慶應義塾大学経済学部【22卒向け】の就職と課題。特に、金融と商社に強い?

1. 極めて良好な慶應義塾大学経済学部の就職状況

慶應大学は就職に強いとされているが、伝統のある看板学部の経済学部の就職状況はとりわけ良好である。

学校側もHPで詳細に経済学部の就職先について開示をしてくれている。

https://www.students.keio.ac.jp/com/career/service/date.html

上位には、メガバンク、大手信託銀行、東京海上、野村證券と大手金融機関の、しかもトップ企業がずらりと並ぶ。

さらに、トップ学生の間でも人気ナンバー1である総合商社も、経済学部だけで、三菱商事に9名、三井物産に8名、住友商事14名、伊藤忠に5名、丸紅6名と、多くの学生を送り込んでいる。

また、アクセンチュアに16名、アビームコンサルティングに16名、PwCコンサルティングに9名と、人気のコンサルティング・ファームにも多くの者が就職している。

少々意外であるのが、日本政策金融公庫(9名)、商工組合中央金庫(10名)、農林中央金庫(5名)、日本銀行(5名)、政策投資銀行(5名)と、国立が優位とされている、採用数が少なく狭き門と評価されている政府系金融機関にも多くの就職者を輩出している。

それから、慶應義塾大学経済学部の特徴として、トーマツ(10名)、あずさ(10名)と、監査法人に就職する学生が多いことが指摘できる。これは、公認会計士の合格者数が長年トップであることに起因すると思われる。

以上のように、慶應義塾大学経済学部の就職については、質的にも量的にも何ら課題は無いように見える。

2. 一橋大学と比べてもそん色はない慶応大学経済学部の就職内容

①よくある批判的な意見

上記の就職状況については、2ch等の学歴板では、国立優位を唱える者が多いことから、「慶応大学経済学部は人数が多い」、「慶応大学経済学部には強固なコネや体育会が混ざっており、一般学生の枠は見かけよりも減る」、「慶応大学の場合、女子が一定数いるので、一般職も含まれている。」といった批判がなされることがある。

しかし、女子と一般職については、経済学部の場合は女性の比率は2割程度と他学部(例えば法学部は4割)と比べて低く、そもそも一般職自体枠が少ないので全体に大した影響を及ぼすことは無いだろう。

また、強固なコネとか体育会というのは、はっきりとした統計が存在するわけではなく、人数自体はそれほど多くないと思料される。

②生徒数が多いとの批判:一橋大学全体との比較

東大の場合、理系が含まれており、学部別の詳細な就職先の開示が無いので、一橋大学全体との比較が参考になるだろう。一橋大学の場合は、理系が存在せず、また、文学部・教育学部系も存在しないから、慶應義塾大学経済学部と比較しやすいからである。

また、慶應義塾大学経済学部の就職者数は1032人であるところ、一橋大学全体での就職者数は912人程度であり、若干、少ない程度だ。

一橋大学の3メガバンクへの就職者数は、42人なのに対して、慶應義塾大学経済学部は44人なのでほぼ同じである。

生損保については、慶應義塾大学経済学部からは日本生命が5名、東京海上が19名である。他方、一橋大学からは日本生命が13名、東京海上が16人である。日本生命については、一橋が優位であるが、東京海上については慶應経済が有利か?いずれにせよ、生損保についても特に大きな差は無いだろう。

もっとも、部門別/職種別採用ではなくリテールを含む総合職採用がメインであるメガバンク、生損保については、トップ校の学生の間では一番人気ではない。他方、部門別採用は行わないものの、金融機関と比べると部署による市場価値がそれ程違いはなく、給与水準が高い総合商社が人気である。総合商社の中でも特に難易度が高い5大商社について見ると、以下の様になっている。

慶應経済 一橋
三菱商事 9 7
三井物産 8 8
住友商事 14 10
伊藤忠 5 7
丸紅 6 6
合計 42 38

(出所:2018年度(2019/3卒)における、慶應義塾大学、一橋大学のHPのデータを基に、外資系金融キャリア研究所が編集)

