大阪大学経済学部【22卒向け】の就職と課題。慶應大学経済学部と比較するとどうか?

1. 大阪大学経済学部の就職に関連するデータ

①大阪大学経済学部の基本的なデータ

大阪大学経済学部の定員は220名。学科は経済・経営学科の1学科制である。男女比率については、2019年入学生の場合、男子が73%、女子が27%とかなり男子学生の比率が高いのが特徴である。

https://passnavi.evidus.com/search_univ/0590/department.html?department=025

進路については、約1割が大学院等に進学する。このため、就職者総数は1学年あたり、わずか200名程度と少数である。

慶應大学経済学部の就職者数が約1000人なので、大体、1/5位の規模感である。

なお、大阪大学経済学部から公務員になる学生の比率は5%程度であり、あまり高くない。この点については、慶応大学経済学部と類似していると言えるだろう。

②大阪大学経済学部の就職先企業について

大阪大学経済学部の具体的な就職先企業についてだが、残念ながらあまり詳細な開示は無い。こちらの大学公式HPでは、過去5年間の主な就職先企業についてまとめて開示しており、ある程度の傾向は把握できるが、企業毎の詳細な情報はつかめない。

https://www.econ.osaka-u.ac.jp/academics/u_alumni.html

20名以上 三井住友銀行 三菱UFJ銀行 みずほFG
10~19名 三井住友信託銀行 日本生命 三菱電機 富士通
監査法人トーマツ 大阪ガス NTT西日本 住友商事 伊藤忠商事
5~9名 日本たばこ産業 サントリーホールディングス ゆうちょ銀行 みずほ銀行 関西アーバン銀行 池田泉州銀行
SMBC日興証券 大和証券 りそなホールディングス 農林中央金庫 野村證券 第一生命
三井住友海上火災 東京海上火災 住友電気工業 日立製作所 トヨタ自動車 関西電力
中国電力 九州電力 西日本旅客鉄道 ニトリ コベルコシステム
その他一部 裁判所 特許庁 大阪府庁 兵庫県庁 神戸市役所
京セラ キャノン クボタ 毎日放送 NTTデータ
西日本高速道路 丸紅 デロイトトーマツコンサルティング
三菱商事

(出所:大阪大学HPより)

2. 大阪大学経済学部の就職状況の特徴

①大手金融機関への就職者の割合が高い

就職者数のトップは3メガバンクでありその他、信託銀行、大手生損保、大手証券会社と大手金融機関が上位にランクしている。この点は、慶応大学経済学部と共通であろう。もっとも、ここ数年、メガバンクを始めとした銀行全体が新卒採用者数を大幅に削減しているため、直近では、メガバンクから証券、生損保等の大手金融機関に流れている可能性もある。

②大手メーカーが多い

大阪大学経済学部の特徴として、大手メーカーへの就職者が多い。例えば、2番手グループに、三菱電機と富士通がランクインしている。また、3番手グループにも、日本たばこ産業、サントリー、トヨタ、ニトリがランクインしている。

慶應大学経済学部の場合は、上位20社の中にメーカーは1社も入っていない。金融・サービスセクターへの集中度が高い。

③インフラ(公益)系の企業が多い

大阪大学経済学部の特徴として、インフラ(公益)系の企業への就職者が多いことがあげられるだろう。

例えば、大阪ガス、関西電力、中国電力、九州電力、JR西日本、西日本高速道路などである。

これは、大阪大学というより、非東京の旧帝大の特徴であろう。

他方、慶応大学経済学部の上位20社には、東京電力とか東京ガスはランクインしていない。

3. 大阪大学経済学部の就職における課題

就職先の選定はその人の価値観によるので、以下の点を「課題」というのは問題があるかも知れない。もっとも、就職偏差値/就職人気ランキング上位企業への就職状況は長期的に大学の人気・難易度に影響するであろうから、ある程度は意識すべきかも知れない。

①全体的に関西ローカル色が見られる

例えば、大阪ガス、関西電力、JT西日本、西日本高速道路、関西アーバン銀行、池田泉州銀行、コベルコシステム等の関西系企業が多く見られるのが特徴である。

もちろん、関西に卒業後も在住したい学生にとっては、これは大阪大学経済学部の強みと言えるのかも知れない。

しかし、東大、早慶などの東京の有力校からすると、特に強みとはならないであろう。

②超上位企業/超人気企業が見えない

大阪大学の公式HPには、「ご覧のように、就職について本学部は抜群に恵まれた環境にあります。」というコメントがある。

確かに、大手企業という切り口であれば、だいたい希望のところに行けるのであろう。

しかし、大阪大学経済学部の入試難易度や偏差値を踏まえると、最難関の企業にもっと挑戦してもいいように思われる。

例えば、外銀・外コンについてはほとんど就職する者はいないのではないだろうか?また、電通・博報堂、キー局というマスコミ関係についても、上記リストには全く入っていない。

さらに、総合商社であるが、住友商事や伊藤忠商事については、5年間で「10~19名」のところに入っているが、三菱商事と丸紅については、「その他一部」に入っており、5年間で4名以下と推察される。三井物産については、リストにすら入っていない。

確かに、大阪大学経済学部の就職者数は、慶応大学経済学部の1/5しかないので人数的には不利な点は否めないが、もう少し総合商社を増やしたいところだ。

なお、大阪大学経済学部限定ではないが、大阪大学全体だと、五大商社の就職状況は以下のようになっている。経済学部からの就職者数は不明だが、大阪大学自体の存在感はそれなりにあると思われる。

(大阪大学全体からの五大商社への就職状況)
三菱商事 4
三井物産 8
住友商事 12
伊藤忠 6
丸紅 5
(合計) 35

(出所:AERA2019.8.5号より外資系金融キャリア研究所が抜粋)

感想

大阪大学経済学と慶応大学経済学部というのは、2ch等の学歴板とか、ヤフーの掲示板あたりで、どちらが上か下かといった不毛な議論が展開されているが、就職状況だけを見ると、慶応大学経済学部の方が有利なように見える。

<慶應義塾大学経済学部の就職と課題>

https://career21.jp/2019-02-08-145539/

これは、大阪大学経済学部の学生が能力的に、超人気企業から採用してもらえないということではなく、単に挑戦する学生数が少ないと推察される。

もちろん、地元に残りたいというのは十分理解できるが、長期的なキャリアを考えると、地元に関係なく、超上位企業に挑戦するという選択肢を検討してみてもいいのではないだろうか?

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