博報堂、三井不動産・三菱地所といった超難関の企業も見当たらない。これも、学生が希望しないのであれば問題は無いのだろうが。

それから、有力大学の経済学部ということでは、MBBは無理だとしても、総合系コンサルの志望者がもっと多くても不思議ではない。しかし、東京の有力校ではよく見られる、ベイカレント、デロイトトーマツ・コンサルティング、シグマクシスあたりのコンサル系も全く見えてこない。このあたりは、単に学生が志望しないだけなのか、情報が不足しているので十分認知されていないのかはよくわからないが…

以上の点から、超人気企業や最近のトレンドを反映した就職活動ができていないように見える。

これは、「情報不足」に起因するものと考えられる。どういった企業に入ると、どのような待遇・仕事が与えられるのか?そういった企業から内定を取るにはどうしたらよいのか?

最近、人気が上昇している業界・企業、人気が下降している業界・企業はどこか?またその理由は?

九州にいると、このような最新情報を入手することが難しい。何故なら、学校側も把握できないだろうし、頼りにすべきはOB・OGなのだが、首都圏にいるとコンタクトが取りにくい。

従って、今トップ学生の間ではコンサルが流行っているということは掴めても、そこから先の詳細情報を入手できないと対応しようがない。そうなると、年の近い先輩がそういった企業から内定をもらわないと、ますます後輩たちの情報不足が継続していくという負のスパイラルに陥ってしまう。

また、九州大学とか東北大学といった旧帝大系は、その地方ではトップでチヤホヤされがちなので、お山の大将になってしまい、就活においてものんびりして東京の学生に負けてしまうという問題点もあろう。

②ベンチャー、起業家を目指す学生はいるのか?

無理してベンチャーや起業家を目指す必要は無いのだが、九州で唯一の帝国大学経済学部であるので、地域経済の活性化という観点からも、起業家の輩出が望まれる。とは言え、起業においては、就活以上に情報やインフラ面においてハンディを負う。このあたりは、OBや地域の経済団体のサポートが期待されるところであろう。

4. 九州大学経済学部の就活における対応策

情報不足に対する対応策は、物理的な距離における不利益はいかんともしがたいので、個々の学生が意識してそのギャップを埋めるべく努力するしかない。

まず、Webで取れる情報はきっちり取り込むことだ。具体的には、東大、早稲田、慶応の学生が見ている情報は把握しておくということであり、「ONE CAREER」と「外資就活」は日々チェックするようにしておきたい。

<ONE CAREER>

https://www.onecareer.jp/

<外資就活>

https://gaishishukatsu.com/

また、OB/OG訪問を積極的に行うことだ。成功している人ほど、後輩の世話を一生懸命やってくれるはずなので、遠慮せずに、年代が40~50代で成功しているOB/OGを積極的にあたってみるべきだ。

若手の方が会いやすい気もするが、正直、20代だと採用の意思決定者では無いし、採用に関する経験や企業の見方も不十分だったりするので、40~50代のOB/OGでも全然構わないのだ。

それから、これが一番大事なのだが、自ら東京に足を運んで、東京のトップ学生と接触してみることだ。東大や慶応などのトップクラスの就活生の対応力にきっと驚くだろうが、福岡では得られない良い刺激を得られるはずだ。

また、東京での就活イベント等を通じて、東京のトップ学生と知り合うことができれば良い生の情報も入手しやすくなるはずだ。

旅費や宿泊費はかかってしまうので、早くからアルバイトでもして、軍資金を
十分蓄えておきたいものだ。

最後に

昔は多くの大企業がリクルーター制度を採用していたので、東京色の強い企業であっても、毎年欠かさず、地帝からも数人ずつ採用することができた。ところが、今のようなES制度になると、東京にある大学が相対的に有利となり、有力企業における東大、早慶という在京トップ校のシェアが高まってしまった。

実は、人事の採用担当からはこの状態は望ましいとは考えていない。100人以上採用するのであれば、東大早慶だけで60人よりは、東大早慶で50人にして、残りの10人は地方の旧帝大から採用して、多様性を確保したいものである。

九州大学、東北大学などの旧帝大であれば学歴フィルターで引っかかることは無いので、あとは、相応な準備をして挑戦すれば可能性は拡がるはずである。

従って、学生は十分な情報収集と、東京に実際に足を運んでみることを意識すべきでは無いだろうか。

なお、2020年2月以降、コロナショックが拡がり、就活イベントがほとんどキャンセル状態になっている。このため、リモートでの対応によって代替され始めているので、これは、費用、時間、労力といった面で地方の学生の不利な点を解消してくれるという意義もある。しっかりと情報を収集して、対応をしたいところだ。

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