1. メルセデス・ベンツAMGとは?
メルセデス・ベンツAMGとは、ダイムラー社が展開するスポーツ・レース系の
ブランドである。母体の車はベンツだが、エンジン、足回り等を大幅にチューン・アップした特別なスポーツカーだ。
http://mercedes-amg.jp/performance_center/
都内に、日本で唯一のAMG専門ディーラーができたということなので、訪問してみた。
2. 普通のメルセデス・ベンツとは何が違うか?
AMGは、Aクラス、Cクラス、Eクラス、Sクラス、更に、セダン、クーペ、カブリオレ、SUVと、幅広いモデルに設定されている。
しかし、同じクラスのノーマルモデルとは、足回りやエンジンが全く異なり、値段も当然大きく異なる。
このため、購入層も普通のベンツのノーマルモデルとは異なるのではないかと推察される。
3. どういったものが売れ筋か
昔、AMGというとい、かなりマニアックな趣味の車といった感じで、値段も2000~3000万円クラスのフェラーリやランボルギーニに近いと思っていた。
しかし、AMGは元は独立チューナーだったのが1999年にダイムラー・クライスラー(当時)に吸収合併され、2014年からは「メルセデスAMG」としてメルセデス・ベンツのサブブランドになった。
このため、かなり幅広い層が購入できる車に近づいている。
①売れ筋は、CクラスベースのC43のSUVタイプ
売れ筋であるが、ほとんどがCクラスをベースにしたC43というモデルだそうだ。これには、セダン、ワゴン、SUV(GLC)のモデルがあり、何と、半分以上がSUV、ワゴン系だという。
価格帯でいうと、販売価格が900万円代で、オプション・諸経費を込でも1100万円もあれば十分購入できるという。
本来は、セダンとかクーペが売れ筋でありそうなのだが、実用性重視と、ファミリーユース、都内の駐車場事情等から、SUVが人気なのは意外である。この点は、本来はスポーツカーブランドであるポルシェの売れ筋がカイエン、マカンというSUVになっているのと類似している。
②ノーマル車と変わらないリセールヴァリュー
気になるのがリセールヴァリューである。特殊なクルマなので、価格の下落が気になるところであるが、C43の場合だと、3年後に約半額位の売却が可能であり、この点はノーマル車と変わらないようだ。
もっとも、これはC43というコンパクトなエンジン搭載車に該当する話で、C63という超ド級のエンジン搭載車は、値段も高いし、Too Muchということで価格の下落率も大きくなってしまうという。
また、これは、AMGに限った話ではないが、EクラスとかSクラスとかの中古車のリセールヴァリューはCクラスと比べると悪くなるのは否めないそうだ。
ベンツというと、Sクラス>Eクラス>Cクラスというヒエラルキーがあり、Cクラスは購入しにくいイメージであるが、全体的に大型化が進みすぎ、Eクラスの人気が落ちているそうだ(特にセダン)。
以上より、買うのであれば、C43が良いのだろう。
4. AMG購入者の年収、職業、購入法等
①購入法・・・何と、7割がローンで法人名義
まずは、年収・職業の前に購入方法である。これが、何と、7割がローンで法人名義だそうだ。どこかと似ていると思ったが、中古のフェラーリ、新車のランボルギーニと同様である。
もっとも、中古のフェラーリは8割以上といっていたので、若干、AMGの方が法人比率は少ないようであるが、法人・ローン使用、さらに残価設定型も良く利用されているという。
②AMGを買う人の年収と職業
上記①の購入方法から明らかになったが、大半は中小企業経営者である。しかも、中古のフェラーリとの違いは、年収水準が明らかにフェラーリよりも低いということである。
例えば、売れ筋のC43を諸経費込み1100万円、頭金500万円、年率3.90%のローンを使用した場合、月々のローン支払い額はわずか17万6000円だ。
法人名義で購入するので、実質年収という概念になるが、ざっと年収が2000万円程度の会社(というか個人事業で法人化しているもの)を経営できれば、十分購入できるイメージである。
残価設定ローンであれば、実質年収(要するに役員報酬と家族の給与)が1500万円程度で購入できるイメージである。
そして、SUVが人気でファミリーカーとしての利用形態が多いそうなので、年齢的には30代後半から50歳位までがボリュームゾーンである。
価格が1000万ちょいなので、フェラーリの半額以下で購入できるし、SUVも選べるので、派手な独身のIT社長とか美容外科経営というイメージではなく、ちょっとした個人事業者(会社経営者)が購入しているのである。
最後に
AMGというとかなりの富裕層のイメージであったが、ちょっとした個人事業者であれば購入可能のようである。
この点、経費が使えないというか、経費という発想自体が無いサラリーマンとの大きな違いである。
年収1500~2000万円であれば、総合商社、大手金融機関、マスコミ等の40代の管理職であれば誰でも到達できる年収だが、AMGを購入するような人はまずいない。
もちろん、サラリーマンの場合、退職金・年金が手厚いので、全ての面で個人事業者(会社経営者)が良いというわけではないが、ある程度、経費を使える個人事業者の途も考えていいのではないだろうか。