外銀のリサーチ業務(株式アナリスト等)の仕事、年収、転職等について

1. 外資系証券会社のリサーチ業務とは

①外資系証券会社のリサーチ業務を遂行するアナリストの分類

外資系証券会社のリサーチ業務は、通称「アナリスト」として知られている職種である。アナリストは、株式のリサーチをカバーする株式アナリスト、数量的な分析手法に基づく分析を行うクオンツ・アナリスト、債券のデフォルト・リスク等について分析するクレジット・アナリスト、に分類される。

ここでは、もっとも人数が多く、外資系証券会社の新卒採用の対象にもなっている株式アナリストに絞って言及することとする。

②株式アナリストの仕事

株式アナリストは外銀(外資系証券会社)の株式本部に所属している。株式アナリストの仕事は、顧客である機関投資家(運用会社等)に対して、自らがカバーする会社の投資アイデアを提供し、それによって、顧客から発注(トレーディング)をしてもらうことである。

株式アナリストは、電機、自動車、金融機関、建設・不動産、素材、製薬、小売り、IT等のうちの特定の業種を担当することとなる。会社数で言うと、20社前後である。業種においては縦割りであり、電機セクター担当の株式アナリストが製薬や金融機関の株式について情報提供を行うことは無い。

株式アナリストは、自分が担当する会社について情報収集を行い、それを分析した上で、レポートを発行したり、顧客訪問や電話等によって情報提供を行うのが通常の業務である。

株式アナリストの目的が、顧客である機関投資家から株式の注文を受けることなので、株式セールスと協働することになる。また、法令上の対応が必要だが、IBDと協働することもある。

2. 株式アナリストに求められる資質とは

まず前提として、相場・市場に対する関心度が高いということである。外銀や国内系証券会社のリサーチ部門の面接で想定される、「今年の日経平均株価の上値、高値の予想とその理由」「おすすめの銘柄とその理由」といった質問に対して、「わからない」とか「面倒くさい」と直感するようでは向いていない。

自らが担当する銘柄について質問をされると、紙無しで、数時間喋り続けることができるようなタイプじゃないと厳しいかも知れない。

株式アナリストの場合は、担当するのが特定の1業種だけなので、カバーする領域が狭い。しかし、その分、その業種については物凄く深い知識を持つことが求められる。この意味で、オタクのような、趣味とこだわりがある人に向いていると言える。

ただ、運用会社(バイサイド)とは違って、外銀の株式アナリストの場合には、顧客や社内セールスから好かれないといけないし、また、プレゼンテーションをする機会が多い。

このため、単なる内向きなオタクではダメで、プレゼンテーションやコミュニケーション能力が求められる。これが難しいところである。

他方、IBDのようなチームプレイは要求されないので、ある程度、マイペースな人でも対応できる。

また、レポート、投資家対応とすることさえやれば、結構自由なので、拘束時間は比較的フレキシブルである。反面、オフィスにいない時でも四六時中、投資アイデアについて考えているようなタイプでないと務まりにくい。

3. 株式アナリストの年収と歴史

株式アナリストの年収は、その時代によって結構異なっている。このため、時期を分けてコメントする。

①株式アナリストの全盛期(バブル期~2002年のITバブル崩壊まで)

この時代は、株式アナリストは花形で、証券会社における憧れの職業であった。その背景としては、90年代後半までは手数料が固定手数料だったため、収益が厚かったということと、当時は引受業務に関する規制が無かったので、投資銀行業務関連で大きなビジネスに関与することができたからである。

このため、2000年前後のITバブルの頃に通信セクターを担当していたり、時価総額が大きかった銀行セクターや電機セクターを担当しているアナリストは、年収1億越えであった。

外銀に属して、VP以上のシニア・アナリストであれば、5000万円~1億円位の年俸水準であったと思われる。

②2002年~リーマンショックまで

2001年9月に、米国のテロ事件があり、その頃から株式市況が低迷した。また、アナリストが引受等の投資銀行業務関与することが規制されるようになり、以前の収益源だった投資銀行業務に絡みにくくなった。

このため、ITバブルの頃の様には稼げなくなったが、グローバルで景気が回復してきたため、リーマンショックの頃までは、シニア・アナリストであれば、5000万円~1億円位の年収は維持できた。

③リーマンショック以降

リーマンショックによって相場が低迷することにより、多くの株式アナリストがリストラされたのは他の職種と同様である。

しかし、それだけではなく、リサーチビジネスに対する構造的な問題が生じるようになった。

企業決算の四半期開示が求められ、また、株式アナリストのみに対する説明会が公平性の観点から規制されるようになり、情報に対する株式アナリストの優位性が薄れてきた。

また、機関投資家の力が強まり、手数料の下げに対するプレッシャーが継続し、ほとんど稼げなくなってしまった。

したがって、現在では、外銀における株式アナリストのポジション数は減少し、年俸水準は、ベースとボーナスを合わせて、VP以上のシニア・アナリストでも、3000万円~5000万円くらいのレンジになってしまった。1億越えなどはまず聞かれなくなってしまった。

リストラリスクも高く、今はアナリスト冬の時代となっている。

4. 今後の展望

今年から、欧州のMiFIDⅡという規制が施行され、ますますリサーチフィーの下降圧力が働き、外銀のリサーチ業務に対する逆風は強まっている。

もちろん、今後も株式アナリストのポジションがなくなることはないが、長期的に厳しい時代を迎える蓋然性が高い。

従って、外銀でのリサーチではなく、運用会社(バイサイド)でのリサーチ業務に目を向けてもいいのではなかろうか?

もっとも、運用会社の場合だと、一生アナリストというわけには行かず、最終的にはファンドマネージャーを目指すキャリアとなる。