青山学院大学国際政治経済学部【22卒向け】の就職と課題。早稲田の社会科学部や国際教養学部との比較

1. 元祖、人気の国際系学部の青山学院国際政治経済学部の就職について

①老舗の国際系学部の青山学院大学国際政治経済学部

早稲田、明治、法政、立命館、そして国際基督教大学に国際教養大学。「国際」と名の付く大学、学部は大人気の様で、入試の難易度が同じ大学の他学部よりも頭一つ高く、就職もワンランク上だと考えられている。

「国際」という名の付く学部は、2000年以降に新設されたところが多いが、青山学院大学国際政治経済学部は1982年に創立であり、国際ブームの先駆者である。

1980年代、要するに、バブル期から青学の国際政治経済学部は別格であるという
認識が学外、学内においてあり、その就職力が気になるところである。

②青山学院大学国際政治経済学部の就職先について

ところが、残念なことに、学校の公式HPにおいては、上位20社ほどの会社名が記載されているのみである。少人数なので、ロングテールなのは理解できるが、どうせなら京都大学のように全開示して欲しいものである。

なお、青山学院大学国際政治経済学部の人数は1学年約280名、進学者が11名で、詳細不明を除くと、就職者総数は約250人である。そして、青山学院の場合には、全般的に女子学生の存在感が強いと言われるが、国際政治経済学部の場合も、男女比率は2:3と女子学生の比率が高くなっているのが特色である。

そこで、青山学院大学の公式HPで開示されている、主な就職先企業のリストを紹介したい。ここでも、男女に分けて就職者数が開示されている。

企業・団体名
楽天 8 3 5
全日本空輸 7 7
アビームコンサルティング 4 4
エイチ・アイ・エス 4 1 3
SMBC日興証券 3 2 1
住友商事 3 1 2
東京海上日動火災 3 3
日本通運 3 3
日本航空 3 3
三井住友銀行 3 1 2
三井住友信託銀行 3 1 2
アクセンチュア 2 1 1
伊藤忠 2 1 1
NTTデータ 2 1 1
JALUX 2 1 1
日本政策投資銀行 2 2
日本生命 2 1 1
三井住友海上火災 2 2
三菱UFJ銀行 2 2
りそなホールディングス 2 1 1

(出所:青山学院大学公式HPより)

2. 青山学院大学国際政治経済学部の就職について

具体的な上位就職先企業については、上記の表のとおりである。こちらの企業については、ほぼ優良企業と考えて良いだろうから、上記ランキングに載っている企業への就職者総数は62人であり、全就職者数の約1/4である。従って、それなりに良好な就職状況であると言える。

全体的な特徴としては、メガバンク他の大手銀行、大手生損保、大手証券会社等が見られ、一般的なMARCHの就職状況と同様に、それなりに大手金融機関の比率は高いことがうかがわれる。

そして、業種における特徴としては、全日空、JALという航空会社が上位に来ていることである。それぞれ、就職者は7名、3名であるが、全て女子というのが興味深い。CA職も一定数含まれているのだろうか?

また、最多就職先は楽天の8名である。前年度3名という就職実績があったサイバーエージェントについては、今年度は見当たらなかった。

人気のコンサルティング・ファームについては、アビームコンサルティングが4名、アクセンチュアが2名となっている。前年度は見当たらなかったので、年次による変動はあるのかも知れないが、広くコンサルティング・ファームに就職者を出している点については、評価できるのではないだろうか。

課題があるとすれば、総合商社だろうか。前年度は丸紅2名だけであったが、今年度は住友商事に3名、伊藤忠に2名となっている。青山学院の場合、優良企業については女子の一般職が多いのではないかという見方もあるが、住友商事3名のうち女子は2名、伊藤忠2名うち女子は1名となっている。総合職か一般職かについては確認できない。わずか就職者数が250名程の国際政治経済学部だけで、総合商社への就職者が5人というのはMARCHの中では悪くないだろう。しかし、早慶に追い付こうとなると、もう少し内定者を増やしたいところだ。

