1. 外資系か国内系か?
証券会社と比して、地味目で一見何の仕事をやっているのかわかりにくい存在として投資運用会社が存在する。
証券会社がセルサイドというのに対して、運用会社はバイサイドという呼ばれ方をされたりもする。
また、会社名の語尾に「アセット・マネジメント」というのが付く会社が多いことから、略して「アセマネ」という呼ばれ方をされたりもする。
証券会社の場合、外銀と呼ばれる外資系証券会社と、リテール部門を持つ国内系証券会社とでは就活における対策が異なってくる。
同様に、投資運用会社の場合も、外資系と国内系とで対応法が異なってくるので、今回は外資系投資運用会社について言及したい。
2. 外資系投資運用会社(アセマネ/バイサイド)の就活について
①そもそも新卒で募集している会社数及び採用人数が少ない
日本で活動をしている外資系投資運用会社の会社数は多い。
これは、外資系投資運用会社の魅力なのだが、1社あたりの従業員数が20~100人位と少人数であるところが大半である。
このため、新卒採用をしている会社は以下の会社位である。
<外資系金融機関系>
〇ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント(GSAM)
〇JPモルガン・アセット・マネジメント
〇UBSアセット・マネジメント
〇ドイチェ・アセット・マネジメント
<独立系>
〇ブラックロック
〇フィデリティ
②外資系投資運用会社の就活で求められるスペック
外資系投資運用会社も、外銀同様に、新卒・若手の段階から給与水準は高い。また、将来も金融プロフェッショナルとして自分のスキルによってどんどんキャリアアップが可能な業界であることは同様である。
このため、自分に自信のあるハイスペックな学生が応募するため、狭き門であること自体には変わりない。
また、実は、入社後は外銀ほどは使用頻度は少ないのだが、英語力を問われるので、高度な英語力(最低でもTOEIC860以上)を持ち合わせておく必要がある。
③性格における相性
同じ外資系といっても、外銀と運用会社とではかなりカルチャーは異なる。
運用会社は、長期的な視点で運用を行う会社であり、ストックビジネスである。
このため、運用資産残高(AUM:Asset Under Management)さえ存在すれば、何もしなくても、運用報酬が入ってくる。
外銀のように、顧客に頻繁に有価証券の売買や、M&Aやファイナンスをしてもらわないと稼げないビジネスとは異なるのである。
よって、比較的穏やかでのんびりしているタイプが適しており、短期な人には向いていないかも知れない。
面接では、優秀かどうかというより、結局は好きか嫌いか、「一緒に働きたい」と思ってもらえることが重要である。
したがって、知識の凄さをアピールしたり、アグレッシブに自己主張したがるタイプは合わない。(外銀IBDもそうだが)
相手の話をよく聞いて、にこやかに対応する戦略が堅実であろう。
④準備しておきたいスキルに関する知識
ハイスペックな学生が競争するので、外銀ほどは就活時点での知識は厳しく問われないだろうが、基本的な投資に関する知識は学習しておく必要がある。
おすすめなのは、証券アナリスト試験(CMA)で1次試験3科目に合格しておくと、話が早い。
費用も数万円程度だし、入社後も必要な知識を予め学習できるのでやっておくといいだろう。
外資系でも、証券アナリストの1次試験に合格しておくとそこそこ差別化は可能であるし、国内系運用会社、或いは、国内系証券会社(コース別)の就活においても汎用的に使える。
また、市場・相場に関する好奇心は持っておくべきだ。
昨日時点での日経平均株価、NYドル、円ドル為替相場位はフォローしておきたい。
できれば、少額でもいいので、株式投資をやっていると自然な形で投資に興味が持てるのでこちらもおススメである。
⑤就活においての心構え
本当に外資系投資運用会社で働きたいのであれば、仮に新卒採用で落とされたとしても、国内系運用会社で経験を積めば、将来外資系に転職することは十分可能である。
この点は、外銀との違いである。
外資系運用会社の就活時におけるポジション数は少ないが、反面、中途採用になると、会社数が多いため、きっちりした国内系での業務経験さえあれば外資系への転職は難しくないのである。
従って、最終的に就職するかどうかは別として、国内系運用会社も併願し、「仮に就活で外資系に落とされても中途で行けるから問題ない。」という気持ちで臨むのがいいだろう。
外資系運用会社の就活でのチャンスは多くないので、無用なプレッシャーを持たずに自然体で臨めることが重要なのだ。
まとめ
まだまだ投資運用会社の魅力については、十分に認知されていない。
証券会社よりも運用会社の方が性格的に向いている人はいるので、相場や投資に興味がある学生は挑戦してみてはどうだろうか?