早稲田大学国際教養学部の進路と就職

1. 早稲田大学国際教養学部の進路について

早稲田大学国際教養学部は21世紀に入って創設された、比較的新しい学部である。
しかし、国際系学部人気の追い風もあり、今では政治経済学部に準じた人気学部ではないだろうか。

早稲田大学国際教養学部は、比較的こじんまりとした少人数の学部で、卒業者数は584名と、政経、法、商と比べて少ない。

そして、進学者が93名と文系学部にしてはかなり進学率が高いのが特色である。
進学率で見ると、国際教養学部は約16%、政治経済学部は8.9%である。また、学部の性質上、法科大学院進学者が多い法学部が14%であることを考えると、国際強豪学部の進学率は非常に高いと言えよう。

そして、進路が資格取得準備等に該当する学生が19人いる。
このため、国際教養学部からの就職者は385人と、卒業生に占める就職者の比率は66%と低くなっている。

<早稲田大学の進路・就職状況>
https://www.waseda.jp/inst/career/about/data/

2. 早稲田大学国際教養学部の主な就職先

上記リンク先の早稲田大学公式HPのデータより、
国際教養学部からの就職者上位企業ランキングを作成した。

順位 企業名 就職者数(人)
1 アクセンチュア 14
2 楽天グループ 13
3 アマゾン・ジャパン 10
4 PwCコンサルティング

三井住友銀行

6
6 三菱UFJ銀行

電通

ニトリ

外務省専門職員

4
10 NTTデータ

東京海上日動火災

日立製作所

SMBC日興証券

NHK

伊藤忠

コナミデジタルエンタテインメンツ

スクウェア・エニックス

JETRO

3

(出所:早稲田大学公式サイト「2021年度 進路状況」より外資系金融キャリア研究所編集)

3. 早稲田大学国際教養学部の就職先の特徴

①総合コンサル、大手金融、IT、商社、マスコミ、外資とかなり分散している

この表を見ると、アクセンチュア、PwCコンサルティングが上位に入っており、慶應経済や早稲田政経と同様に、総合コンサルが人気であることはうかがえる。しかし、他はベイカレントコンサルティングが1名、デロイトトーマツコンサルティングが1名、EYが1名で、アビームコンサルティングはゼロ名と、目立って多いわけではない。

三井住友銀行、三菱UFJ銀行、SMBC日興証券、東京海上日動火災といった大手金融機関も上位であるが、こちらも、慶應経済や早稲田の政経と比べると、大手金融機関への集中度は目立って高くはない。

他方、楽天グループ、アマゾン・ジャパン、NTTデータといったIT系も上位に入っており、ITへの関心度は高そうである。

それ以外は、早稲田が得意とするマスコミ系には、電通4名、博報堂1名、NHK]3名、日経新聞1名の実績があり、国際系学部の特徴である外資系も、日本IBM2名、P&G1名、セールスフォース1名等の実績がある。

全体的には、かなり幅広く業種分散しているところが特徴と言えよう。

②5大商社への就職状況

国内系企業では最難関と言える5大商社については、三菱商事1名、三井物産1名、住友商事2名、伊藤忠3名、丸紅2名の合計9名となっている。就職者数が727人と倍近い早稲田の政経の実績が21名であると考えると、まずまずではないだろうか。

③起業への関心度も高い?

国際教養学部の進路において注目されるのは、「自営業・起業」の卒業生が12名であることである。これは、就職者数の約3%に過ぎないが、政治経済学部が7名(就職者シェア1%)であることに比べると決して低くはない数字である。今後、卒業後に即、自営業・起業に走る学生が増えるかどうか注目されるところである。

4. 早稲田大学政治経済学部とどっち?

政治経済学部も国際教養学部も就職状況は良好だと言えるが、国際教養学部の場合は、自然とグローバル経験を積め、高い英語力を取得できる点においては有利である。就活においては、英語が得意であるとかなり有利であるため、この点においては国際教養学部が優位であろう。

他方、その分、国際教養学部の方がカリキュラム上、拘束されるので、自由度を求める場合には政治経済学部の方がいいかも知れない。英語力については、自分自身で留学をする等、対処も可能だからである。また、看板学部、ネームヴァリューという点においては、まだ政治経済学部の方が有利ではないだろうか?

このあたりは、大学入試における科目、授業料、大学生活で重視するライフスタイル等、各自の好みで決めれば良いだろう。

5. 早稲田大学国際教養学部の就職における課題

国際教養学部は、かなり個性的な学部であり、広い業種に亘り既に就職実績を有している。このため、これといった課題は見当たらないと言えるかも知れない。

しかし、強いて上げるとするならば、外銀、MBBにおけるプレゼンスがもう少し高くても良いかも知れない。また、外資系企業においても一定の実績はあるが、外資系ITとか外資系消費財企業等、どこか強い業種があれば、更に人気や難易度は高まるかも知れない。

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