慶應義塾大学商学部の就職と課題について

1. 慶應大学商学部の就職の状況

※本記事は2019年2月14日に書かれたものを、2020年4月1日にリライトしたものである。各企業への就職者の数値については、慶應義塾大学の公式HPより、2018年度の就職・進路データに基づき更新した。

①大学による就職状況の開示

慶應大学は、学部別に具体的な就職状況について開示をしている。

https://www.students.keio.ac.jp/com/career/service/date.html

②主な就職先の状況

慶應大学商学部の場合、経済学部のようなより詳細な開示は無いが、就職先のトップ10は、以下のようになっている。

1. 三井住友銀行       16人

2. アビームコンサルティング 14人

3. 東京海上日動火災     13人

4. 大和証券         12人

5. 野村證券行        11人

5. 三井住友海上火災     11人

7. みずほ銀行                 10人

7. 日本生命           10人

9. 三菱UFJ銀行                9人

9. 有限責任監査法人トーマツ   9人

11. SMBC日興証券        8人

11. 三菱電機           8人

11. 富士通            8人

このように慶應大学商学部からの就職先トップ10には、メガバンク、東京海上、アビーム、野村證券、日本生命、監査法人トーマツと、就職人気企業である金融機関、コンサル、監査法人が並んでいる。

また、上位20位以内にも、キーエンス、電通、住友商事、新日鉄、NTTデータなど、広告代理店、メーカー、インフラと幅広く人気業種に就職している。

2. 慶応大学経済学部との比較

以上のように、慶応大学商学部の就職状況は極めて良好である。ところが、気になるのは同じ慶応大学の経済学部との比較では無いだろうか?

経済学部と商学部とは、同じ広義のビジネス・経済系の学部ということと、入試科目で「数学」を選択する受験生が多い(A方式)ことから、併願・比較の対象となってきた。

経済学部は伝統の看板学部であり、受験の難易度(偏差値)も歴史的に経済学部が高かったことから、学部内格差を学内・学外から指摘されることは多い。

そこで、両学部の就職状況に差があるか気になるところである。

なお、就職者数は、経済学部が1032人に対し、商学部は838人であり、2割程度経済学部が多い。

①大手金融機関

3メガバンクの合計は、経済学部が44人、商学部が35人であり、比率にすると、4.3%と4.2%と両者互角である。

他方、生損保のトップ企業である、東京海上と日本生命については、経済学部が、東京海上19名、日本生命5名、商学部が、東京海上13名、日本生命10名、とほとんど差が無い。

なお、証券会社のトップである野村證券については、経済学部が19名、商学部が11名となっており、経済学部がやや優位である。

いずれにしても、経済学部、商学部ともに、その他に、大手信託銀行、商工中金、農林中金等への就職者数も多く、大手金融機関についてはほとんど差が無いと言えるのではないだろうか。この傾向は、前年からも大きく変わっていない。

②総合商社、マスコミについて

それでは、大手金融機関より、更に就職難易度が高いとされる五大商社とマスコミについて見てみよう。

経済学部からは、三菱商事9名、三井物産8名、住友商事14名、伊藤忠5名、丸紅6名の、合計42名である。

商学部からは、 三菱商事2名、三井物産5名、住友商事6名、 伊藤忠4名、丸紅3名の、合計20名である。

前年度は、三菱商事が経済学部8名、商学部7名、三井物産は経済学部が7名、商学部が8名と、ほぼ両学部互角だったのであるが、この年度は経済学部の方が優位であったようだ。やはり、コンサバで学歴重視の五大商社については、経済学部がやや有利と言えるかもしれない。

他方、広告代理店の電通・博報堂については、経済学部からは電通5名、博報堂5名。商学部からは電通7名、博報堂4名で互角である。この傾向は前年同様である。

ちなみに、ゴールドマン・サックスについては、経済学部から5名、商学部から1名となっている。

また、マッキンゼーについては、経済学部2名、商学部1名。P&Gは、両学部とも2名である。

以上のデータを見る限り、今年度については、五大商社は経済学部が優位であったが、それを除くと、両学部の就職力についてはほとんど同じと言えるのではなかろうか。

3. 慶應大学商学部の就職における課題

上記のように、慶応大学商学部の就職状況は極めて良好であり、また、経済学部との比較においても特にそん色は無いと言えるだろう。

このため、大手企業、就職人気先企業における就職能力においては、特にこれといった課題は無いのではないだろうか?

もっとも、現在40代、50代以上の人達からすると、経済学部>商学部、という認識を持っている人が多い。

両学部に合格した場合、今でもほとんど経済学部を選択するのでは無いだろうか?

となると、就職力だけでなく、ステイタスやイメージでも経済学部に追いつくためには商学部としての独自性を発揮することではないだろうか?

例えば、ベンチャー起業で成功した卒業生が増えると、商学部としての存在感は高まって行くだろう。経済学部は、起業よりも大手、有名企業への関心度が高いからである。

ところが、起業というと、慶応の場合は商学部よりもSFCの方が存在感が高いのが現状である。

このため、カルチャーは異なるかも知れないが、SFCの学生とも吊るんでベンチャー起業を目指す学生が増えて行けばますます良くなるのでは無いだろうか?

まとめ

就職については、慶応大学経済学部の方が、商学部よりも良好なのではないかと思っていたが、ほとんどそん色はなかった。

ところが、歴史的な経緯や偏差値から、経済学部>商学部と思っている人達はまだまだ少なくないので、ベンチャー起業などで、商学部としての独自性を発揮できれば、ますます商学部のステイタスは上がるのではないだろうか。

今後は、2020年2月以降のコロナショックの影響で、外銀、商社などの優良企業は採用枠を減らす恐れがある。そうなると、採用はコンサバ化して上位校が優先される可能性があるが、慶應大学の場合はその際に有利になっても不利になることは無いのではないだろうか。

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