他には、超難関企業の日本政策投資銀行に2名ということになっているが、2人とも女子なので総合職かどうかは不明である。

全体的に見ると、大手金融機関、航空会社、総合商社、総合系コンサルティング・ファーム、IT系企業と幅広い業種に就職実績があるので全体的に良好な就職状況だと思料される。もっとも、開示の対象となっていない、残りの3/4の就職先が気になるところである。

3. 早稲田大学社会科学部との比較

青山学院大学国際政治経済学部は、学生は望んでいないかも知れないが、MARCHということにされている。そして、MARCHの中では最上位・最難関学部として取り扱われているのではないだろうか?

そうなると気になるのは、早稲田大学の非上位学部との比較である。難易度的にはあまり変わらないとなると、どちらを選択すべきかについては就職力がカギとなる。

そこで、両者を比較すべく、青山学院の国際政治経済学部の就職先を基準に、早稲田大学の社会科学部の就職者数を以下の通り比較してみた。

(修飾者数 254人) (就職者数 579人)
企業・団体名 青学 国際政経 早稲田 社学
楽天 8 5
全日本空輸 7 2
アビームコンサルティング 4 1
エイチ・アイ・エス 4 0
SMBC日興証券 3 2
住友商事 3 2
東京海上日動火災 3 7
日本通運 3 0
日本航空 3 5
三井住友銀行 3 6
三井住友信託銀行 3 2
アクセンチュア 2 3
伊藤忠 2 1
NTTデータ 2 3
JALUX 2 0
日本政策投資銀行 2 0
日本生命 2 2
三井住友海上火災 2 3
三菱UFJ銀行 2 2
りそなホールディングス 2 4

(出所:青山学院大学HP及び早稲田大学HPより外資系金融キャリア研究所が集計)

上の比較表を見ると、早稲田の社会学部の就職者数が2.3倍ということを加味すると、少なくとも「率」で見ると、青山学院大学国際政治経済学部の方がやや優位に見える。

商社については、青山学院大学国際政治経済学部からは今年度は住友商事3名、伊藤忠2名の合計5名で、まずまずの数字と言える。他方、早稲田大学社会科学部も、三井物産1名、住友商事2名、伊藤忠1名、丸紅2名の合計6名だけなので、悪くはない結果だと思われる。もっとも、五大商社への就職については両学部ともに安定しているわけでは無さそうなので、特に優劣は無いのではないか。

早稲田大学社会学部の方がやや優位と思われる企業は、コンサル系で、アクセンチュア3名、アビームコンサルティング1名、デロイトトーマツコンサルティング1名、ベイカレントコンサルティング2名という実績がある。
また、キーエンスに4名というのも注目される。

比較すると、トータルではそれほど大きな差はないかも知れないが、「率」に着目すると、若干青山学院大学国際政治経済学部がやや優勢というところか?

4. 早稲田大学国際教養学部との比較

同じ、「国際」系ということであれば、早稲田と比較するならばここかも知れないが、入社難易度に差がある。

そして、就職力で比較しても、グローバル人材が求められる環境下、早稲田というネームヴァリューと相俟って、早稲田大学国際教養学部の就職力は既に看板の政治経済学部並みになっている。従って、就職力については、早稲田大学国際教養学部が圧勝の状況にあると言える。

<早稲田大学国際教養学部の就職と課題>

https://career21.jp/2019-02-19-064858

感想

青山学院大学国際政治経済学部は国際系学部の元祖であり、十分な知名度もあるのだが、残念ながら、就職力に関しては、まだまだ早慶の上位学部には達していないだろう。

最近では、ライバル校も国際系の学部を設置してきたため、独自性が薄れてきたきらいがある。

また、国際系ではないが、立教大学の経営学部なども独自の教育で急上昇してきているので、うかうかしてはいられない。

青山学院大学国際政治経済学部が、更に上のステージを目指すには、外銀・外コン・総合商社に、少数でも送り込むということが必要になってくるのではないだろうか。

もちろん、現状でも、それなりの大手や優良企業への就職という点では特に問題は無いのだろうが。

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