慶應大学法学部(政治&法律)の就職と課題について。慶應大学経済学部と比較してどうか?

1. 慶應大学法学部(政治&法律)の就職状況

①就職状況の開示について

慶應大学の場合、全学部について、上位就職企業(3名以上上位20社)についてHPで開示してくれている。

これによって、大体の状況は把握できる。他方、経済学部のように、5名以上の就職先については20位以下も開示してくれるということは法学部は無い。

http://www.gakuji.keio.ac.jp/life/shinro/3946mc0000003d8t-att/a1530669479061.pdf

②慶応大学法学部(政治&法律)の具体的な就職先について

慶應大学の場合、法学部は政治学科と法律学科について別々に開示してくれている。

しかし、ここでは「法学部」ということで合算してみることにした。

政治学科のランキングをベースに、そこに法律学科の人数を加えるという対応を行った。

このため、日本放送協会(NHK)、博報堂、アクセンチュア、三菱UFJ 信託銀行、三菱電機、富士通、キーエンス、日本テレビ、明治安田生命については、政治学科の数字のみとなっている。これらの企業については、法律学科からの就職者がゼロということは無いと思われるので、「法学部」としての就職者数はもう少し多い可能性がある。

法学部(政治+法律) 経済学部
東京海上日動火災 26 23
みずほ銀行 24 32
三井物産 20 7
三菱UFJ銀行 21 27
丸紅 14 7
三井住友銀行 18 15
日本放送協会(NHK) 8 NA
三井住友信託銀行 12 11
三菱商事 12 8
博報堂 7 NA
アクセンチュア 6 18
三菱UFJ信託銀行 6 11
三菱電機 6 NA
住友商事 11 6
富士通 6 6
SMBC日興証券 5 13
キーエンス 5 6
伊藤忠商事 10 5
日本テレビ放送網 5 NA
明治安田生命保険 5 9

以上のように、政治学科と法律学科とを合算した慶応大学法学部全体の就職状況は極めて良好である。

東京海上、メガバンク、総合商社、マスコミ、大手広告代理店と超人気&高就職偏差値企業がズラリと並んでいる。

また、三菱電機、富士通、キーエンスというメーカーや、アクセンチュアといったコンサルなど、多様性も確保されている。

2. 慶応大学経済学部との比較

慶應大学法学部(政治&法律)の就職状況が極めて良好であることはわかった。そうすると、気になるのが、経済学部との比較だ。

歴史的には経済学部が慶応の看板学部であり、入試難易度も長らく経済学部>法学部>商学部、であったため、特に今40代、50代以上のビジネスマンにとっては、経済学部の方が良好なのではないかという認識があるだろう。

他方、今の若者や現役学生の間では、法学部>経済学部という認識があるらしい。このため、就職については、その差がどのように反映されているのか気になるところである。

なお、経済学部の就職状況についてはこちらの過去記事をご参照下さい。
blacksonia.hatenablog.com

①大手金融機関(メガバンク、生損保等)

まず、分母となる法学部と経済学部の就職者数であるが、政治学科と法律学科を合計した法学部の就職者数は982人、他方、経済学部の就職者数は1003人である。

従って、差は2%と誤差の範囲内であり、上の表について、実数比較すればいいだけなので便利である。

まず、3メガバンクについては、経済学部が74人に対して、法学部が63人である。気持ち、経済学部が多めであるがそれほど差は無い。

東京海上については、法学部が26人に対して、経済学部が23人とこちらもほぼ互角。

証券会社や信託銀行についても両学部とも多く就職している点は同じである。

意外であったのは、日銀に法律学科から4名就職している点である。なお、経済学部からは5名である。

以上のように、大手金融機関については両社ほぼ互角であろうか。

②総合商社(5大商社)について

さて、気になるのは上記①の金融機関よりも、こちらの総合商社、特に5大商社である。

何故なら、就職偏差値・難易度が最上位であり、大手金融機関よりも就活生的には上位にランクされるからである。

5大商社の就職者数の合計で見ると、法学部からは63人、経済学部からは33人である。

何と、法学部の圧勝である。特に三菱商事についても、法学部から12人、経済学部から8人であり、ここでも法学部の勝利である。

これはかなり意外感のある結果(特に年配のビジネスマン)だろうが、総合商社については、法学部>経済学部、というのが現実である。

③マスコミその他について

法学部の特色は、入社難易度が極めて高い大手マスコミへの就職が目立つ点である。

例えば、NHK、日テレが上位にランクされている。これは経済学部には無い特色である。

また、電通については、法学部から5名(法律学科のみのデータ)、経済学部からは8名、博報堂については、法学部から7名(政治学科のみのデータ)、経済学部からは不明(7人以下)となっており、こちらの就職状況も良好である。

なお、外銀・外コンへの就職状況に係るデータがあれば参考になるが、こちらの詳細はよくわからない。もっとも、慶応の場合、法学部からもゴールドマン等に何人も就職しているので、こちらの点で法学部が経済学部に劣るということは特に無いのではなかろうか?

以上のように、経済学部と比較しても法学部の就職状況は劣っておらず、総合商社やマスコミについては、法学部が優位とさえ言えるのではないだろうか?

3. 慶應大学法学部の就職に関する課題について

①民間企業への就職について

慶應大学法学部の就職状況は極めてよく、私立大学ナンバー1というか、日本の中でも、ここに勝てるとすれば、東大(文系学部)か一橋くらいしか見当たらないだろう。

この点については、後日、比較してみたい。

いずれにせよ、民間企業への就職については特に課題は無いのではないだろうか?

強いて言えば、多様性ということで、ネットベンチャー系に行く者がもう少し増えても悪くないのかも知れない。

②弁護士(法科大学院進学者)をどう考えるか?

法学部での最高の勝ち組は、大学名を問わず、弁護士であった。旧司法試験の何度は極めて高く、司法試験の合格者数が大学の法学部の格を示していた。

しかし、司法制度改革における弁護士数の急増によって、弁護士の人気は急低下してしまった。

今では、弁護士がうらやましいと思う学生は多くないのではないだろうか?

旧司法試験時代は、司法試験合格者数において、早稲田>慶応であったが、新司法試験制度になって、合格「率」が判断基準となり、今では、慶応法科大学院>早稲田法科大学院、であろう。

ただ、残念なのは弁護士人気が低下してしまったことで、大学として法科大学院や弁護士というのをあまりアピールできない点である。

とはいえ、弁護士というのは法学部(他学部からでもなれるが)の象徴的な職業であるので、ここをうまくPRしていきたいところである。

まとめ

慶應大学法学部の民間企業就職状況は極めて良好というより、日本ナンバー1といえるレベルではないだろうか?

長年の評価であった、経済学部>法学部、というのも時間が経つにしたがい、解消されていくのかも知れない。

これには、入試の方法も影響しているのかも知れない。入試科目に数学が無いと、馬鹿にされがちな傾向にあるので、いっそ法学部の入試科目にも選択でいいので数学をいれてみてはどうだろうか?