以上のように、慶應義塾大学経済学部の場合、生徒数を考慮しても、一橋大学全体に劣っているということはない。

また、ここでの統計には表れていないが、外銀・外コンへの就職者数では、慶応大学経済学部が一橋大学よりも多い。

このため、トータルで見ても、慶応大学経済学部の就職状況は、国立大学でトップクラスの一橋大学と変わらないレベルなのである。

3. 慶応大学経済学部の就職における課題

①メガバンクと生損保への就職者と将来のキャリアプラン

以上のように、人気企業・就職偏差値上位企業への就職力という点では、何の課題もないだろう。

しかし、課題は就職してから先のキャリアについて、十分に考えられているかどうかということだ。

外銀・外コン、監査法人、総合系コンサルティング・ファームに就職する者は、セカンドキャリアを十分考えているだろう。

また、総合商社を選択した者は、総合商社のビジネスモデル的に、終身雇用を想定したとしてもいいだろう。

ところが、メガバンク、生損保を選択した多数派の学生はどうだろうか?ファーストキャリアとしての、入り口段階での就職偏差値や就職人気度こそ高い、これらの国内系金融機関であるが、将来も安泰とは言い難いのではないだろうか?

もちろん、20年後には無くなってしまうということはないだろうが、少子高齢化で間違いなく国内市場はシュリンクするわけで、国内でしか稼げないメガバンクや生損保の将来はどうだろうか?

国内で稼げないからといって、下手に海外に出たり、海外M&Aをやると特損につながるということが歴史的教訓ではなかったろうか?

また、フィンテックの進展によって、店舗や人材の過剰感は既に見えているのではなかろうか?

このため、会社は将来も存続するのだろうが、年俸水準は今よりも2割位減ると考えた方が堅くないだろうか?そうなった場合、会社に留まりたいと思うだろうか?また、20年後に会社を出たいと思ったときに、年収が上がるような転職が可能なスキルを付けることが可能だろうか?

慶應義塾大学経済学部の場合、こういった国内系の金融機関の比率が他校と比べて極めて高いため、そこに就職した学生が将来のキャリアをしっかりと踏まえた上で就職しているのかが大きな課題だと思われる。

慶應義塾大学経済学部の就職者数1032人のうち、大手金融機関への就職状況は以下の様になっている。

以下の大手金融機関の人数を合計すると、187名にもなる。これに、他の民間銀行や政府系金融機関を加えると、更に多くの数になるだろう。

メガバンク(三菱UFJ、三井住友、みずほ)合計44人

大手信託銀行(三菱UFJ信託21、三井住友信託13)合計34人

大手損保(東京海上19、三井住友海上9、損保ジャパン4)合計32人

大手生保(日本生命5、第一生命5、住友生命9、明治安田生命7)合計26人

大手証券(野村19、大和14、SMBC日興5、みずほ8、三菱UFJMS5)合計51人

これらの金融機関に就職した学生が20年後、競争力のある市場価値の高い人材になれるかが課題なのである。

②メガバンクと生損保に就職した場合の転職強化策

スキル的には、英語力を磨く、ITリテラシーの向上、社外でも通用する金融スキルの習得といったところが上げられる。

ただ、転職エージェントに足を運んで自分の市場価値を検証したり、外銀・外コン・総合商社に就職した友人と交流したり、独立・起業に関するコミュニティに足を運んだり、自己のキャリアを如何にして磨いていくかを考えなければならないだろう。

慶応大学の強みとして、豊富な情報量というのがあり、それは就活時の他校には無い強みとなっているが、そういったネットワークは就職後も活用すべきだと考えられる。

③ベンチャー、起業関係はどうか?

慶應でベンチャー、起業というとSFCのイメージが強いかも知れない。しかし、経済学部からも成功した起業家やベンチャー企業での幹部を輩出していることは間違いない。とは言え、経済学部の場合はコンサバなので、ベンチャーとか起業を目指す学生はマイノリティだろう。そうなると、遠い将来、得意とする金融産業が衰退した場合、経済学部自体のバリューがつられて下がることにもなりかねない。ネットIT系は数少ない成長業種であるだろうから、学校やOB会としては、長期的な視点より、この業態にチャレンジする学生をサポートしても良いかも知れない。

 

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