年収1億円以上も可能?ヘッジファンドのファンドマネージャーに向いている人の特徴

先日、某国内系のヘッジファンドの役員と話す機会があった。

そこで、ヘッジファンドで成功しているファンドマネージャー達の話題が出たのであるが、他のエリート職である外銀のIBD(バンカー)、セールスや、コンサルとはタイプが違う人達だと改めて感じた。

どちらが上とか下という訳ではない、以下のようなタイプの人は、ヘッジファンドを含む運用会社でのファンドマネージャー職に向いていのではないだろうか?

1. 朝に強い人

これはMUSTでないのかも知れないが、ファンドマネージャーで朝だらしない人はいないようだ。もちろん、海外市況に目を配らないといけないので、朝遅いと困るというのもあるが、朝から頭が冴えている人が向いているようだ。

この点、朝に弱くても成功できる職業もある。

一番朝に弱いのが、渉外弁護士(特にパートナー)だ。夜遅くに仕事をすることに慣れているのか、朝10時に電話しても出所していないことは多い。

また、同じ証券業界でも、国内系IBDは朝9時過ぎに出社をする人も珍しくない。

また、外資系金融のバックオフィス(人事、経理、コンプライアンス等)も総じて朝は弱めである。

朝ゆっくり寝たいという人は、ファンドマネージャーに不向きではないだろうか?

2. 視野が広い。幅広い国の経済、幅広い業種(セクター)の理解が得意

「視野が広い」というと、どんな世界でも成功するには視野の広さが必要だろうということになるが、ここではもう少しテクニカルな意味である。

運用に関わる知識においては、幅広く多くの国・地域のマクロ経済情報、幅広い業種(金融、IT、メーカー等)をカバーできる能力があるということである。

これは実は結構難しい。人間、どちらかというと特定の国や業種に絞って学習することの方が得意な人が多いのであるが、ファンドマネージャーはそういうわけには行かない。

例えば、IBDのバンカーも、担当がFIG(金融機関)、GIG(事業会社)、TMT(ハイテク、メディア、通信)に分類されているため、金融機関に強いバンカーはネット系企業のことはサッパリだったりもする。

また、同じ投資関係の職種である投資銀行のアナリストは、自分の担当するセクター(金融、小売り、不動産、電機、自動車、製薬等)のみをカバーすればいいので、担当するセクターについては大変詳しいが、それ以外のセクターについてはほとんど知らなくても問題はない。

ところが、ファンドマネージャーは、「自分は銀行と不動産会社は良く知らない」という訳には行かない。だいたい、広く浅く数百社位についてカバーしていることが多い。アナリストは担当者数はせいぜい20社位なので、これはなかなか難しいスキルである。

3. 時代を先読みする力。人より早く行動することが出来る。

これが最もファンドマネージャーに必要な資質かも知れない。

これは努力して身に付くことができるスキルではない。

例えば、AIが注目されるようになってから、AI関連銘柄を買い付けるようでは儲からない。他方、先見性があったとしても、あまりにも早く関連銘柄を仕込んでいても、当該銘柄が注目されるのが遥か先だと失敗してしまう。

この「人より半歩位先を行く」という感覚が難しいのだ。

実は、この感覚に長けた人は運用業界の外にもいる。

例えば、Gunosyの創業に関わったベンチャー企業投資家の木村新司さんとか、iemoをDeNAに早いタイミングで売却した元サイバーエージェントの村田マリさんなんかもこの資質を備えている。

とにかく、人が動くのを見てから動いたり、人が集まっているところが気になるタイプは向いていないだろう。

4. 上げ相場で大きく稼ぐことができる

これは少々、運用業界よりのネタかも知れないが、ヘッジファンドの場合がこれが重要なのである。

ヘッジファンドというのは、何にどんな手法で投資をしても良いというのが基本なので、理屈上は上げ相場(買い)でも、下げ相場(売り)でも同じように儲けることが出来るタテマエである。

しかし、実務上はそれはウソであり、上げ相場(買い)の方が大きく儲けやすいことが知られている。

その理由としては、上げ相場(買い)の場合は青天井なので、買った銘柄が5倍、10倍になることもあり得る話である。

他方、下げ相場(売り)の場合は、1円で買い戻しても最高2倍までしか儲けることができない。

また、売りの場合は、貸借銘柄、借株に伴う制限があるし、コストも買いよりはかかる。

このため、上げ相場でガッチリと稼ぐことができる能力が必要であり、ということは、素人の言う「利食い千人力」で少額の実現益で満足するわけには行かない。長く持ち続ける勇気や忍耐心が必要なのである。

これも上記3と同様のセンスの問題で、努力や経験で何とかなる問題ではない。

5. お金に対する執着心が強いこと

最後は精神論であるが、お金に対する執着心が強くなければならない。

従って、幾ら頭が良くても、この力が無いと学者にはなれても、ファンドマネージャーとしては成功できない。

結局、スポーツでも起業でも何でもそうかも知れないが、勝負事の最後は精神力が決め手となることが多いので、ハングリー精神というか、お金に対するこだわりが強くなければならないのだ。

これは、ゴールドマン・サックスの総帥のロイド・ブランクファイン氏も言っていたことである。同じ能力の金持ちの子供と貧乏な子供とが競争すると最後は貧乏な子供が勝つと。

このため、頭は良くてビジネスセンスもあるが、お金にこだわらないタイプの人はコンサルなんかが向いているのだろう。

最後に

ヘッジファンドのファンドマネージャーの場合は、成功すると今でも年収1億以上、場合によっては、年収5億以上も可能だ。

もちろん、厳しいファンドだと、1年でクビになるリスクもある。

いずれにせよ、リーマンショック後の金融業界においては最も稼げる可能性のある職種だ。

努力や経験だけではどうしようもないので、頑張って慣れる職種ではないが、上記に該当する学生・若手社会人はチャンスがあるかも知れない。

ヘッジファンドのファンドマネージャーに興味がある人は、こちらの過去記事もご参照ください。
blacksonia.hatenablog.com

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