外銀や総合商社の若手社員が、ベンチャー企業への転職を考える場合の、チェックポイントについて

1. 何故わざわざ外銀や総合商社を辞めてベンチャー企業に?

まず、ここでいうベンチャー企業とは狭義のベンチャー企業で、非上場のベンチャー企業である。

ヤフー、楽天、サイバーエージェントのような既上場の大手ベンチャー企業は含まれない。

せっかく、難関で好待遇の外銀や総合商社に入社できた若手社員が、退職してベンチャー企業に転職を考えるのであろうか?

共通点としては、いずれもできあがった組織であり、上下関係が厳しく、自由に好きなように働ける雰囲気ではないということであろうか。

しかし、ハイステイタス、高給、将来性、安定性等を考慮すると、一般的には、ベンチャー企業に行くのは得策では無いだろう。

周りの人に相談すると、ほぼ辞めた方がいいという回答が返ってくるのだろうが、それでも、あえてベンチャー企業に行きたいのであれば、以下のような事項をチェックしてから、結論を出すべきだろう。

2. ストック・オプションをもらえるか?

①お金の問題だけではない、ストック・オプションの付与

ベンチャー企業に行くと当然年収は下がる。大体、20代で幹部社員(といっても部下のいない1人部長のようなイメージ)の場合でも、年収500~800万円位のレンジである。(それについては、こちらのポストコンサルの記事が詳しい。)

ポストコンサル転職の実態 – 戦略コンサルによる転職メディア

したがって、ストック・オプションを付与されないと転職すべきではない。

これが最初のチェックポイントである。

外銀・総合商社のステイタスを捨てて、わざわざベンチャーに行くのだから、経営者側としても、ストック・オプションを付与するのは当然なのである。

というと、「自分はお金じゃないから、ストック・オプションは無くてもよい。」と思われるかも知れないが、それは誤りである。

それは、創業メンバー等はそれでよいかも知れないが、事業の拡大に伴い、組織を拡大、要するに社員を増やしていく必要がある。

その場合に、相応の報酬を用意できないと、結局優秀な社員を採用することができないのである。

ベンチャー企業は、人材の質こそが全ての競争の源泉であるはずなのに、「お金が無くても優秀な人を採用できる」という安易な人的資源管理(HRM)のセンスしかない経営者の会社は、競争に勝てないのである。

実際、UberとかAirbnbなんかもコアとなる社員には数千万円レベルのパッケージを用意した上で採用してきている。

メルカリなんかも、上場前の早い段階から、コアとなる社員にはストック・オプションを含む相応の待遇を要した上で採用してきた。

したがって、ストック・オプションも付与してもらえないベンチャー企業のポジションには、わざわざ外銀・総合商社から応募すべきではないのである。

②ストック・オプションの内容

VCのトップ企業である、GCP(Globis Capital Partners)の幹部社員から聞いた話であるが、発行済株式総数の約10%をストック・オプションに使用するよう推奨しているという。

さらに、その10%の内訳は、3%を創業メンバー、3%を一般社員に付与するイメージなので、創業メンバー以外の幹部社員(執行役員とか部長クラス)には、合計3~4%付与するという形である。

この場合、各幹部社員に付与されるストック・オプションは、幹部社員の人数によるわけだが、通常、幹部社員の数は5~10人位と想定されるから1人あたり、0.3~0.6%位が目安となる。

そうすると、時価総額が100億円の場合だと、3000~6000万円、時価総額が300億円の場合だと、9000万円~1億8000万円の経済的利得をIPOが成功した暁には実現できることとなる。

③ストック・オプションの行使可能時期

ストック・オプションの行使可能時期は、入社後2年以降という、「2年」が多いのではなかろうか。

もっとも、中には、3年~4年と長めであるが、その代わり、1年毎に1/3、1/4が付与されるタイプもあり、この点については会社によって違いがあるので要確認だ。

④ストック・オプションの内容

ベンチャー企業に参画して成功する場合というのは、IPOの成功に依拠する場合が多いが、最近ではIPOではなくM&AによってEXITするパターンも増えてきている。

M&A、要するに株式が未公開の段階で売却される場合には、付与されるストック・オプションの行方がどうなるかについても確認しておいた方がよい。

3. ベンチャー企業での職歴の評価

上記2では、経済面についてのチェックポイントである、ストック・オプションについて述べたが、ここではベンチャー企業の職歴の評価について考えたい。

もちろん、IPOまで辿り着いた場合には、その後転職したり独立したりする場合でも、輝かしい経歴となるだろう。

しかし、問題はIPOやM&Aまで辿りつけずに、失敗に終わった場合である。

結論的には、この場合は残念ながら、外資系企業や国内系大手企業からは全く評価されないと考えた方が賢明である。

「優良企業を捨ててまでベンチャーで挑戦したので、失敗しても、そのベンチャー・スピリットは評価できる!」といった甘い話は無いのだ。

要するに、ベンチャー企業での転職の失敗は、単なる「履歴書の汚れ」「黒歴史」にしかならないということを認識する必要がある。

2000年前後の第一次インターネット・ブーム、2005-2006年頃のホリエモンが台頭してきた頃の第二次インターネット・ブームの期間、野村證券とか外資系証券からベンチャー企業に転職して失敗した人達を知っているが、結局、彼らは金融業界(銀行系証券会社)に復帰し、年俸は以前より下がることになってしまった。

どこの金融機関も、数年間の失敗したベンチャー企業での経験はマイナスにしか評価してくれなかったのだ。

したがって、ベンチャー企業に転職するにあたっては、失敗して、元の業界に復帰する場合には、マイナスにしかならないということを念頭に置くべきである。

4. ベンチャー企業の後のキャリアをどう考えるか

上記の話と重複するのであるが、IPOに成功した場合であっても、そのまま定年までベンチャー企業で働き続けることを想定する人は少ないであろう。

従って、ベンチャー企業への転職が成功しようが失敗しようが、その後のキャリアを考えておく必要がある。

失敗した場合の、典型的なパターンは元の業界に戻るということであるが、総合商社の場合は難しいであろうから、どこか別の国内系の優良企業を探すことになるのだろうか。

成功した場合には、IPOの成功体験を持って、また別のベンチャー企業に転身する場合もあるし、また、自ら起業に挑戦をするというのもアリだろう。この場合には、いろいろと楽しい未来が待っている。

5. ベンチャー企業の探し方

ベンチャー企業の場合、外資系企業や国内大手企業と違って、転職エージェントを使わないケースが多い。

或いは、転職エージェントを使う場合にも、ベンチャーに特化した転職エージェントを使うケースも多い。具体的には、この辺りである。

〇グリーン

〇Goodfind

〇プロコミット

〇for Startups, Inc.(旧ネットジンザイバンク)

それ以外だと、ビズリーチとか、Wantedlyを使って検索することになる。

どこが特におすすめというわけではないが、結局一か所だと案件数が足りないので、併用するのが一番賢いやり方である。

それから、上記以外だと、リクルートはおススメである。

既存ベンチャー大手の子会社を始め、かなり多くのベンチャーの求人情報も持っている。

結局、ベンチャー企業も、外資系金融機関のポジションを探すのと同様で、面倒だが、数を打つしかない。

まとめ

外銀や総合商社から、ベンチャー企業に転職するのは上記の通り、あまりお勧めではない。

条件的なものもあるのだが、自ら起業をしたいというのなら理解できるが、「雇われ」の身分でベンチャーに行くというのが中途半端だからだ。

それでも、ベンチャーに行きたいという場合には、上記のチェックポイントを慎重にチェックして、納得の上で転職すべきだろう。