早稲田大学政治経済学部の就職と課題。慶應義塾大学経済学部と比較するとどうか?

1. 早稲田大学政治経済学部の進路

早稲田大学政治経済学部というと、早稲田大学の看板学部である。
進路については、22/3卒の場合、卒業生が901名、そのうち大学院等への進学者が78名と、文系にしてはかなり多い。そして、資格試験の準備をする人が24名である。

就職者数は727名であり、慶應義塾大学経済学部の就職者数が1018名と比べて少ない。

なお、早稲田大学の進路や就職に関する開示は非常に良く、5名以上の就職先について、学部別に開示をしてくれている。

<早稲田大学の進路・就職状況>
https://www.waseda.jp/inst/career/about/data/

2. 早稲田大学政治経済学部の卒業生の主な就職先

上記リンク先の早稲田大学公式HPのデータより、
政治経済学部からの就職者上位企業ランキングを作成した。

順位 企業名 就職者数(人)
1 PwCコンサルティング

三菱UFJ銀行

14

 

3 NTTデータ 10
4 東京海上日動火災

アクセンチュア

アビームコンサルティング

8
7 SMBC日興証券

みずほFG

有限責任監査法人トーマツ

EYストラテジー・アンド・コンサルティング

住友商事

国家公務員一般職

7
13 楽天

富士通

三井住友銀行

NHK

三菱商事

EY新日本有限責任監査法人

日本経済新聞

6
20 NEC

野村総合研究所

ベイカレントコンサルティング

国家公務員総合職

日立製作所

日本IBM

日本生命

アマゾンジャパン

丸紅

日本総合研究所

デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー

5

(出所:早稲田大学公式サイト「2021年度 進路状況」より外資系金融キャリア研究所編集)

3. 早稲田大学政治経済学部(22/3卒)の主な就職先の特徴

①総合コンサル、大手金融が多い

近年の傾向であるが、かつて大量採用をしていたメガバンクの採用者数の減少と、DXブームの継続による総合コンサルの採用の積極化に伴い、トップのPwCを始め、アクセンチュア、アビーム、EY、ベイカレントが上位にランクインしている。

また、以前よりは減少したものの、大手金融機関への就職者は多い。
三菱UFJ、三井住友、みずほという3メガバンクに加え、東京海上日動火災、SMBC日興証券、日本生命が上位にランクインしている。

②商社やその他難関企業でも存在感

国内系企業において最難関の5大商社であるが、政治経済学部は相変わらず商社に強い。
三菱商事に6名、三井物産に1名、住友商事に7名、伊藤忠に2名、丸紅に5名と、5大商社の合計が21名であり、就職者数の約3%である。

また、この上位30社リストには入っていない企業もあるが、電通2名、博報堂2名、NHK6名、TBS1名、日本経済新聞6名、読売新聞3名とマスコミへの就職者、三井不動産1名、三菱地所2名、日本銀行2名、日本政策投資銀行2名等、幅広く難関企業において就職実績がある。

③IT系も多い?

NTTデータ10名、野村総合研究所5名、富士通6名、日立5名、日本IBM5名、アマゾンジャパン5名、日本マイクロソフト2名等、有力大学の文系学部の中では、広義のIT系への就職者が比較的多いと思われる。

4. 慶應義塾大学経済学部との比較

ライバル関係にある、慶應義塾大学経済学部との異同も気になるところであるので、以下、まとめてみた。
(なお、慶應義塾大学経済学部の就職状況に関する記事はこちら)
https://career21.jp/2019-02-08-145539/

①共通点は総合コンサルと大手金融機関が多い

近年の経済のトレンドを反映してか、両学部共に総合コンサルが増加傾向にあり、減少傾向にあるとは言え、大手金融機関への就職者も目立つ。

また、両学部共に看板学部だけあって、最難関の5大商社に強い。
5大商社への就職者数の合計は、慶應経済が35名、早稲田政経が21名であるが、就職者数が慶應経済の方が多いので、就職者数に占める比率で見ると、それ程大きくは変わらない。

②業種分散度は早稲田政経の方が高い?

両学部共に総合コンサルと大手金融機への就職者が多いのであるが、業種的には早稲田政経の方が分散しているようだ。早稲田政経の場合、上述の通り、IT系が比較的目立つし、NHKや日本経済新聞等、得意のマスコミへの就職者も目立つ。

③大学内における学部の位置付け

早稲田大学の場合、全般的に就職状況は良好だが、特に人気・難関企業においては政治経済学部が特に存在感が高いと思われる。例えば、5大商社の合計は、政治経済学部は21人に対して、商学部が9人、国際教養学部が9人である。また、日本経済新聞は早稲田全体で12人のうち、そのうち半分の6人は政治経済学部である。他方、慶應の場合は、経済学部と法学部が同じくらい(場合によっては法学部の方が強い)であるので、経済学部が突出しているわけではない。

5. 早稲田大学政治経済学部生の就職における課題

①今後得意のマスコミはどうなるか?

政治経済学部の場合、伝統的にマスコミに強い。
現在でもNHKや日本経済新聞など、多くの卒業生がマスコミに就職する。
しかし、ネットへの移行の流れの中、得意の新聞、出版という紙媒体の衰退は不可避だろうし、テレビはまだまだ存在感があるが20年後はどうなるかわからない。このような外部環境は、マスコミ志望の学生を悩ませるだろう。

②外銀と戦コン(MBB)でのプレゼンスが低い?

就活における最難関業界は、外銀と戦コンであろう。
早稲田大学の開示は就職者数が5名以上であり、4名以下の情報が不明なので断言はできないが、慶應と比べて外銀と戦コンでのプレゼンスが弱そうである。

もちろん、外銀や戦コンに新卒入社したところで、そこから勝ち残るのは大変なので、それが必ずしも良いとは言えないが、もう少し外銀・戦コンへの就職者が増えてもいいかも知れない。

③起業・副業の視点はあるか?

政治経済学部の場合、就職状況は良好であり、大手の人気企業に多数が就職している。しかし、少子高齢化の進展、日本企業の国際競争力低下に伴い、終身雇用や現在の給与水準が最後まで保証されるとは限らない。そうなると、いざというときに慌てなくて済むように、起業・副業の視点も持ち合わせる必要があるだろう。

もっとも、この点については政治経済学部だけでなく、現在の就活生共通の課題ではあるが。

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