早稲田大学商学部【22卒向け】の就職と課題

1. 早稲田大学商学部の就職状況

①早稲田大学商学部に関するデータ

早稲田大学の場合、大学全体の就職者数が5人以上の企業・官庁について、学部別に詳細な開示を学校がしてくれている。
https://www.waseda.jp/inst/career/assets/uploads/2019/07/2018careerdata.pdf

もっとも、PDFなので、各学部の就職状況について分析や比較を行うには、手作業で数字を拾っていく必要がある。そこで、マニュアル作業であるが、以下、早稲田大学商学部の2018年度の就職状況について分析をしてみた。

②早稲田大学商学部の具体的な就職先企業について

2018年度の早稲田大学商学部の就職者数は893人である。
早稲田大学政治経済学部の就職者数は801人と、商学部が1割程度多くなっている。
早稲田大学商学部と政治経済学部とは、就職者数が比較的近いので、学部間の就職状況については比較的し易い状況にある。

早稲田大学商学部については、就職力は全国でもトップクラスにあることはわかっており、大手企業という括りであれば就職は可能であろう。

そこで、ここでは、特に就活生の間において注目度の高い、大手金融機関(メガバンク、生保、損保、証券)、五大商社、(総合系)コンサル、電博に絞って抽出し、整理をしてみた。
このため、メーカー、インフラ等の人気企業は対象外とした。

従って、メーカーやインフラ等の他の人気業種を志望する場合には、上記のリンク先の大学公式HPをご参照下さい。

就職者数893人 就職者数801人
商学部 政治経済学部
メガバンク 三菱UFJ銀行 13 10
三井住友銀行 9 15
みずほFG 8 12
大手損保 東京海上日動火災 12 10
三井住友海上火災 6 5
損保ジャパン 7 4
大手生保 日本生命 4 2
第一生命 3 1
住友生命 6 2
明治安田生命 5 1
大手証券 野村證券 4 6
大和証券 13 10
SMBC日興証券 8 4
みずほ証券 8 2
三菱UFJモルガンスタンレー証券 5 2
五大商社 三菱商事 0 6
三井物産 4 10
住友商事 3 10
伊藤忠 2 7
丸紅 0 3
コンサル アクセンチュア 2 14
アビームコンサル手イング 13 5
デロイトトーマツコンサルティング 1 5
EYアドバイザリー&コンサルティング 3 2
PwCコンサルティング 3 2
ベイカレントコンサルティング 1 2
広告代理店 電通 3 4
博報堂 2 3

(出所:早稲田大学HP 「2018年度 早稲田大学進路状況」を基に外資系金融キャリア研究所作成)

2. 早稲田大学商学部の就職の全体観

予想通り、早稲田大学商学部の就職については、全般的に良好と言える。
メガバンク、大手生損保、大手証券、五大商社、コンサル、電博と人気企業に数多く就職している。

上記の業界以外にも、NTTデータ、KDDI、ドコモ、JAL、ANA、キーエンス、野村総合研究所、新聞、出版社、キー局、外資系企業等において就職実績を有していると言えよう。

3. 2018年度における業界ごとの傾向

①大手金融機関について

2018年度においても、早稲田大学商学部からは大手金融機関に多くの者が就職しており、金融機関に対する就職の強さが確認できる。

もっとも、前年の2017年度と比較すると、3メガバンクの就職者数合計が、43人⇒30人と大幅減となっている。これは他の有力私立大学にも見られる傾向で、メガバンク自体が新卒採用者数を大幅に削減し始めたので、その表れであろう。

他方、大手生損保、大手証券会社については前年度からの大きな減少は見られない。
しかし、特に大手証券会社の場合には、手数料ゼロ化の問題や顧客層の高齢化問題等の構造駅な問題に直面しており、全般的に新卒採用者数を絞り込んで行くことが懸念される。

なお、2018年度においては、商学部からゴールドマン・サックス証券にも1名就職している。

②五大商社について

総合商社、とりわけ、五大商社については国内系企業の中で最人気・最難関の業種である。
五大商社については、ライバルの慶應義塾が圧倒的な力を見せつけているが、早稲田大学も採用者数においては慶應に次ぐポジションにある。

ところが、2018年度においては、早稲田大学商学部からの五大商社への就職は振るわず、三菱商事ゼロ、三井物産4人、住友商事3人、伊藤忠2人、丸紅ゼロの合計9人のみである。前年度の2017年度においては、五大商社合計で18人もの就職者を出していたので、何と半減である。

これは偶然なのか、何らかの理由があるのかはよくわからないが、政治経済学部は前年度32人から2018年度は36人に増やしており、差が開いてしまった。

特に、五大商社の中でもナンバーワンブランドである三菱商事については、政治経済学部が6人に対して、商学部はゼロと厳しい状況にある。

もっとも、学部単位で見ると変動幅は大きいのかも知れないが、来年度以降の奮起に期待したい。

③コンサルティング系

早稲田大学の場合、大学全体で5名以上の就職実績がある企業についての開示なので、コンサルティング・ファームのうち、MBBの状況はよくわからい。

そこで、総合系コンサルティング・ファームについて調べてみた。
総合系コンサルティング・ファームについては、アクセンチュアを始めとして、近年、新卒も中途も大幅な採用増を継続してきたため、供給が増えすぎている点が懸念されてきた。

しかし、潰しが利くと考えられており、コンサルティングという響きの良さも相俟って、現在でも総合系コンサルティング・ファームはそれなりに人気業種のようだ。

この点、早稲田大学商学部からは、アクセンチュア、アビームコンサルティング、デロイトトーマツコンサルティング、EYアドバイザリー&コンサルティング、PwCコンサルティング、ベイカレントコンサルティングに合計23名就職している。

この点については、特に前年度と比べて減少していない。

ちなみに、早稲田大学政治経済学部から上記6社への就職者数は合計30人となっており、業種を問わず政治経済学部の就職力の強さがうかがわれる。

④その他

電通・博報堂については、採用数が少なく、ごく一部の学生しか入社できないので、あくまでも参考だが、2018年度の早稲田大学商学部の就職実績は、電通3名、博報堂2名である。
前年度は合計6名であったので、ほぼ横ばいか。

なお、早稲田大学政治経済学部の2018年度の実績は、電通4名、博報堂3名である。

4. 早稲田大学商学部の就職における課題

まず、早稲田大学商学部自体の課題として、早稲田大学の中でのプレゼンスをどうやって上げるのかという点がある。

早稲田の中では、政治経済、法、商がいわゆる上位学部とされている。
しかし、グローバル人材への需要の高まりを背景に、急速に早稲田大学国際教養学部の評価が高まり、既に就職実績では商学部を抜き、政治経済学部並みになっている。

この点、何らかの独自性を発揮して、大学内のステータスを高めたいところである。

<早稲田大学国際教養学部の就職と課題>
https://career21.jp/2019-02-19-064858

もう一つの課題は、個々の学生レベルのものであるが、自分自身の就職価値をどうやって高めるかという点である。

早稲田大学商学部という学部レベルで言うと、就職力は高い。
しかし、早稲田大学商学部はマンモス校であり、一学年900人程の就職者がいる。
この中で、商社、コンサル、マスコミ、外資、一部の金融機関など、みんなが憧れるところに就職できるのは少数なので、どうやって競争に勝ち抜くかを考えなければならない。

英語/留学、会計系資格、企業研究、起業体験、情報収集、OB訪問等、早いうちからの対応策が求められるようになるだろう。

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