慶應義塾大学経済学部の進路と就職。外銀、外コン、商社が目標か?

1. 慶應義塾大学経済学部の進路の概要

慶應の場合、進路や就職に関する情報開示が非常に良い。
大学全体、学部別の上位就職先に加え、詳細な3名以上の就職先のリストも作成・開示してくれている。

<慶應大学の進路、就職:公式サイト>
https://www.students.keio.ac.jp/com/career/service/date.html

慶應義塾大学経済学部の場合、21年3月卒の生徒数は1187名である。
そのうち、大学院への進学者は45名である。理系と比べると遥かに大学院への進学率は低いが、経済学部としては特に低くは無いだろう。
その他が98名で、この中には資格試験(公認会計士等)の受験者が含まれる模様だ。
未報告者は45名となっている。

進学者、その他、未報告者を除いた、996名が就職した。
そのうち公務員となる者は、国家公務員と地方公務員を合わせて20名なので、割合としては非常に少ない。

イメージ通り、慶應の経済学部生の大半は民間企業に就職する。

2. 慶應義塾大学経済学部生(2021/3卒)の主な就職先

21/3卒の卒業生の主な就職先ランキングは以下の通りである。

  企業名 人数
1 みずほ銀行 26
2 三菱UFJ銀行 25
3 三井住友銀行 20
4 EY新日本有限責任監査法人 18
5 あずさ監査法人 17
6 PwCコンサルティング合同会社 15
6 有限責任監査法人トーマツ 15
8 三井住友信託銀行 13
8 アクセンチュア 13
8 日本アイ・ビー・エム 13
11 デロイトトーマツコンサルティング 12
12 アビームコンサルティング 11
12 東京海上日動火災 11
12 SMBC日興証券 11
12 みずほ証券 11
16 野村證券 10
16 大和証券 10
16 楽天 10
16 三井物産 10
20 博報堂 9
20 損害保険ジャパン 9
20 住友商事 9

(出所:慶應義塾大学公式ホームページ)

3. 慶應義塾大学経済学部(21/3卒)の主な就職先の特徴

主な就職先の特徴は見ての通りであるが、以下の様な特徴が指摘できる。
トレンドとしては昨年(20/3)から大きく変わっていないと思われる。

①大手金融機関が非常に多い

昔から慶應経済は金融に強いイメージがあり、実際、外資系・国内金融機関において慶應経済学部卒のプレゼンスは高い。

上位就職先を見ても、1位から3位までを3メガバンクが占め、8位には三井住友信託銀行がランクインしており、銀行のシェアは高い。

また、みずほ証券、野村證券、大和証券といった大手証券会社と東京海上日動火災、損害保険ジャパンも上位20社に名を連ねており、証券・保険会社への就職者が多いのも例年通りである。

②監査法人、総合コンサルが多い

金融の次に多いのが、監査法人・コンサル系である。新日本、あずさ、トーマツがいずれもトップ10に入っている。これは、公認会計士試験の合格者が多いからであろう。

また、PwCコンサルティング、デロイトトーマツコンサルティング、アクセンチュア、アビームも上位に入っている。コンサルブームはまだまだ継続しているようだ。

③商社、大手広告代理店にも強い

三井物産、住友商事、博報堂という超人気企業が上位20社に入っている。5大商社や電博の採用人数は多くないにも関わらず、就職先上位企業に入っていることから、慶應経済の就職力の強さがうかがえる。このあたりの超人気企業/超難関企業については後述する。

4. 慶應経済学部生にとっての課題は単なる大手ではなく外銀、外コン、商社に行くこと?

上記の主な就職先を見ると、慶應経済学部の就職は非常に良好であるが、慶應経済学部の学生からすると、必ずしも大手の金融やコンサルから内定を取ることが目標ではないようだ。

5-6年前と比べると事情は少し変わったかも知れないが、メガバンク、大手証券、大手生損保の内定は、慶應経済学部生であれば特に難しくない。目標は外銀やMBB、商社、国内金融機関であればオープンコースではなく専門職コースから内定を取ることだという。

もっとも、こういったところは、早慶だけでなく、東大、京大、一橋の上位層の学生も集中するので、かなりの狭き門となっている。

早慶の上位層の学生が納得できる就職先としては、上記の外銀、MBB、商社に加えて、MMデべ(三菱地所と三井不動産)、電博、キー局、政府系金融機関(日銀、DBJ、JBIC)等があげられる。

21卒について、慶應経済学部からこれらの企業に就職した人数は、外銀が11名、MBBが4名、5大商社が36名、MMデべが9名、電博が15名、キー局が2名、政府系金融機関が5名の合計82名である。
(なお、ソースについてはこちら。出所は慶應義塾大学の公式HPより)
https://keio.app.box.com/v/keiogijukushinrodata-ay2020-03

慶應経済の21/3卒の就職者数は996名であるので、8%超の学生がこういった超難関企業に就職できているのは凄いことだと思われる。おそらく、京大や一橋と比較しても遜色ないのではないだろうか?

ただ、平均的な就活力の学生の場合、こういった企業から内定を取るのは厳しく、上位1-2割を目指すとなると、相応の対策が求められるだろう。

5. 超難関企業に行くには附属か推薦・AO組が有利?

①附属の上澄みとPEARL組が難関企業の内定を持っていく?

超難関企業については、まんべんなく慶應経済学部の生徒が内定を取るのではなく、そういったところに就職できるのは、附属の上位層やAO入試組に過度に集中しているという意見がある。

附属の上位層は、家柄よくコネがあり、教育にもお金をかけるので、英語堪能・頭脳明晰・高コミュ力なので就職力は非常に強いという。

また、経済学部の場合、PEARLと呼ばれるAO入試組の帰国子女軍団が、今企業から求められるグローバル人材に該当するため、就活でも無双していると聞く。

このあたり、附属、AO推薦、一般入試別の就職データは無いので、正確なところはよくわからない。ただ、就活メディア、就活塾等の就活に詳しい人達に聞いてみると、附属の上位層やPEARL組の就職力は非常に高いという。

そうなると、一般入試組は大学入学時点での学力では劣っていなくても、就活となると適わないのであろうか?

②一般入試組は、内部組・PEARL組の強みを参考にして準備をすればいい

附属の上位層やPEARL組が就職に強いからと言って、学歴フィルターのように、区別されることはない。一般入試組としては、何故、附属の上位層やPEARL組が就職に強いとされる理由を考えて、自ら実践すればいいことだ。

そのためには、英語力を磨く必要がある。外銀、MBB、商社、国内系金融専門職など、人気の業種・職種はグローバル人材を求めている。大学入学後に勉強しても帰国子女には適わないが、短期でもオンラインでも留学を検討するとか、語学学校に通うなどして、最低でもTOEIC800は目指したい。

また、外銀等の金融専門職やコンサル一般では、専門知識についての準備が必要だ。金融であれば、証券アナリスト、USCPA、少額証券投資といった対応が求められる。コンサルだとフェルミ推定対応やケース対策などが必要だろう。こういった点については、選抜コミュニティに入るのが良いがかなりの難関なので、お金に余裕があれば就活塾を使ってもいいだろう。

附属生やAO推薦組は、コミュ力が高いという。有力校の場合、ES等の書面は通過できるのであろうが、そこから先の面接を勝ち抜くのが大変だ。同じ内容の話をするにしても、プレゼン能力によって、面接官に与える印象は大きく異なる。そのためには、OB訪問を十分に行うほか、本命では無い企業の説明会や面接を積極的に受ける等、社会人との会話の機会を増やすことが有用だ。

そして、就活は情報戦でもあるので、情報収集能力も非常に重要である。慶應の場合、せっかく同じ大学に附属生やAO推薦組がいるので、そういった生徒とも交流して積極的な情報収集に努めればいいのではないか。

6. 慶應義塾大学経済学部生の就職に関する課題

慶應経済の場合、上述の通り、超難関企業も含めて非常に全般的な就職力は高い。金融、商社、大手マスコミなどは、これ以上増やせないレベルではないだろうか。したがって、就職に関しては、特に課題は無いかも知れない。

しかし、将来、終身雇用・年功序列型人事制度が崩れるリスクはある。また、企業自体は存続しても、IT/AI化の進展によって、同一企業内の従業員間格差が拡大する可能性もある。さらに、副業・兼業の解禁によって、本業以外で如何に稼げるかが重要になるかも知れない。

そういった点を踏まえると、以下の様な課題を意識すべきではないだろうか。

①就職後のキャリアプランは明確か?

慶應経済学部からは、メガバンクや大手金融機関に就職する学生は非常に多い。その大半は、オープンコースであろう。オープンコースの場合は基本的にリテール部門に配属されるので、そのままリテール部門でいいのか、IBDや市場部門に転身したいのかを考えておく必要がある。入社時点の配属先や最初の異動先が気に食わない場合は、第二新卒カードを切る選択肢もある。その際には、予め転職を視野に入れた準備・対策が求められるので、内定後も継続してキャリアについて考えておく必要がある。

金融に次いで、総合コンサルへの就職者も非常に多いが、総合コンサルは終身雇用ではない。社内で出世ができればよいが、そうでない場合には、大手金融機関以上に転職カードを意識する必要があろう。

②副業・兼職、起業・独立、自分自身のビジネスで稼ぐことができるか?

副業・兼職は解禁の方向性にあり、既に保守的な国内大手企業が副業を認めている。もっとも、現時点では、副業でまとまった金額を稼ぐことができる大手企業のサラリーマンはごく少数であろう。

しかし、ITの進化やSNSの存在感の高まりによって、将来は今以上に副業で稼げるチャンスはあるはずだ。また、副業である程度稼ぐことが出来ると、起業・独立が視野に入る場合もある。

かなり先の話かも知れないが、人生100年時代や年金2000万円問題等の関係で70歳まで働き続けることが当然の時代になると、自分のビジネスで稼げる能力は非常に有用である。

これは長期的な課題であろうが、副業で稼げるか否かで将来は大きく違って来るかも知れない。

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